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昨日のブログでは、イランからの原油輸入の先行き不安に言及した。そこで、少し飛躍するが、日本のエネルギー安全保障について考えてみる。
日本のエネルギー供給は民間企業が主体であり、規制緩和の中で消費者重視でなされている。一方、政府はエネルギー安全保障の観点から2006年5月に、「新国家エネルギー戦略」を発表した。この中で提示された主要数値目標を紹介すると、次のようになる。(1)GDP当たりのエネルギー効率指数を2030年までに、2003年度の実績に比して30%以上の改善を図る、(2)一次エネルギーにおける石油依存度に関し、2030年度で40%を下回る水準にする(2003年度は47%)、(3)海外での資源開発(自主開発)を2030年度で40%程度にする(現在は15%)。その他、同戦略では、輸送部門における石油依存度の低減や原子力発電量の数値目標を挙げている。現在の中東地域の情勢を踏まえてエネルギー安全保障を考えると、(2)と(3)の改善がポイントとなるだろう。
IEAによると、2030年の世界のエネルギー需要は、2002年と比較すると6割の増加が予想されている。この増加するエネルギー需要に対する安定供給を確保するためには、新規の石油、天然ガス分野への投資に約6兆ドルの費用が必要との予測もある。しかし、現状の石油資源開発を見ると、埋蔵量の35%が国営石油会社のみがアクセスできる地域(サウジアラビアやクウェイトなど)、20%が外国資本の参入に制限がある地域(イラン、ベネズエラ)にあり、石油メジャーは、世界の7%の石油しかコントロールできていない。このため、産油国が石油収入を石油開発投資に循環させるか、外資の導入条件を大幅に緩和させるかなどの政策が見られない限り、原油生産余力が低下する傾向にある(現在は200万B/D、現在のイランの輸出量相当)。これに加え、中国、インドの経済成長をはじめとする石油需要の拡大が見られており、需給バランスは逼迫した状態になりつつある。
このような状況において、原油消費国がエネルギーの安全保障を中長期的に考えるに当たっては、石油依存度をいかに低下させるかが重要になる。そのため、エネルギーの供給では、原子力発電の増加に加え、新エネルギー(太陽光発電、バイオマス・エネルギー、風力発電、燃料電池・水素など)の技術革新を戦略的に行う必要がある。この点において、ブッシュ政権は2006年1月に一般教書において、石油中毒からの脱出を宣言し、先端エネルギー・イニシアティブ(AEI)を提示した。また2025年までに中東から輸入している石油の75%以上を代替する目標を示している。このため同政権は、2007年度から21億4600万ドルの予算計上を行い、太陽光エネルギー、バイオマス・エネルギーをはじめとする新エネルギー開発に力を注ぎ始めている。
日本のエネルギー安全保障は、従来、石油の安定供給やシーレーン防衛に主眼を置く傾向にあった。しかし現在起きているエネルギーの構造的な変化を前に、豊富な石油収入を新エネルギー・ベンチャー企業への投資に誘導するなど、産油国を巻き込んだ新エネルギーの開発という大胆な構想も検討すべきではないだろうか。それによって、ともに経済成長のステージに立つことも可能だろうし、ひいては地球環境問題の改善にも寄与することにもなるだろう。

☆もう一つのブログ「複眼で見る中東報道」(http://cigvi.exblog.jp/ )では、中東現地報道(英語、電子版)より、日本のマスメディアの落穂拾いを中心に掲載しています。ご興味があれば覗いてみてください。

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