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2012年に入り、エジプトで驚かされる3つの話題が報道された。
1つ目は、カイロの南方約700kmのルクソールにある「王家の谷」で王族ではない人物の墓が、スイスの考古学チームによって発見されたことだ。この墓は、3000年前のものと推定されるが、王墓の周辺にその関係者(家族、神官)が埋葬されるケースがあることが立証された。
2つ目は、エジプト人民議会(公選議席498)選挙の第3回目の投票結果が公表され、イスラム主義の自由公正党(ムスリム同胞団系)が第1党(235議席、約47%)、第2党もイスラム主義のヌール党(126議席、約25%)となったことである。
今回の一連の人民議会選挙では、昨年の「アラブの春」と形容されるエジプトの反政府抗議行動を推進した「4月6日運動」などの若者たちのグループは姿をひそめる形となった。言い換えれば、呉越同舟の形でムバーラク政権を打倒したエジプト市民は、選挙戦で政教一致か分離かの選択肢を提示され、結果としてイスラム的思考の政教一致を掲げた勢力が勝利した。
それにしても、イスラム主義系政党(自由公正党、ヌール党、そして第5党となったアルワサト)への支持率の高さは予想以上であった。おそらく、市民は(神のもとでの)「公正」「公平」の実現を強く求めていることの表れだろう。
今後、エジプトの民主化プロセスとしては、人民議会より100人を選出して制憲委員会をつくり、新憲法の草案づくりに取り組むことになる。イスラム法(シャリーア)が憲法にどのように反映されるのかが注目される。
そして3つ目は、2月19日にエジプトのアルアハラム紙が報じた、ダバア(地中海沿岸部)で核放射性物質の盗難事件である。
ムバーラク政権は2006年秋、このダバアにエジプト初の原子力発電所を建設すると発表し、計画が進められてきた。報道によれば、今回の事件は、この計画に伴う土地補償金などに不満を持つ建設反対派住民の抗議行動から騒乱が生じ、その中、建設予定地に侵入した何者かが放射性物質が入った金庫1つを盗んだとされている。報道では、放射性物質の種類や量については伝えていない。
エジプトの放射性物質の管理体制は現在どうなっているのかと懸念される事件であり、国際社会は、この放射性物質がイスラム過激派武装グループの手に渡る可能性を危惧している。
エジプトは、ピラミッドをはじめ歴史的に「謎」が多い国である。今、新たな国づくりの行方も、謎のベールに包まれている。
なお、その他の中東地域では、1月19日にイスラエル軍がハマスの幹部でパレスチナ評議会の議長を務めるアジズ・ドゥエイク氏の身柄を拘束したことや、同月20日に米国が治安悪化を理由に在ダマスカス大使館閉鎖の検討を行っていることを発表するなど、注目される報道があった。そして、このシリア情勢では、反政府活動側が軍事的に掌握する地域が生まれ始めているとの報道も流れている。アラブ連盟、国連の行動がいよいよ注目される局面となった。
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2012/1/22(日) 午後 7:44 [ cigvi2006 ]