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72日、イラン革命防衛隊はセムナン州の砂漠地帯でミサイル攻撃の軍事演習を行った。また、イランのメヘル通信は、イランの国会議員が対イラン経済制裁に関与する国に向かう原油タンカーのホルムズ海峡通過を阻止する行動をとることができる法案の立案を検討していると報じている。
こうしたイランの行動は、71日から、EUによるイラン産原油の全面禁輸措置の発行に対抗してのものと考えられる。
この動きを受けて、下落していた原油価格は1バーレル当たり3ドル近く上昇した。
 
このようなイランの行動を分析している中で、国際関係が「アナーキー」(無秩序)な状況になっていると今更ながら認識させられる。
冷戦終焉後も「世界政府」をつくることができないでいる中、特に2008年のリーマンショック以降、国際法や国連決議さえ無視して行動する国が目立ち始め、国際社会はさらに混沌とした状態となっている。
 
このアナーキーな状態において、国家が対外政策を立案する際、リアリズム(realism)とリベラリズム(liberalism)の立場の違いという壁にぶつかる。
リベラリズムの立場に立つ者は、国際的な相互依存が高まる中で国際協調は可能であるとの認識を持っている。
 
しかし、イランは、米国とイスラエルが同国とシリアの軍事同盟にチャレンジしていると見ており、シリアのアサド政権を打倒した後には自国への経済的、軍事的圧力を一層強めるとの現実的分析をしている。このため、イランは「対話」や「国際協調」といった言葉に隠されている意図を読み取ろうとやっきになっており、「力」を重視する政策立案を取ろうとしている。
ロシアや中国は、そうしたイランにすかさず武器取引を持ちかける。
一方、こうしたイランの軍拡に対抗すべく、アラブ湾岸産油国も防衛力強化に動き、米英仏との武器取引を活発化させ、さらには中国などからの武器購入も模索するようになる。
 
安保理常任理事国が主導する形で、国際社会のアナーキー状態が深刻化していく。
国連で始まった「武器貿易条約」の交渉は、このような状況を生んでいる武器輸出入に関して、国際法上の規制をかけようとする試みである。
日本はこの条約について、憲法の前文の国際平和を希求する理念を実現するとの目的で、中心的な役割を果たしてほしい。
それは、リベラルな憲法を掲げながら、国連のもとでつくる決議や規則を重ねて制度を構築するというリアルな行動をとるという難しい課題ではある。しかし、こうした外交活動を行うことが真の「クール・ジャパン」ではないだろうか。
EU71日から、イラン産原油の輸入禁止および同原油の運搬に関する「第三者損害保険」「環境汚染賠償責任保険」の供与を停止する。
本年326日のBSフジの「プライムニュース」で、イラン経済制裁問題で発言させてもらった折りに、(1)原油価1格は下落する見通し(2012年を通して1バーレル平均100ドル程度)であること、および(2)米大統領選挙前のイスラエルの対イラン攻撃の蓋然性は低下していることに言及した。3か月経た現在の状況はどうだろうか。
 
ここでは、原油価格について触れておこう。
626日にJPモルガン・チェースがWTI2012年の原油平均価格は1バーレル96ドル(2013年は99ドル)との予想修正を発表している。私自身の分析よりも欧米の経済見通しが思った以上に悪化している。
この分析のズレの要因としては、フランスのオランド大統領が打ち出す政策に関する認識不足であったことが挙げられる。
具体的には、イタリア、スペインに対する救済措置は、突き詰めていくと、財政や銀行に対する国家主権の放棄に結びつくことになる。果たしてフランス国民はそのことを望むだろうか。
 
チェックポイントは、誰に、何を、どのような過程で「分配」するかという点である。
例えば、ユーロ圏で財政が悪化しているS国に対し、ユーロ圏救済基金を使ってS国国債を購入することになった場合を考えてみる。その際、S国が緊縮財政に取り組むことを条件としないという柔軟な基準を入れたとする。そうなると、オランド仏大統領が提案する「ユーロ共通債」は信頼に足るものになるだろうか。短期的に、イタリアやスペインといった国を救えたとしても、EUの経済・政治統合の深化に悪影響を残すことになるのではないだろうか。
 
