全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
センター試験から1週間が過ぎた。大学ではいよいよ本格的入試シーズンを迎える。昨年まで国際学部の入試委員長だったため、このところずっと受験生の志願動向が気になってしかたがない。
というようにブログを休んでいた言い訳を述べた上で、中東地域の現状について記すことにする。
 
国際社会が現在、中東地域に関し特に注目している課題が2つある。1つは、核拡散阻止という「国際益」に関わるイランの核開発への対応である。そして、もう1つは「人権保護」という地球市民の観点に立った課題である、反政府行動を弾圧し続けているシリアのアサド政権への対応だ。
イラン核開発については、イランが国際原子力機関(IAEA)の調査団を129日から31日に受け入れるとの動きが出てきている。また、118日にイスラエルのバラク国防相が同国軍の放送で、イランへの武力行使について「当面、先の話」とコメントしたと報じられている。さらに、119日にイランのサレヒ外相がトルコを訪問し、地元テレビで、ホルムズ海峡封鎖について「イランは歴史上、この重要な海路の航行を妨げたり、障害を置いたりしたことはない」として、「平和と安定を望む」と語っている。
 
これらの変化の背景には、115日付「ニューヨーク・タイムズ」が報じた、オバマ大統領からイランのハーメネイ最高指導者への手紙があるようだ。その内容は公表されていないが、イランのファルシ通信は、手紙の最初は脅迫だが、後半で対話を申し出ていると伝えているとのことだ(119日付CNN配信)。
こうした米国の動きについてロシアは、118日にモスクワでの年次記者会見においてラブロフ外相が、米国の対イラン政策の狙いは制裁によりイラン経済を「窒息状態」にし、国民間の分裂をはかることだと警告した。
 
このラブロフ氏の見方は興味深い。それというのも、米国は、昨年末、オバマ大統領が署名した「国防権限法」を最大限に使って、3月に予定されているイランの国民議会選挙に影響を与えようとしていると分析できるからである。
イラン国内では、イラン・リヤルの下落や経済制裁による物不足からくる物価高で、市民生活が悪化していると報じられている。
ハーメネイ最高指導者は、先に「イランの核開発は国民運動であり妥協はない」と述べている。
いよいよEU、中国、韓国、日本などのイランからの原油輸入が減少していく中、イラン国民は2月の革命記念日、そして3月の選挙でどのような「選択」をし、行動するのか注目される。
 
次に、シリア問題について見ていこう。
アラブ湾岸産油国(サウジアラビア、UAE、カタール)を歴訪中の中国の温家宝首相が、「人民の改革要求を支持、尊重する」(119日、北京時事)と述べたことが注目されている。
中国からこうした発言が出るほどシリアの状況は緊張しはじめている。国連関係者によると、シリアでの市民の犠牲者は5000人以上となっている。116日には潘国連事務総長がUAEで、「事態はこれ以上容認が許されないところまで悪化している」と述べ、安保理での問題解決を促した。
この国連安保理の問題解決の障害となっているのがロシアである。同国は、16日には独自の新決議案を安保理メンバー国に配布した。しかし、その中身は、アサド政権への暴力停止を求めるとのレベルで留まっており、解決に向けた積極的提案とは程遠いものである。
 
一方、アラブ諸国内では変化も見られている。先般、カタールのハマド首相は、アサド政権の市民弾圧を停止させるためにアラブ諸国の部隊を派遣させる可能性について言及した。これに対し、シリアは、117日、国営シリア・アラブ通信で、これを「断固として拒否する」との外務省声明を発表した。
シリア国内ではアラウィ派から反政府抗議活動に加わる人々が顕在化し始めたとの報道もある。
今後のシリア情勢では、300人にまで増員されるアラブ連盟の監視団の動向に注意をはらう必要がある(126日にダマスカス入り予定)。
 
なお、この2つの他に経済面では、EUの国債問題の影響を受けてドバイの経済状況が悪化している。15日から開催されている「ドバイ・ショッピング・フェスティバル」もあまり好調でないことが気がかりである。
 
※日本文化チャンネル桜で、中東情勢について解説しました。
ご興味がありましたら、以下の動画をご覧ください。
 
「アラブの春」から1年という特集がメディアで組まれる中で、イラン、シリア両国の政治情勢も緊張を増している。
この両国への対応に関し、国際社会において温度差が生じている。それは「新冷戦」とも言われはじめた、一党独裁的国家の中国・ロシアと米国・EU諸国の間の対立構図の一コマとして現れているようだ。
対立の焦点は、「主権国家」への内政干渉のあり方である。それは国連憲章に謳われている主権国家を守る憲章の第2章と、国際的な脅威への集団防衛権を認めた第7章の間の矛盾という問題を再び思い出させるものでもある。
 
