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5月2日、ボリビアのモラレス大統領が天然ガス事業を国有会社の管理下に置くことを発表した。この他、エネルギー分野での国有化問題で注目されているのが、ベネズエラやペルーである。これらの国有化が推進されると、(1)エネルギー価格の上昇、(2)エネルギー分野での投資の停滞が懸念材料となる。
エネルギーの需給バランスは、4月23、24日にカタルのドーハで開催された国際エネルギー・フォーラムに参加した同国のナイミ石油相が述べたように、供給量は不足していない(OPECの余剰生産は200万B/Dある)。では何故、原油価格が高止まりしているのだろうか。政治面では、(1)イラクの治安回復の遅れ(原油輸出の低迷)、(2)イランの核開発問題、(3)ナイジェリアの供給不安が挙げられている。これに、ボリビア、ベネズエラなどの南米の国有化問題が加わることになる。次に、石油製品からみると、米国のガソリンは低温でも燃焼をよくするため冬季に揮発成分を多くするが、夏季には揮発成分を除去するため、通常でも精製コストが上昇し、2月頃からその兆候が見られ6月がピークになるといわれている。また、現在の米国の製油所の稼働率をみると、米エネルギー情報局の調査でも、昨年のハリケーン・カトリーナの影響や大型製油所の点検・補修も加わり、80%代(ピークは96%)に留まっている。このように、石油製品不足がニューヨークの先物市場に影響を与え、本来とは逆に、原油価格の上昇に結びついている。なお、米国の製油所の状況は、今後5〜6年は現在の脆弱な状態が続くといわれている。また、原油が金、為替、株と同様に、投機の対象となっていることも高止まりの要因である。
さて、注目されるエネルギー分野の国有化であるが、過去の例では、税金、ロイヤリティー(使用料)を引き上げるカードとして使用されるケースが多かった。また、株式保有率を51対49などとする合弁会社になるケースが見られる。逆に、交渉条件次第では、メジャー側が開発権を売却したり、契約を盾に法的保障を求めるケースも見られている。国有化政策の実施については、中長期的に見ると、実施国では、外国からの投資の減退や技術革新の遅れなどのデメリットが生じている。今回、中南米諸国がこのような強気の姿勢を示す背景には、エネルギー消費大国の中国の存在が大きく、欧米メジャーと対立しても問題ないとの読みがあると思われる。
4月27日、フィナンシャル・タイムズ紙は、ブッシュ米大統領が戦略備蓄の一部取り崩しや大気汚染防止法の一部緩和に着手したことを報じる一方、米国の石油依存症の治療に同大統領が失敗したと指摘している(一人当たりのエネルギー消費世界第1位)。このまま米国でガソリン価格が1ガロン(3.8リットル)3ドルを超える状態が続くと、国民消費にも影響が出るとの懸念もある。そして、それは11月の中間選挙に悪影響を与える問題ともなる。また日本でも、ガソリンの小売価格が1リットル3=10円上昇し、製品コスト、輸送コストに影響が出始めている。同様の問題は、アジア諸国やアフリカ諸国でも見られている。この南米エネルギー供給国の国有化の動向によっては、途上国の経済危機という新たな問題も視野に入れるべき状況になる。このように見ると、南米の国有化問題は国際社会の多方面に影響を与えかねない。アジア外交を推進する日本として、この問題から生じるリスク・マネージメントを真剣に検討すべき時期であろう。

☆「複眼で見る中東報道」(http://cigvi.exblog.jp)もお読みいただければ幸いです。

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