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ブッシュ政権がイラン空爆作戦を検討していると4月8日に米誌ニューヨーカーが伝えて以来、原油価格が上昇している。ニューヨークの原油先物市場では、4月17日には1バーレル当り70ドルをつけた。これは、昨年8月30日のハリケーン・カトリーナにより原油施設が被害を受けた際に、付けた価格70.85ドルに迫るものとなっている。
4月17日の国際通貨基金(IMF)の世界経済の見通し報告においても、原油価格上昇は、(1)経済格差の拡大、(2)米国の経常赤字への影響、(3)景気後退の懸念が指摘された。また、この問題は、21日にワシントンで開催予定の先進国7カ国財務相・中央銀行総裁会議での中心議題となる。同会議では、世界銀行主導で、原油価格の上昇による開発途上国の経済的ダメージを軽減する枠組みも検討されるといわれている。
このような原油価格の上昇は、イラン情勢の緊迫化から、ペルシャ湾ルートの原油供給が逼迫するとの懸念だけが要因だろうか。通常、インドや中国の潜在的なエネルギー需給が高まる中で、株式市場から原油先物市場に資金が流入することがしばしば指摘されていた。しかし、この3月末から4月にかけての価格上昇では、むしろ米国国債相場から資金が流入したとの分析がある。このように、先物市場においては、多額の流動資金が動くことによって、原油価格の上昇が見られており、実際の需給バランスでは供給量が依然として多い。現在の価格の上昇について、カタルのアティーヤ・エネルギー産業相は4月17日、原油価格が高すぎるとの認識を示した上で、OPECには原油価格を抑える手立てはないと語っている。
現在、米国経済を支えている外国からの資金流入は、アジア(日本を含む)からが41.2%、欧州からが39.7%であるが、原油価格の上昇にともない、対米投資資金を絞り込む可能性もある。仮に、米国の経常赤字を埋めている外国からの資金流入に影響を与えるようなことになれば、ドル安の発生が懸念される。そして、現在も基軸通貨であり続けているドル安の影響としては、(1)対米貿易、(2)米国債の為替差損等が挙げられる。
こうした状況を見るだけでも、米国がイランとの交渉で殆どカードを切れない状態にあり、イラクへの武力介入前とは、かなり様子を異にしていることが分かる。
☆「複眼で見る中東報道」(http://cigvi.exblog.jp)もお読みいただければ幸いです。
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