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アルジェリアでの人質事件で多くの尊い人命が失われました。
ここに心よりご冥福をお祈り申し上げます。
今回の事件について、アナリストとしての立場を離れ個人的な思いを述べれば、やり場のない気持ちでいっぱいである。それは、この事件の首謀者モフタル・ベルモフタルの動機が個人的な恨みや虚栄心から来ているように思えるからである。
犯行グループは、声明やアルジェリア政府との交渉の中で、マリにおけるフランス軍の行動阻止や、米国に収監されているアブドゥルラフマン師(エジプト人でイスラム過激派の精神的指導者の一人)やサディキ(パキスラン人女性科学者で米兵へのテロ計画者)の釈放といった大きな条件を提示している。
しかし、国際社会の通常のレベルではこの二つは交渉条件とはならない。特に、アルジェリアは「テロリストとは交渉しない」(アルジェリア内相の発言)との原則を10年間に及ぶテロとの戦いから学んでいる。このことは、アルジェリア人で反政府組織の武装イスラム集団(GIA)のメンバーでもあったベルモフタルは認識していたと考えてよいだろう。
果たして、真の動機は何だったのだろうか。
今のところ推測の域でしかないが、それは「イスラム・マグレブのアルカイダ」(AQIM)から分かれた組織のデビュー戦としてアピールすることではないだろうか。
そのことは、ベルモフタルがモーリタニアのウェブサイト「サハラ・メディア」の動画で犯行は、AQIMではなく「アルカイダ」のもとで実行したと強調したことからも伺える。そして、実行組織のリーダーとしての自分の存在感を頻繁に誇示したことも、その傍証と言えるのではないだろうか。
つまり、ベルモフタルは、AQIMから北マリ地域の司令官を解任されたことからの名誉挽回を図ろうとしたように思えるのだ。その犯行の場所として、自ら反政府戦士として活動した母国アルジェリアを選んだのではないか。
仮にそうだとすれば、ベルモフタルはこれからもAQIMと張り合うべく何らかのテロ行為を続けるのではないだろうか。
その結果、マグレブ諸国や西アフリカ諸国の治安が今後悪化する蓋然性は高まっていると言えそうだ。
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中東地域情勢
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