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来日中のロバート・J・リーバー博士(ジョージタウン大学教授)の、米国の外交政策に関するお話を聞く機会を得た(同博士はハーバード大学、オックスフォード大学などでも教鞭をとられた著名な国際学者)。その内容は『アメリカ外交の大戦略』の著者J.Lギャディス博士とも通じる点が多く、米国の外交の真髄を垣間見たように思った。
リーバー博士の話の焦点は、大量破壊兵器拡散とイスラム過激派テロが結びつくことへの脅威についてであった。この脅威に対し、国連はその脆弱性などのため、加盟国の安全保障を確保することができないだろう。そして、国際社会のどこかで5〜10年以内に大きなテロ攻撃が再発する蓋然性はかなり高いと分析する研究者が複数いると紹介した。同博士は、現在の国際政治の状況を考察するに当り、国際政治学者の中にはこの脅威をあまり重視しない人々もいると指摘した。その一人としてフランシス・フクヤマ氏を上げ、冷戦の終焉に対する高い評価が、新たな脅威に対する過小評価を生じさせているのではないかと説明した。 中東和平問題が進展しようが、イラクで平和構築が達成されようが、イスラム過激派による国際テロはなくならない。国際社会において近代化、グローバル化の進展を確固たる自らの文化価値で否定し、それを阻止する手段として暴力を用いることを正当化する人々が存在する。現在、国際社会はテロの予防措置として犯罪情報の共有化、捜査体制の構築、資金源の取締りに関する協調行動などに努力している。また、事後対応策として、人命救援活動の連帯、裁判支援等を行っている。これらは、リスク管理という観点で経験を踏まえ、着実に進展している。しかし、テロリストを生む土壌の改善は見られていない。ある研究者はテロリストを生む国の教育を問題視する。ただ、9.11同時多発テロの犯人の中には欧米の大学で学んだ高学歴者もいる。ロンドンの7.7同時多発テロでも、英国の教育制度を受けてきた青年が犯人であった。この点から見ると、教育を改善するだけでは対応不足であろう。 リーバー博士はこのようなテロが生まれる現状と、大量破壊兵器拡散の傾向を重く受け止めている。そして、こうした脅威についての共通認識を持てないことが、国際社会の新たな秩序作りができない要因だと見ている。同博士の見方に立てば、北朝鮮問題、イラン核開発問題において、国際社会はその脅威の根本を十分理解し対応する必要があるといえるだろう。 |
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