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物事は突然何かが起きることよりも、予兆があることの方が多い。訪日したゲーツ米国防長官の各所での発言を見ると、北東アジアでの核を含めた武力衝突の懸念について触れている。また、日本に対して世界的な安全保障上の責任をより一層引き受けてくれることへの期待が示されている。ゲーツ長官が、なぜ日本への期待を高めているとの発言を繰り返したのか、多元的に議論する必要があるだろう。
一つの仮設として、米国の国力の衰退が背景にあると考えられる。そのため米国は、経済大国である日本にそれなりの国際貢献を求めているのではないだろうか。米国ではアフガニスタンおよびイラクでの軍事行動で、国防予算が増加している。また、9.11同時多発テロ以来、本土防衛という課題で、軍や情報機関の強化が図られている。その中、増税や財政赤字の拡大を避けるためには、国防費以外の項目の支出削減を検討する必要が出てくる。しかし、米国でも高齢化社会に入り、今後、ベビーブーム世代の退職後の社会保障費などの支出の増加は不可避である。これでは、国家財政の赤字は膨らむ一方となる。そこで、その解消のために、財務証券(国債)を発行することになる。こうした状況は、ベトナム戦争終結(1967年)以降続いている米国の衰退傾向が、より明確になっている証といえるのではないだろうか。そのことは、9日、ゲーツ国防長官が日本財務省と、在日米軍駐留経費(いわゆる「思いやり予算」)削減問題について協議したことにも現れているように思う。 現在、日本は、このような米国の状況を理解した上で、国際社会での役割分担をどのように引き受けていくのかの選択を迫られているとも言えるだろう。日本は未だ隣国との戦後処理(国境画定、平和条約締結、補償問題など)を終えていない。その一方、国内的には少子高齢化社会に突入し、少資源国であるという独特の要素を有している。そして現在、新テロ特措法の審議に代表される政治的不安定を抱えている。今後の日・米双方の政治動向次第では、米・中関係が日本を越えて強化されることも考えられる。 こうしたことに鑑みれば、今回のゲーツ国防長官の来日、そして17日頃に予定されている福田首相の訪米と続く対米外交の持つ意味は大きいといえるだろう。 |
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2007年11月10日
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