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昨日(8月29日)、都内でロシア科学アカデミー所属の2人の国際学の研究者から中東に関する話を聞く機会を得た。
その中で、東西冷戦時代のソ連と比較して、現在のロシアでは、対外政策形成に国際要因が及ぼす影響の度合いがかなり低下していることを認識した。また、メドベージェフ政権は、ロシアの威信回復を図ろうとする働きかけもしているが、むしろ現在の国際情勢において国益確保・拡大に重きを置いた政策選択をする傾向があるとの指摘があった。
例えば、ロシアは対シリア政策において、同国における人権侵害問題に鑑み、国連の「保護する責任」を果たそうとの観点よりも、ロシア・シリア間の30億ドルにおよぶ武器取引を促進することを重視していると見られる。
またリビア問題では、国連安保理決議1973号の採決において拒否権を使わなかったことについて、同国における権益など約40億ドルの国益を損なったとも言われており、国内から批判が起きたことが紹介された。
対外政策について、様々なケースにおいて「国益」「国際協調」「人間の尊厳」のどれに重きを置くかで苦慮している国は少なくないだろう。
この秋、中東地域に関し、国際社会の各国の頭を悩ませる課題が出てきている。それは、9月20日頃にパレスチナ自治政府が国連に加盟申請を行うことにどう対応するか、という課題である。
米国と欧州諸国はイスラエルへの配慮もあり、パレスチナ暫定政府は一方的措置を避けるべきとして同政府を牽制している。
一方、中国は8月28日、エジプト訪問中の呉思科・中東問題特使がパレスチナ独立国家建設を支持するとの声明を発表した。
中国にとってパレスチナは地政学的に遠く、武器取引や石油などの直接的利権が大きいわけでもない。では、なぜ中国はこのような対外政策を取ったのだろうか。
おそらくその背景には、(1)リビア問題への対応のまずさにより同国での利権喪失の恐れ、(2)南スーダンの独立により旧スーダンで有していた石油利権喪失の恐れがあると考えられる。
中国は、これらの失敗を補おうとして、湾岸アラブ産油国が求めるパレスチナ国家建設を認めることにしたのではないだろうか。こうした“遠回りな政策”を湾岸アラブ産油国がどのように評価し、二国間関係に反映されるかは不確実であるが、中国はあえてその政策を試みているといえる。
この事例のように、各国は対外政策を立案するに当たって、対象となる出来事と他国の政策の因果関係や、各国関係を分析した上で政策選択を行っている。
日本の新政権はこのパレスチナの独立問題で、どのような思考で対外政策を立案していくだろうか。
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