さて、この「分配」問題について、上記同様に短期と長期の観点のバランスが難しいのが「武器供与」に関するものである。
ここでは、シリア問題について考えてみる。
 
シリアは、626日にバッシャール・アサド大統領が「本物の戦争状態にある」と宣言したことに象徴されるように、内戦状態にある。国際社会は630日、ジュネーブで「連絡グループ会議」を開催し、事態の鎮静化に向けて協議を行う。
今回の協議は、シリア政府側、反対政府側の双方に、周辺国から武器供与が増加し戦闘がエスカレートしている中で行われることになる。
武器支援合戦がこれ以上激しくなると、内戦後の平和構築において武装解除や武器回収が難しくなる。また、シリアに投入された武器がレバノンやイラクの反体制グループやトルコの反体制組織PKKなどに流れることも懸念される。そうなると、中長期的に、中東地域で武力衝突が起きるリスクが高まることになる。
 
したがって、重要ポイントの一つは、国連安保理決議の経済制裁に違反して、アサド政権に武器供与を行っていると報じられているロシアやイランに、武器供与を停止させることである。
その一方で、人権保護の名目でのアラブ関係諸国からの反体制派への武器支援についても、誰にどのようなものを、どのような過程で行われているかを明確にし、自粛させねばならない。
 
そして、30日の協議では、次の点が前進することが望まれる。
1に、96000人(年内には185000人に達すると予想)のシリア人難民への緊急人道支援計画(資金19300億ドル)の実施。
2に、シリアとトルコの国境での軍事的緊張の打開。
3に、現シリア政権から政権移譲をするための暫定的「挙国一致政府」の樹立プロセスに関する認識の共有化。
そのためには、中国やロシアに対し国連安保理常任理事国として紛争解決への責任をとるよう迫る必要がある。
 
対シリア問題での安保理の対応のまずさによって、この3カ月の間に1日平均500人のシリア人が難民となり、最近では1日で100人以上の死者が出る事態となっている。
国際社会は、「保護する責任」を実行するために、今回のジュネーブの協議が外交上の転換点としなければならない。
仮に、この協議で打開策が見いだせなければ、内戦は悪化し、今回流入している武器だけでなく、シリアが1980年代から保有しているとの分析がある大量破壊兵器(化学兵器、生物兵器)やミサイルが拡散するリスクがある。
さらに、反体制派への武器支援を行っているサウジアラビアやカタール、およびそのルートとなっているといわれているヨルダンやトルコに対し、アサド政権側やイランなどからテロ活動をはじめ軍事的攻撃を行う可能性もある。
 
こうした点に鑑みれば、年末に向けて、EU経済の動向と合わせてシリア情勢が原油価格上昇トレンドを生む要因になることも視野に入れておく必要があるだろう。
大変ご無沙汰をいたしました。
また、時間の許す範囲でブログを書きますので、訪問していただければ嬉しく思います。
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戦略研究の権威であるトーマス・シェリングが「フォーカル・ポイント」(焦点)という考え方を提示している。
このフォーカル・ポイントとは、「相手が自分の行動に関してもっている期待と、自分が相手の行動に関して持っている期待とが収斂していく手がかりになるようなもの」である(※1)。
政策学では、特定のアイディアがフォーカル・ポイントとなって、関係者の協調的行動がとられ、政策実施がみられることがある点に注目する。
 
今日のエジプトの政治的混迷、シリアの内戦状態、イランの核開発問題については、関係者がこのフォーカル・ポイントを全く見出せない状況である。
何故、そうなるのだろうか。
それは、関係者の間に相互不信感があるからだろう。
 
例えば、619日にメキシコでのG20会議に参加したオバマ米大統領が、中国の胡国家主席およびロシアのプーチン大統領と個別に会談を行ったことが挙げられる。その席で、シリア問題が協議され、アサド大統領の退陣で事態の収拾がなされるのではないかとの期待があった。
しかし、ロシアと中国の首脳は、この案を拒否した。
その理由について、プーチン大統領は「誰を退陣させるべきか発言する権利はない」と述べている(619日、記者会見)。
 
