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本年1月、安倍総理は北大西洋条約機構(NATO)で、国際的な平和と安定のためであれば自衛隊が海外での活動を行うことをためらわない旨の演説を行った。一部のマスメディアが既に紹介しているように、このNATOでの発言とアフガニスタンでの「わが国の人的貢献の強化」とは思考的に結びつくものである。アフガニスタンにおけるNATOの活動は、現在、平和定着に向けての解決策が見出せない状況にある。そのため、同国への兵力派遣国は、自軍の被害を最小限にする方向で部隊の駐留場所などに条件を出し始めている。4月30日発表の米国務省の2006年版テロ活動報告書でも、アフガニスタンでのテロ発生件数は増加している。
この中、日本では国際貢献の一環として、対アフガニスタン支援強化が検討段階に入っており、文民警察派遣や非政府活動(NGOなど)の強化が検討されはじめている。このことは、先の日米首脳会談や外相・国防相会談(2+2)でも取り上げられたとの報道もある。そこで、以下に最近のアフガン動向を少し見てみる。
4月30日、トルコのアンカラで、パキスタンのムシャラフ大統領とアフガニスタンのカルザイ大統領が会談し、再度テロ対策について協議した。昨日のブログでも言及したが、アフガニスタンの治安回復にとって、パキスタンからのイスラム過激派(タリバン)の流入は大きな問題となってきた。これによってアフガンで支配領域を拡大しているタリバンの動きを阻止するため、この春、アフガン駐留NATO軍は「アキレス作戦」を実施した。しかし、この成果について、国際治安支援部隊(ISAF)のダン・マクニール最高司令官(米陸軍大将)は、現在の4万5000人規模の兵力ではタリバンを制圧できないとの認識を表明した。また、NATO関係者の中では、武力制圧よりむしろ同国南部のいくつかの地域での治安安定化、復興事業の展開に力を入れ、“平和の果実”を部族の長老に実感させ、それを順々に同国全土に広げていく戦術を取るべきだとの発言が強まっているとの報道もある。これは、イラクでも実施されている、NGOと軍民共同で行う地方復興支援チーム(PRT)の活動である。このPRTにおける軍の活動には、人道支援のみならず治安維持という平和維持活動も含まれている。
5月13日付AP通信は、タリバンのオマル最高指導者の側近であるダドゥラ司令官が戦闘により死亡したと報じた。また、5月19日付ハリージュ・タイムズ電子版(DPA引用)は、アフガン南東部のパクティア州での18日の戦闘でタリバンとおぼしき人物約70人を殺害した、との州警察高官の発言を伝えた。しかし、同国の治安回復はまだ遠いのが現状である。
このようなアフガン情勢と、同様に治安回復のめどが立っていないイラク情勢の中、米国では大統領次席補佐官(対テロ戦争総括司令官)を新設し、大統領に直接助言を行える体制を整えた(5月15日発表、ルート陸軍中将が就任)。また、日本でも防衛省内にアフガンでの支援活動を検討する関係幹部会議が設置されるとの動きが報じられた。政府は5月18日、集団的自衛権の行使を検討する有識者懇談会(正式名称「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」)を立ち上げた。仮に、アフガニスタンでのPRTに日本が参加するとなると、同懇談会で検討される予定の4類型の集団自衛権の内、国連平和維持活動(PKO)の2つに関係することになる。そうすると、この懇談会の審議結果によっては、アフガニスタンにおいて、初めての域外の平和活動をしているNATOと日本という新しい国際貢献のパートナーシップを生み出すことになるのかもしれない。

☆少し遅れていますが、「複眼で見る中東報道」を更新しました。http://cigvi.exblog.jp/ 

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