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内部告発サイト「ウィキリークス」が数日以内に、入手した米国務省の外交文書をインターネット上で公開すると見られている。今回も同サイトは、前回のアフガニスタンに関する情報資料の公開時と同様に、情報の内容を検証せず、生の情報資料を国際社会に流すと思われる。
11月25日のAP通信によると、今回公開される情報資料の中には2009年1月のオバマ政権発足以降の在外米大使館に勤務する外交官と駐在国政府要人との会話内容も含まれる。
24日、米国務省のクローリー次官補は、国務省の定例記者会見で、外交文書の公表は友好国との関係悪化を招く(国益を損なう)恐れがあると指摘した。また、マレン米軍統合参謀本部議長も26日、CNNのインタビューで、情報資料の公開を踏みとどまることを望むと述べている(28日放映予定)。
さて、こうした情報資料が十分に検証されないまま世界に流れると、何が起きるだろうか。
ニューズウィーク誌のクリストファー・ティッキー中東総局は、同誌11月10日号で「都合よい部分だけをつまみ食いするようなことが起きる」と述べている。
そのことで、国家間や、政府と市民との間で誤解が生じ、信頼が損なわれる可能性もある。
ウィキリークスは「知る権利」や「正義論」に基づく行動だと主張しているのだろう。しかし、ネット社会では国境を越えて大衆世論を形成することができるという怖さがある。そして、こうした世論が時に政治を動かすことがある。
不確実性、不安定性の高い現在の国際社会においては、その動きが政治指導者たちだけでなく、一般市民にもリスクをもたらすこともある。
日本でも、APEC首脳会議を前にして、テロ関連情報がインターネットで流された。その結果、操作方法や協力者などが、日本社会に損害を与える可能性のある人々や組織に把握されてしまった。
海上保安庁の事件も含め、「知る権利」について市民レベルでの公議が必要だろう。
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