では、中国とロシアは、シリアおよびイランの問題についてどのような認識をして政策立案を行っているのだろう。端的に言えば、「国益」重視である。
中国の対イラン政策は、(1)エネルギー資源の確保にとって重要な国、(2)武器輸出先、(3)インフラ整備事業の発注国という認識のもとで形成されているといえそうだ。また、ロシアも、原子力発電プラントの輸出先という認識といえる。
そして、シリア政策については、中国もロシアともに大きな経済権益は持っていないが、ロシアは対シリアへの軍事援助を行っており、ロシア海軍の寄港先も有している。
さらに、ロシアと中国は、欧米が人権問題でシリアへの内政干渉を行えば、それが人権問題に関する国際社会の対応の前例となることを恐れていると考えられる。つまり、両国は内政干渉を受けるリスクを重視する問題設定をしていると言える。
これに対し、米国・EUは、もちろん国益重視ではあるが「国際益」「地球益」という観点から「保護する責任」「核兵器の拡散問題」に重きを置く問題設定を行っている。
 
したがって、国連安保理での政策合意を見る場合は、両者のフレーム調整が欠かせなくなる。
しかし、この調整は、現実的に難しい上に、今後も中国の国力が増す中で、両陣営がリフレーミングすることはほぼ絶望的のように思う。
その意味で、イラン、シリアに関する両陣営の政策対立は「新冷戦」のプロローグともいえそうだ。
 
なお、イラン問題に関する国連での解決の蓋然性は低く、イランの出方次第では、米・英を中心とした国際社会の対応がエスカレートすることも十分考えられる。
110日の原油先物市場で、北海ブレント原油が1バレル113.48ドルを付けた。価格上昇の要因は、ナイジェリアの宗教対立とイラン問題だと報じられている(10日付けロイター)。
イランの核開発問題については、19日に同国最高指導者ハーメネイ師が核開発計画を放棄することはない旨の演説をした。
今のところ、EU123日の外相会議でイランからの原油輸入禁止措置を決定する予定である。
 
今後、国際社会でイランの原油輸入禁止という制裁圧力が強まれば、イランは「一滴の原油もホルムズ海峡を通さない」(127日のモハンマド・レザー・ラヒーミー第一副大統領)との言葉に沿って行動するのだろうか。
そのことについて考える上で、条件を少し整理しておこう。
 
まず、第1はイランの封鎖能力である。
イランがホルムズ海峡(幅34km)を封鎖する手段としては、(1)機雷敷設、(2)対艦ミサイルの活用、(3)ロシア製潜水艦の活用が考えられる。
かつて、イラン・イラク戦争時に、イランは高速ゴムボートでペルシャ湾を航行するタンカーを攻撃した。その当時と比較すると、封鎖能力は数段上がっている。
2は、EUが経済危機の最中におかれていること。
3は、米国がイラクから兵を撤収し、アフガニスタンでは撤退過程にあること。
4は、イランが現在も北朝鮮と友好な関係にあることである。
 
こうした条件がある中、イランの政治指導部の選択肢は、
(1)交渉による問題解決
(2)中国を巻き込んで、現状維持
(3)軍事的に強硬姿勢を貫く
等が考えられる。
蓋然性の高さは(1)⇒(3)になる。
おそらくイランが軍事演習など強硬姿勢に出ているのは、原油価格を上昇させ、交渉において揺さぶりをかけるためだろう。
 
中国は制裁強化を否定する姿勢を早くも示している。
近く、トルコの仲介で1年ぶりに実施される見通しの安保理5カ国プラス・ドイツのグループと、イランとの協議に注目したい。

ユーロ危機の教訓

国際社会では、欧州の財政不安国の1月の国際入札に注目が集まっている。スペインについては12日、17日、19日、24日に、イタリアについては12日、13日、26日、27日、30日に実施される(イタリアは2月も4回実施)。
この入札が難航した場合、国際市場でのユーロ諸国の国債はさらに値下がりし、同国債を保有している銀行の財務が悪化することになる。その結果、ユーロ圏の金融システムの不安定性が高まるとの懸念が出てきている。
 
この国債入札を前にした19日、サルコジ仏大統領とメルケル独首相がベルリンで会談を行い、ユーロ危機における対応について協議する。
この2人の首脳の対応しだいでは「西洋の没落」(シュペングラーの著作)が現実味を帯びるとの声もある。
デーリー・テレグラフ紙によると、イギリスはすでに「緊急対応」を検討しているとの報道も流れている。
こうしたユーロ危機が信用収縮へと波及すれば、国際経済をけん引している新興諸国の経済への悪影響というリスク連鎖が生じる。そうなると「西洋の没落」では済まない。
 
