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ギリシャ、スペインでも政府の経済政策に不満を持つ市民の抗議活動が激しさを増している。これら諸国の経済の悪化の引き金はリーマンショックだった。
先日、NHK BS1の番組「ワールドWave」(6月15日)で、米国の金融政策における「量的緩和」が、2008年9月のリーマンショック後の世界経済に与えている影響について、わかりやすく説明されていた。そこで説明されていた「量的緩和」による投機資金の商品先物市場への流入と、地球規模で見られている天候不順からくる凶作により、世界的に原油価格や食糧価格をはじめとする物価が上昇した。
この物価上昇が、「アラブの春」と呼ばれている一連のアラブ諸国の政治変動を生む一因となったことは、本ブログでもたびたび言及してきた。
そして、その政変を受けて投資家たちが中東地域の地政学的リスクが高まると予測、そのことが、また潜在的な先物市場の原油価格上昇圧力となっている。
この経済の不安定性から抜け出すために、中東諸国は経済構造を変えることができるのだろうか。
2008年以降の国際経済の危機の中、チュニジア、エジプトは民営化の推進や観光振興をはかり、財政赤字の削減や雇用の創出に努めてきた。しかし、これらの問題についての大きな成果を上げることができないうちに富の格差が広がり、中産階級の生活水準の低下を招いてしまった感がある。
今後、欧米諸国や日本の景気低迷が長期化し、BRICs諸国においてもインフレ圧力や経済構造の転換が上手くいかず成長ペースが鈍化すると、中東地域への企業進出も減少することになるだろう。
そうなると、労働力はあるが、技術力、市場、資金力が乏しい北アフリカおよび東地中海のアラブ諸国にとっては、経済発展の道は厳しさを増す。
一方、湾岸のアラブ産油国は、原油価格の上昇にともなう石油収入の増加をもとに、脱石油産業の道を急速に進めようとするだろう。
そうなると、アラブ湾岸産油国のオイルマネーは今以上に、不安定な中東の域内の投資に向かうよりも、(1)欧米諸国の株式や債券の購入、(2)環境配慮のインフラ整備、(3)国内の製造業・サービス業育成に使われることになるだろう。
世界経済が物価上昇の道を辿っていることで、中東地域では各国内における市民間の経済格差が広がっただけでなく、北アフリカ・東地中海諸国と、湾岸アラブ産油諸国の間の経済格差を一層広げることになった。
政治的にも経済的にも「中東諸国」「アラブ諸国」というまとまりで論じることが、ますます難しくなっている。
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