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昨日のブログで国際テロの危険性に言及した。実際、欧州で2つのテロ計画が摘発され、危うく現実のものとなるところであった。まず、9月3日にデンマークの首都コペンハーゲンで、テロ計画の容疑者8人(デンマーク国籍6人、外国人2人)の逮捕が行われた。拘束者の中には、パキスタンで活動する国際テロ組織との結びつきがある人物も含まれていた。2つ目は9月4日のもので、ドイツ警察により、ラムシュタインにおける米空軍基地とフランクフルト国際空港を標的(バー、ディスコが標的とする報道もある)とするテロを計画していた3人(ドイツ国籍2人、パキスタン人1人)が逮捕された。この3人も、パキスタンでの軍事キャンプで訓練を受けた経験があることが明らかになった。
この2つの未遂事件で注目すべき点が2つある。第1は、イスラム教徒に改宗したヨーロッパ人の存在である。例えば、ドイツ西部のノルトライン・ウェストファーレン州で逮捕されたドイツ人は、一般名(改宗名でない)のパスポートを所持しており、欧米諸国間の移動において警戒の対象となった状況は少ない。こうした欧米人の改宗者の場合、外的要素での捜査マークは難しい。 第2は、ドイツの事件の容疑者が所属していた「イスラム聖戦連盟」というイスラム・グループの活動である。この組織は、国際テロ組織アルカイダとは、傘下ではなく同盟的関係にあると分析されている。同組織は、アルカイダの国際社会におけるイスラム教徒に対する抑圧を武装闘争によって解放するという運動方針を共有していると見られている。これまでにも指摘されてきたことだが、国際テロを画策するイスラム過激派武装勢力は、アルカイダの指揮のもとで行動しているのではなく、アルカイダへの共感やイスラム教徒の義務としての“ジハード”という認識のもとで、小グループ単位で独自に行動していることがここでも窺われる。 こうしたジハードの義務について、北アフリカのイスラム過激派武装勢力の「イスラム・マグレブのアルカイダ」は声明で、「アッラーの前で、ムスリム共同体(ウンマ)の前で、そのシャリーア(イスラム法)によって責任を負う」と説明し、イスラム教徒としての義務を強調する。さらに同組織は、ジハードを放棄した個人、グループ、聖職者は大罪と背教(死刑に値するとみなすイスラム教徒もいる)の間に分類される罪だと見做しているという。 テロ活動により組織やグループの主張を表明する戦術は、例えばスペインのETA(バスク祖国と自由)も用いているが、こちらは犠牲者に配慮し、先に警告を発したり小規模な爆発にとどめている。一方、イスラム過激派グループは、「多数の犠牲者を生むことで、異端者たちの指導者を惨めな状態に陥れる」(イラクの“ザルカウィ師旅団”の宣言)などとして無差別・大量殺人テロの奨励がしばしば見られる。国際社会は、こうした相手と対峙して、アフガニスタンなどでも対テロ戦争を戦っている。 国際テロ問題では、無辜の人々の数々の死を無駄にせず、新たな犠牲者を出さないために、国際協力が強く求められている。そこにはテロ捜査情報の共有や、テロ攻撃を未然に防ぐための軍事行動なども含まれている。その過程において、さらなる犠牲や対立なども発生している。しかし、この6年、国際社会では「国際テロ防止」を目的に、多数の国や人々が協力を行い成果も上げられている。今回摘発された2つのテロ未遂事件は、こうした国際社会の現実を思い出させる。現在、日本のテロ特措法見直しが議論されているが、「国際テロ防止」に目的を明確に絞り、国際協力の現実に沿った新法を作ることの方が望ましいのではないだろうか。 |
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