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6月16日、インドネシアでは、イスラム過激派組織の1つ「ジェマー・イスラミア(JI)」の精神的指導者のアブ・バカル・バアシル師に対し、反テロ法違反の罪で有罪判決が下された(禁錮15年)。
また、同日、衛星テレビアル・アラビーヤなどが、イスラム過激派サイトにアルカイダのビンラディン容疑者の後任としてアイマン・ザワヒリ容疑者(59)が就いたと掲載されていると報じた。
この2つの出来事は国際社会に、連帯してテロへの警戒を継続せねばならないことを改めて認識させた。
現在、テロとの戦いについては、2001年9月11日当時より国際協調が進んでいる。その一方、国際介入という対外政策については、国際社会にかなりの温度差がある。
その一例として、現状のリビア問題を考えてみる。
6月15日、カザフスタンの首都アスタナで開催された上海協力機構(SCO)の首脳会議に参加したメンバー国の中国、ロシア、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンに加え、オブザーバー国のイランとパキスタンは、リビアでの軍事力行使の停止を求める項目が含まれている「アスタナ宣言」を採択した。
一方、このアスタナ宣言でその行動が批判された北大西洋条約機構(NATO)軍は、CNN(6月15日付)の報道によると、カッザーフィー軍が国内のローマ遺跡内に装備を隠した場合、遺跡への攻撃を辞さないとの考えを示している。また、ロイター通信は同じく15日、ロシアのロゴジンNATO大使がロンドンでの記者会見で、NATOはカッザーフィー指導者の暗殺を目標としていると発言したと伝え、さらに3月にフォックス英国防相がカッザーフィー大佐の暗殺の検討を提案したと報じた。
NATO諸国の一部(仏、英、イタリア、米)は、すでにリビア市民の人権保護を越えて、反体制派の「国民評議会」側の軍事支援を行っている。
また、国際社会には韓国のように、どちらか一方の支持を表明するのは良くないと慎重に対応する国もある。
こうした各国の政策立案の温度差はどのようなところから生じるのだろうか。
1つには、リビアにおける部族についての認識の違いがあるかもしれない。
今後、リビアが国造りの段階に入った際、敵対し戦闘状況にある部族同士でも、国家が分裂することを避けようとしたり、各部族が利益配分で合意を見たりした場合、新政権樹立で協調できる蓋然性は高い。韓国はこうした見方を踏まえ、中立を保っているのだろう。
一方、NATOメンバー国の一部のように、安保理決議の目的と整合性に乏しい政策をとり、今の段階で「国民評議会」主体のリビア再建を打ち出してしまうと、そうでない政権がつくられた場合、リビアに進出している自国の企業にダメージを与える(新規契約、未収金回収、損害賠償などの点で)恐れがある。
リビア問題で停戦を求める動きについては、6月15日に国連で、和平努力を行っているアフリカ連合(AU)の代表と、安保理国との間で非公開会議がもたれている。NATOの攻撃を含め、戦闘の即時停戦を求めるAUは、危機の解決はリビア自身の手によってなされるべきと主張していると報じられている。
また、トリポリを訪問したロシアのマルゲロフ大統領特使は16日、カッザーフィー政権と反体制派の直接対話がもたれていると語った(6月17日、AFP通信)。対話の内容は公表されていないが、16日、カッザーフィー指導者の次男セイフイスラム氏がイタリアのコリエレ・デラ・セラ紙のインタビューで語った、国際監視団の監視下での選挙の実施なども問題解決の糸口であろう(反体制派および米国はこの提案を拒否しているが)。
こうして見ていくと、リビア問題はNATOメンバー国の一部が考えているような武力行使による国際介入では問題解決は難しい。その結果は、イラク、アフガニスタンと同様に国民和解を生み出す道のりが遠くなると言えるだろう。
国際介入は、「保護する責任」を拡大解釈せずに行うことがポイントになるように思う。
その意味で、今後のリビア問題では、AUと国連が協力して政治解決への道を開いてくれることを期待する。もし、その困難な道を開くことができれば、それはサウジアラビアでけがの治療にあたっているイエメンのサーレハ大統領、市民の抗議行動が続いているシリアのアサド大統領への退陣圧力ともなるだろう。
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