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5年間で5人の総理大臣が代わった日本政治について、政治家の質の問題なのか、制度の問題なのか、それとも日本社会の特性とかかわる問題なのか等いろいろな場所で議論が交わされているようだ。
総理が毎年のように代わるので、私は「年番総理」と呼んでいるのだが、この慣習(?)が生まれた状況と類似性があると思われる日本が抱える問題がある。昨日、私が所属している、とある大学の政策研究会で発表された2つのテーマ「幼児のひとり戸籍問題」と「特定看護師(仮称)問題」である。
戸(こ)と呼ばれる小家族単位で人々を把握しようという考えは、中国の華北社会に古くからあり、北東アジア独特のものである。
日本では、律令制度の整備下で戸籍制度が敷かれるが、平安時代には事実上消滅し、「家」(拡大家族)が人々を把握する単位となった。その後、明治政府は近代化の中で、国家が個々人を直接的に把握できる「戸籍制度」を復活させた。
第2次大戦後、1947年に新憲法の制定に伴う民法改正で「家制度」は廃止され、1948年1月に新しい戸籍法が施行され、夫婦を基本単位とする戸籍ができた。そして今日、1967年の住民基本台帳法の施行により、「戸籍制度」の果たす役割は低下、相続人特定や親族関係の証明手段に用いられる程度となっている。
一方、この「戸籍制度」が存在することで、父母の離婚や親の死亡などによって、幼児の時から父母の戸籍に一人だけ残ってしまう「幼児のひとり戸籍問題」や、「婚外子差別問題」「性同一性障害者の戸籍上の性別問題」「夫婦別姓問題」など、差別に関わる問題が生じてくる。
日本では「家制度」を廃止しながらも家族単位の国民登録制度を残してしまった。そのことで、個人を単位として制度設計されている福祉や医療制度などとの齟齬が生じている。
そこに、日本社会の集団主義的な思考が、明治憲法や新日本国憲法下でも色濃く残っている内閣制度のあり方との共通的構造の歪みが見て取れるように思う。
外部の制度を取り入れる際、日本の空間に合わせて修正することは必要なことである。しかし、インクリメンタリズム(増分主義)での制度設計では、安易な建て増し家屋同様、いつかは問題が表面化し、にっちもさっちも行かなくなる。
さて、もう1つの「特定看護師(仮称)問題」であるが、この制度は医師不足や医療の質の向上のために厚生労働省を中心に2009年から検討が始まり、2010年4月に提言がまとめられ、閣議決定されている。その内容は、専門的な臨床実践能力を持つ看護師が医師の指示のもとで高度な医療行為を限定的に行えるようにするというものである。
日本の場合、医師法第17条で「医師でなければ医業をなしてはならない」とされている。ただし、看護師は「診療の補助」として、医師の指示があれば絶対的医行為(診断、手術、診断書作成、処方箋公布など)以外の医行為を行える。
この制度の問題点を勘案して、医師の負担軽減やチーム医療の推進をはかり、2010年から特定看護師の要請もモデル的に実施している。そして、2011年3月に、この要請者(10名)を対象に特定看護師業務試行事業を4施設で行い、データ収集や医行為内容の検討を行っている。
こうした厚生労働省の試みに対し、既得権益組織である日本医師会、日本歯科医師会などが新制度の実施に懸念を表明している。ただし、外科医師、小児外科医師など激務と言われる現場の医師には、この制度の導入を望む声が大きい。
この問題は、明治時代の「医制」によって誕生した医師を頂点とするヒエラルキーが、戦後の制度改革を経ても残っていることが背景にある。日本では、医師に対し、看護師、保健師、助産師などが従属関係にある。このため、それぞれ専門職であるはずの医療従事者の役割分担が不明確になっているきらいがある。
一般に、既得権益者は、役割分担の不明確さをよいことに「権限の拡大」と「責任の回避」というメリットを享受しがちである。
現在の日本の政治は、「首相の役割」「政務三役の役割」「政治家と官僚の役割分担」などが不明確である。高額所得者で議員立法さえできない「政治屋」は、そこにメリットを見出しているのかもしれない。
以上、「戸籍制度」「医療制度(特定看護師制度の設置より)」を見てきたが、この2つの制度の中に、近代化の波、グローバル化の波に洗われても残る日本社会の特性が見える。
それは、オランダの社会心理学者ヘールト・ホフステードが『多文化世界』で分類の手法を使い指摘しているように、日本人は(1)集団主義の傾向があり、(2)権力格差を受け入れやすいという国民性が生み出したものといえるだろう。
現在の政治の混迷は、このような国民性と深くかかわっているように思う。それだけに事態は深刻だと言えそうだ。
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藤田保健衛生大 看護士が 仕事をしながら 勉強して スキルを上げていくのかなぁ。医者 薬剤師〜 ドイツ語 英語〜往診 カルテ 仕事研究会 医療研究会(名前検討中
2011/7/27(水) 午前 11:37 [ 村石太マン&ナース加藤 ]