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2月24日、サウジの東部アブカイク油田の石油施設が自爆テロ攻撃を受けた。この攻撃でパイプラインに引火したものの、すぐに消化されたため、同油田の稼動状況は大きな被害を受けずに済んだ。犯行グループについては、「アラビア半島のアルカイダ」がインターネットで声明を出しており、2004年2月よりサウジ石油施設を標的とするテロを表明していたアルカイダ関連組織が実行したとの分析が強まっている。
これにより、ニューヨークの原油先物市場はWTIが1バーレル63.25ドルまで上昇した。世界の需給バランスで原油の余剰生産能力は200万B/Dといわれており、サウジやイラン等の大型原油施設からの供給が途絶えると、原油価格に大きく影響する状況にある。また、環境にやさしい天然ガスにおいても、価格高騰や企業買収、さらにロシアのウクライナへの供給停止等があり供給に不安要素がある。現在のエネルギー需給は、中国やインドなどの経済発展という潜在的な供給不安がある。このため、原油価格は上記のような出来事や自然災害などに、より敏感に反応する傾向にある。1月末にはブッシュ米大統領が一般教書で脱石油への技術開発を表明し、2月には中国が国家中長期科学技術発展計画綱要でエネルギーを重点分野に設定した。
ここ数年来、日本では石油・天然ガスなどのエネルギーを市場商品として見る向きがあったが、諸外国ではエネルギー安全保障上の戦略物資としての意識が一層高まっている。その例として、ロシアのガス供給停止直後に欧州各国が厳しい抗議を行ったことが挙げられる。また、ロシアのウズベキスタン、キルギスタン、トルクメニスタン等でのガス田開発・パイプラインへの投資も、中央アジア諸国との関係強化のみならず、ガスの供給先となるNATO諸国を視野に入れた資源外交と言える。一方、パキスタン、イランとのパイプライン構想があるインドに対し、原子力分野での協力を進めるフランス、米国が資源外交を展開している。
日本では、エネルギー価格の高騰で一部の企業が過去最高益を上げており、海外でのエネルギー事業への大型投資も見られている。しかし、現在のところ政府レベルでは、中東、ロシア、東アジア諸国においても資源外交としての目立った成果は見られていないようだ。石油施設へのテロ攻撃が起きたという現実から、もう一度、エネルギー安全保障を踏まえ、官民一体となったエネルギーシフト戦略を動かし始めるべき時ではないだろうか。
☆「複眼で読む中東報道」(http://cigvi.exblog.jp)もご参照いただければ幸いです。
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