このロシアには、バルト艦隊の大型揚陸船「カリーニングラード」をシリアのタルトゥース港に寄港させる動きがある(一部では黒海艦隊からも大型揚陸艦2隻がシリアに向かうとの報道もある)。
国際社会がシリア問題について、国連・アラブ連盟合同特使のアナン前国連事務総長による停戦調停を実現しようと努力を払っている傍らで、ロシアはアサド体制支援を行っているのである。
 
19日のオバマ・プーチン会談は約2時間にわたるものだった。しかし、両社はフォーカル・ポイントを見出せず、妥協できないとの姿勢を崩すことはなかった。
同会談について、オバマ・メドベージェフ首脳会談とは異なるムードであったとも言われている。
今後、オバマ・プーチン間の信頼関係が醸成できるかがカギとなる。
 
このように、シリア問題は現在、バッシャール・アサドの退陣による政治的解決(リセット政策)は壁にぶつかっており、内戦が長期化する恐れがある。
フォーカル・ポイントを早急に見つける必要が高まっている。
 
例えば、中国、ロシア両政府が否定しにくい「人権侵害」に対する非難をより強固にしていくことが一つの糸口になるのではないだろうか。
行動としては、国際社会が協力してソーシャル・メディアを活用し、中国、ロシア国内の市民を巻き込む形で世界各国の市民が、シリアの人権侵害の解決を訴えることはできないだろうか。
つまり、問題解決のための行動のレベルを、国家から市民という非国家に転換することで、新局面が生み出せないかと考えている。
理想論かもしれないが、個人個人が意識を変えることで「非対称の紛争解決」が動き出すのではないだろうか。
 
1河野勝・岩崎正洋編『アクセス比較政治学』日本経済評論社、2002
426日、パキスタンでは最高裁がギラニ首相に対し、法廷侮辱罪で有罪判決を言い渡した。同国で現職の首相が有罪判決を受けるのは1947年の建国以来初めてである。
同首相は最高裁に異議申し立てを行うとのことだが、有罪が確定すると憲法に基づき議員資格を失うことになる。
こうした政治情勢を受け、同国のザルダリ大統領は首相の後任人事や来年予定されている総選挙、大統領選挙の前倒しの検討に入った。
 
問題は、このパキスタンの政情不安が、アルカイダやタリバンなどのイスラム過激派武装勢力の活動を活発化させる可能性があることである。
アフガニスタンやインドではテロ活動に対する警戒の必要性が高まっている。特にアフガニスタンは気がかりで、415日に発生したカブールでタリバン勢力による大規模な政府施設への襲撃事件について、パキスン北西部に拠点を置く「ハッカニ・ネットワーク」犯行説が強まっている。
このハッカニ派について、米国はパキスタン情報機関との関係があるとの疑惑を抱いている。
 
さらに51日は、パキスタンでアルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者が米軍により殺害されてから1年目にあたる。
カーニー米大統領報道官は426日に記者会見で、この時期に合わせてイスラム過激派武装グループがテロ計画を実行することが考えられるとの見解を示し、関係機関への警戒を指示している。
 
2001911日から十年以上が経つ中で、米国では国土安全保障省が設置され国民の安全確保に努力が払われてきた。
しかし、「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)をはじめイスラム過激派武装組織が米国本土や海外の関係施設を標的とするテロ攻撃の脅威は、現在も続いている。
カナダの安全情報局(CSIS)のトップを務めるリチャード・ファシデン氏は、議会上院の反テロ委員会で423日、アルカイダはこれまでのグループ的行動から、単独犯による攻撃を呼びかけるようになっていると述べている。そうだとすると、犯行対策はより難しくなる。423日にロイター通信も英国、オーストラリア、米国の情報機関も単独犯への警戒を強めていると報じている。
 
