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中東では、市民の抗議運動によって政権交代が促されるという状況が続いている。
チュニジアでは1月14日にベンアリ政権が崩壊し、2月1日にはヨルダンでリファイ内閣が総辞職した。
そして同1日、エジプトではムバーラク大統領がテレビ演説を行い、即時辞任の意思はないこと、大統領再選を目指さないことを表明した。その演説の中で、同大統領は残りの任期中(9月まで)に、①憲法改正、②社会経済改革の確実な実施、③人権、自由を尊重した治安維持などを遂行する旨述べた。
これに対し、市民運動側からは大統領の即時辞任を求める声が少なくない。
さて、今後のエジプト社会が進む方向は、現時点では次のようなシナリオが考えられる。
①ムバーラク政権のまま軟着陸:
同大統領の意思を尊重する形で政権移行が進む。
②交渉によるムバーラク大統領の退陣
ムバーラク政権と市民運動の「代表者」が交渉する。このケースのポイントは、ムバーラク大統領が速やかに辞任し、副大統領のスレイマン氏を後継者(ただし新憲法下での選挙まで)とするという落としどころに現政権側がもっていけるかどうかだろう。
③市民による暫定政権樹立
これはチュニジアと同様のパターンで、市民運動側が全面的な変化を強く求めた結果、ムバーラク大統領と新内閣全員を退任させ、その後、スレイマン副大統領と市民運動側との交渉によって暫定政権が成立する。このシナリオで注目すべき人物はエル・バラダイ氏だろう。
④軍主導の政権樹立
市民の抗議運動が鎮静化せず、ムバーラク大統領側も妥協的政策を出さない状況が続く中で、軍による政権掌握がなされ、暫定政権が樹立される。このシナリオで注目すべき人物は参謀総長のサミー・アナーン氏である。
2月1日の市民運動の状況を報道で見る限り、最悪のシナリオである無政府状態に陥る蓋然性は小さくなっていると言える。
その理由は、①軍が市民と対立的関係になっていないこと、②市民運動の多数を占めている労働者、リベラルな若者(4月6日運動など)、ムスリム同胞団の各勢力の思惑が、ムバーラク政権打倒では一致していること(「いつまでに」「だれが」「どのように」といった具体的行動方針では合意をみていない点が課題となっている)、③本来エジプトの国民性は「急激な変化」を求めないと言われていることなどである。
これらのことに鑑みると、上記の②交渉によるムバーラク大統領の退陣、または④軍主導の政権樹立のシナリオとなる蓋然性が高いのではないだろうか。
このような中東の政権交代が、どのような国際社会のリスクになるのだろうか。
今日の世界的な問題となりつつある雇用問題やインフレ圧力の問題に対し、各国の政治指導者の経済・社会改革の政策選択の幅は狭まっている。
こうした状況に関係し、市民運動が高揚しているイエメン、スーダンで政治不安が高まることが考えられる。そうした政治不安リスクは、中東以外の開発途上国でも同様である。
また、チュニジア、エジプトの政変の要因の1つとなった食糧品をはじめとする物価上昇は、両国の政変によってさらに高まる傾向にある。それは、商品市場、株式市場、国債などの金融分野にも影響を与えている。
政治面では各国が国益や政権維持を図る方向に動き、規制強化やブロック化を強める恐れもある。そして、国内では偏狭なナショナリストや宗教関係者の声が強くなることも考えられる。
現在、中東地域で起きている政変を情報手段(フェイスブック、ツイッターなど)に注目するだけでなく、2008年のリーマンショック以降のパワーシフトという潮流との関係から見つめてみることも必要だろう。
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今回の市民運動は組織化されていないデモに感じます。
ムバラク大統領も交渉相手がいませんし、集団的、群集的な市民運動側も妥協出来るような具体案は持ち合わせていないでしょう。
ならば、大統領辞任という、わかりやすい形でしか指導者のいない市民運動側は納得出来ないわけで、辞任をするかしないかが、今後の落とし処でしょう。
さて、辞任、即、大統領が弾劾されるような危険を冒してまでムバラク大統領が辞任しますか、どうか。。。
2011/2/2(水) 午後 5:19 [ K9 ]