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国際社会では、欧州の財政不安国の1月の国際入札に注目が集まっている。スペインについては12日、17日、19日、24日に、イタリアについては12日、13日、26日、27日、30日に実施される(イタリアは2月も4回実施)。
この入札が難航した場合、国際市場でのユーロ諸国の国債はさらに値下がりし、同国債を保有している銀行の財務が悪化することになる。その結果、ユーロ圏の金融システムの不安定性が高まるとの懸念が出てきている。
この国債入札を前にした1月9日、サルコジ仏大統領とメルケル独首相がベルリンで会談を行い、ユーロ危機における対応について協議する。
この2人の首脳の対応しだいでは「西洋の没落」(シュペングラーの著作)が現実味を帯びるとの声もある。
デーリー・テレグラフ紙によると、イギリスはすでに「緊急対応」を検討しているとの報道も流れている。
こうしたユーロ危機が信用収縮へと波及すれば、国際経済をけん引している新興諸国の経済への悪影響というリスク連鎖が生じる。そうなると「西洋の没落」では済まない。
現在のユーロ危機から日本は何を学ぶべきだろうか。
歴史学者である東京大学の山内昌之教授は、「古典文化とキリスト教の共通性を誇り、数字の東郷段階を経験してきたEUでさえ・・・・国民国家の記憶と枠組みを超えられなかった」と指摘した上で、「東アジア共同体への道のりは果てしなく遠い」と述べている(「経済教室」2012年1月9日『日本経済新聞社』)。この文明や歴史の観点からの分析は妥当性が高い。
さらに政策学的な観点から指摘するならば、ユーロ諸国間の財政政策の結束(財政統合化)が十分はかられなかった点や、ユーロ圏の所得移転を促すユーロ共同債の発行の遅れが政策的失敗と言えるのではないだろうか。
それは、EU諸国が2008年のリーマン・ショック以前に「グレート・モデレーション(大いなる安定)」と言われる安定成長期を経験したことで、現在の歴史的な危機を過小評価してしまったことが要因だと考えられる。
つまり、人間はリスク過小評価、チャンスの過大評価という政策選択ミスをしがちであるとの指摘が当てはまった事例である。
このことは、日本の東日本大震災における津波の対応、さらには福島の原子力発電所の事故などにも当てはまる。
ユーロ危機は、意思決定プロセスにおける「リスク連鎖」を十分に評価しておく必要性を教訓として学ぶべきだと言えるだろう。
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