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3月8日、米国のワイオミング州の民主党党員集会でオバマ上院議員が勝利した。その中、ビル・クリントン元大統領が、ヒラリー・クリントン大統領、オバマ副大統領の組み合わせが良いとの発言を行い、また話題となっている。
こうした米大統領選挙が繰り広げられる中、米シンクタンクのCNAS(Center for a New American Security)と雑誌フォーリン・ポリシーが、米軍の少佐以上(退役軍人を含む)の3,437人を対象にアンケート調査を行った。同調査では、回答者の60%が「米軍は5年前より弱体化している」と考えていることが分かった。一般的には、米軍はベトナム戦争時(1967年頃)にどん底の状態であったが、その後回復基調にあると考えられていた。米軍人たちが弱体化していると見る要因は、やはり現在までに4000人以上の死者、2万5000人以上の負傷者という大きな犠牲を払っているイラクへの国際介入がある。同調査において、回答者の88%がイラクは危険で過度の負担を強いられていると答えている。 ただ、ここで気になるのは、米国における軍事力に対する意識の変化である。前国務長官のパウエル氏は、軍事力行使の要件として必要性、緊急性、均衡性を挙げている。さらに同氏は、これらの3条件が満たされたとしても、その軍事力行使は“米軍でなければならないのか”を検討すべきだとしていた。しかし、ブッシュ政権では、退職した国防総省組のラムズフェルド前長官、ウォルフォウィッツ前副長官、ダグラス・フェイス前政策担当次官らが“無敵の大国”としての強い米国のイメージにこだわり、武力行使を政策実現の手段として打ち出した政策が、採用、実施されたとの感がある。果たして、この傾向はブッシュ政権になってからだろうか。民主党のクリントン元大統領も、1998年にはスーダンおよびアフガニスタンへの攻撃を実施、さらにイラクへも空爆を行った。 ベトナム戦争を“戦場で”経験したパウエル氏は、武力行使慎重論をとる一方、着実に崩壊した米軍の再建を図ってきた。しかし、ベトナム戦争の傷が癒えつつある1990年代、ソ連が崩壊する中で、米国全体が軍事力行使を軽視する傾向になっていたのではないだろうか。さらに言えば、新保守主義者といわれる人々の政策も、見方によっては“時流”であったのかもしれない。 では、2003年のイラクへの武力による介入から5年を経て、この軍事力行使軽視の傾向は米国の政治土壌から消えつつあるのだろうか。そして、現在のイラク、アフガニスタンでの軍事力行使は2003年時と同質の意識で実施されているのだろうか。この2つの問に回答するための一つのヒントとして、オバマ上院議員のイラク戦争反対を貫いた姿勢への共感者の広がりが着目してもよいだろう。また、先述の多くの軍人が米軍は弱体化していると見ていることもポイントであろう。これらの問を考察することは、今後、米国が対イラン政策、対イラク政策、対アフガニスタン政策、そしてテロに対する戦いの遂行の舵をどのように切っていくのかを考える上で重要であることは確かである。 |
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2008年03月10日
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