こうした見方に鑑みれば、欧米社会内でのイスラム教徒への監視の目は今後強まり、さらなる対立の芽が生まれるとも考えられる。それは、人の移動の自由度を高めるグローバル化の影の部分がうつしだされたものともいえるだろう。
北東アジアでは、北朝鮮と韓国間の緊張が高まっている。しかし、日本国内のメディアの関心は、小沢一郎衆議院議員の裁判で無罪判決が下りたことから一気に国内政局へと向かっている。
かつて日本では、国内メディアの関心が拉致家族問題に大きく傾き、北朝鮮問題で国交正常化を進め、国際的に大きな問題となっていた同国の核やミサイル問題の解決の糸口を見出そうとしていた外交が頓挫したことがある(拉致問題が重要でないといっているわけではない)。その時、国際社会は、日本国民が北東アジアの安全保障の確立より拉致家族問題の方が重要な政治問題となることを不可解だとしていた。
 
これから、メディアはおそらく取材しやすく国民の関心を引けそうな、小沢議員の裁判から民主党復党問題、そして9月の民主党代表選挙などの与党の党内情勢や、政界再編を視野に入れた衆議院解散関連の話題を大いに報じていくのだろう。そうなると、また日本国民の朝鮮半島情勢への関心が薄れることが懸念される。
 
日本に、政権交代があっても変わらない長期的な対外政策があれば、その政策を踏まえて外交政策や外交を執行することができる。しかし、現在のところ、政党を超えて、政治家、研究者、官僚が共有できる安全保障政策さえないように見える。
そのことによって、議員外交や地方自治体の国際活動などで、それらの目的はともかく、結果的に国際社会から個人ベースの対外行動だとのマイナス評価を受けてしまう「新たな外交課題」が生まれている。
 
今、日本を取り巻く国際環境は、小泉政権当時と類似しており朝鮮半島問題と、中東地域に関する国際貢献問題についての政策立案を迫られている。
小泉政権では、朝鮮半島問題に関する日米の国際協調がスムーズでなかったことから、米国の中東政策を、より積極的に支援した。
小泉政権当時のイラクでの国際貢献と、現在のシリアでの停戦監視活動との違いを上げれば、国際要因では、今回は国連から要請(425日)されている点である。
また、国内要因では、法的根拠について、小泉政権ではイラク復興支援特別措置法の国会審議が難航したが、今回のシリア問題は国連平和維持活動(PKO)であるため、野党が、停戦合意はあるが停戦状況になっていないことを問題視して政局に持ち込まない限り障害は小さいという点が挙げられる。また政策立案過程においては、当時の自民党と政府間の連帯性に比して、野田政権においては、政府内での政策調整(例えば外務省と防衛省)や、与党内での対立も懸念される。
 
シリアへのPKO派遣問題でポイントとなるのは、政策立案上、派遣された者が負う「リスク」をどう見るか、また、「国益」「国際協調」「人間の尊厳」といった外交政策を考える上での3要因をどのように分析するかである。さらに、南スーダンおよびゴラン高原での日本のPKOとの関係についても考慮する必要がある。
 
私の結論は、シリアでのPKOには貢献すべきというものである。
シリアへのPKO派遣は、次の3点が理由である。第1は、シリアで今後、平和的に市民が求める公正、公平な国づくりが進められるためには平和構築の必要性がある。第2に、1万人近くの死者や多数の難民が出ているに鑑みれば、派遣の緊急性はある。第3に、300人規模の停戦監視員による国際介入は、シリアの内政バランスを直接的に大きく変えるものではなく、均衡性があるといえる。
この点を踏まえ、日本政府が世界の平和を希求するとの憲法の理念に照らして、積極的に国際協調政策をとり、1カ国平均数人程度との国連の要請に二桁に近い派遣人数で回答することを期待する。
また、そのことが、シリアの人々の人間の尊厳を守ることになり、加えてサウジアラビア、カタールをはじめシリア情勢の鎮静化に努めている湾岸アラブ産油国への強いメッセージとなり、国益にもかなうことになる。
 
もし、今回のPKOが失敗に終われば、国際社会はNATO加盟国であるトルコ領内へのシリアの発砲を理由に、NATO条約第4条に基づいて、シリア領内に安全地帯や人道回廊を設置するという段階に入っていくだろう。
そうなると、シリアでの内戦が定着化し、犠牲者が今以上に増える可能性がある。それは避けるべき道筋だろう。
その意味で、国民もマスメディアも政局のみに目を向けるのでなく、北朝鮮問題をはじめシリア問題などの国際情勢に関心をもってもらいたい。

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