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グローバル化について、高い山にたとえて語った人がいた。4、5千メートル級の山に登るには、自分の体力にあったコースを良く見極め、高山病にならぬようにゆっくりと登らねばならない、そして、下る時のことを考え余力を残しておかねばならない、との言葉は、大いに考えさせられるものであった。
さて、日本政府は、月内に国家安全保障に関する官邸機能強化会議の最終報告を発表する。そこでは、新設の国家安全保障会議(NSC)による年次方針策定が提案されるとのことである。この年次方針策定の目的は、それに準拠して外交政策を立案することであるが、同方針を関係国に広報することで、日本の外交姿勢に対する理解を深めてもらうという狙いもあるようだ。
この考えは、昨日、参議院の参考人として私が、インテリジェンス・コミュニティーの再編とパブリック・ディプロマシーの強化の必要性について提言させていただいたことと近いものがある。ただし、このような政策プロセスをはじめる前段として、身の丈を知ること(私は、日本は大国ではなく中堅国家だと認識している)、また国民に対して、国際情報資料(インフォメーション)の洪水の中から、客観性の高い情報(インテリジェンス)を提供するシステムをつくることが必要だと述べた。それによって、複数の情報が組み合わされて、相乗効果によって全体が少しでも明確に見えるようになる。その結果、日本国民一人一人が国際社会への関心を高め、外交のあり方を判断するようになり、外交の質が高まることになる。そのためには政府は「国民に知らしむべし」の立場で、今以上に情報開示をする必要があると私は考える。
「国民に知らしむべからず」の考え方で、一部の有識者が日本のあるべき方向を定めることは、果たして良いことなのか。外交は、最大多数の国民が最大の安全を得、幸福になるための手段の一つだろう。少なくとも民主主義国家に生きる国民には、その外交について吟味する権利と義務があると考える。そして政府は、その国民の望みや要望を汲み上げねばならない。そのためには、国民と情報分析者、調査企画者などが一堂に会して議論する必要があるだろう。この意識を、国境を越えて関係国の国民にまで広げることで、パブリック・ディプロマシーが強化されることになる。
報道で知る限り、日本版NSCは中央集権型情報体制として動き出しそうだ。それは、議院内閣制を敷く日本に見合ったものだろうか。欧米システムを取り入れるに当たっては、自らの体質、体力を知り、自らに見合ったものとして導入する必要がある。現在の進め方では、グローバル化のたとえ話で言えば高山病になる可能性があるのでは、と危惧される。

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