現在のユーロ危機から日本は何を学ぶべきだろうか。
歴史学者である東京大学の山内昌之教授は、「古典文化とキリスト教の共通性を誇り、数字の東郷段階を経験してきたEUでさえ・・・・国民国家の記憶と枠組みを超えられなかった」と指摘した上で、「東アジア共同体への道のりは果てしなく遠い」と述べている(「経済教室」201219日『日本経済新聞社』)。この文明や歴史の観点からの分析は妥当性が高い。
 
さらに政策学的な観点から指摘するならば、ユーロ諸国間の財政政策の結束(財政統合化)が十分はかられなかった点や、ユーロ圏の所得移転を促すユーロ共同債の発行の遅れが政策的失敗と言えるのではないだろうか。
それは、EU諸国が2008年のリーマン・ショック以前に「グレート・モデレーション(大いなる安定)」と言われる安定成長期を経験したことで、現在の歴史的な危機を過小評価してしまったことが要因だと考えられる。
つまり、人間はリスク過小評価、チャンスの過大評価という政策選択ミスをしがちであるとの指摘が当てはまった事例である。
 
このことは、日本の東日本大震災における津波の対応、さらには福島の原子力発電所の事故などにも当てはまる。
ユーロ危機は、意思決定プロセスにおける「リスク連鎖」を十分に評価しておく必要性を教訓として学ぶべきだと言えるだろう。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は16日、ダマスカスで自爆テロとされる爆発があり、死者26人、負傷者63人が出たと報じた。自爆テロは、死者44人を出した昨年1223日に次いで2回目である。
同事件についてシリアの国営テレビは、国際テロ組織アルカイダ系勢力の犯行だと伝えている。一方、反体制派組織のシリア国民評議会(SNC)はアサド政権の犯行との見解を表明している。
 
シリアでの市民抗議活動は、国連の推計によると20113月に始まって以来、同政権の弾圧により市民約5000人が死亡しており、治安関係者の使者も約2000人に上っている。
この問題への対応として、アラブ連盟は現在シリアに監視団(100人)を派遣しており、18日にも外相会議を開催し、今後の対応を決定するとの報道がある(16日付CNN)。またアラブ連盟は、同問題に関し同月5日にカイロを訪問した米国のフェルトマン国務次官補と協議を行っている。
そこで、以下にアラブ連盟が今後シリア問題でどのような政策をとるのか考えてみる。
 
ここでは、政策は「政策決定の場に参加するアクター間の利益の相互作用の産物」であるとする(多元主義的政策観)。
まず、アクターは国際的には(1)アラブ連盟、(2)国連、(3)米国・EU、(4)イスラエル、(5)トルコである。
これらのアクターの利益を制約する要因としては、アラブ連盟と国連が昨年3月からシリアに対して発している「いかなる暴力も容認できない」との表明が挙げられる。これにより、リビアで行われたような「保護する責任」のもとでの国際的軍事介入は難しいものとなっている。
 
その背景には、軍事介入による問題解決は、リビアの事例でも見られたように、短期的なものでない限り協調行動に不協和音の発生や財政負担が重くなるというリスクがあるとの米国・EUの認識がある。また、アラブ連盟もイスラエルもポスト・アサド体制におけるイスラム主義勢力の台頭を恐れている。そして、トルコは国内への難民流入を阻止しシリアとの緊張関係を緩和するための「緩衝地帯」が設定できれば、それ以上のリスクをとる必要はない。
したがって、国連、米国・EU、トルコは、アサド政権による市民への弾圧を止める手段として、アラブ連盟による監視員の増員を要請する政策を優先することになる。これは自国への飛び火を恐れるアラブ連盟諸国およびイスラエルの利益とも一致すると考えられる。
このように分析すると、アラブ連盟はシリア市民の人道問題の監視を強化する政策を選択する蓋然性が高い。
しかし、シリア情勢はその閉塞状況の打開を求め、離反した自由シリア軍が政府機関を標的とした攻撃を激化させる蓋然性が高まっていると言える。そして、それによりアサド政権が市民弾圧をエスカレートさせ負のスパイラルが生まれるという最悪のシナリオも見えてくる。
 
国際社会の政治指導者たちは、このようなシリアの「人道危機」の高まりを認識する洞察力を持っている。しかし、現在のところ国際社会は、再度、国連安保理においてシリア問題における「保護する責任」を踏まえた制裁決議案を採択するための行動をとろうとしていない。
その理由としては、国際社会では2012年が選挙の年に当っていること、財政危機を抱える各国政治指導者たちはリーダーシップを発揮できない、などがあるだろう。
そうだとすれば、シリア問題だけでなく、イランの核開発問題、米軍撤退後のイラク、アフガニスタンの安定化問題の解決も、短期的には難しいと言える。
 

.
cigvi2006
cigvi2006
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事