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友人が発行する金融専門Eメールマガジンに目を通していたら、「急速に風の流れに変化が」という小見出しが目に付いた。その内容は、米国経済見通しについて要人のポジティブな発言が急増していることが紹介されていた。例えば、フェルドスタイン全米経済研究所理事長「米国の景気後退の可能性はやや低下した」、シティ・グループ会長「金融危機は最悪期を脱した」などである。その一方、新聞等ではJPモルガン・チェースのカズマン主席エコノミストの「最悪期が過ぎたかどうかは経済全体を慎重に見極めるべきだ」との意見も報じられている。
さて、こうした議論を紹介したのは、景気は底打ちしたのか、信用収縮が止まったのかについて述べるためではない。仮にこうした議論に決着がつき、サブプライムローン処理が概ね終わったとしても、原油価格高騰が第1次(73年)、第2次(80年代前半)の「石油ショック」と同様の不況を生む恐れがあることについて言及するためである。
5月6日、ゴールドマン・サックスは、今後6カ月〜2年で原油が1バーレル150〜200ドルに達するとの予想を発表した。これにより消費者物価はどの程度上昇するのか気になるところである。5月8日、こうしたことへの配慮からか、欧州中央銀行(ECB)は理事会で政策金利を据え置くことを決定した。これについて、ECBのトリジュン総裁は、消費者物価を政策目標として2%としていたが、3%を超えていたためインフレ抑制を考慮して金利を据え置きしたと語っている。消費者物価の上昇については5月8日、国際通貨基金(IMF)のリブスキー専務理事も、近年、世界では4%以下に収まっていたが、最近は5.5%上昇していると語った。また、同専務理事はドル安による原油先物市場での価格押上げが物価に転嫁されるとも語っている。
つまり、エコノミストの中に予想する人がいたように、サブプライムローンは第2四半期までに政策的に調整がつくが、ドル安やドル離れが止まらない状況となりそうである。これが続けば、米国経済がさらに悪化するだけでなく、世界経済も今年後半あたりからインフレと景気後退が同時に進行するという状況に陥る恐れがある。この最悪のシナリオについて言及する人が増えている。それは、原油高騰が止まらないからでもある。
そうなると、心配なのは世界で自由貿易を尊重する国が減少するのではないかという点である。すでに、世界的に価格が高騰しているコメについては、インド、ベトナム、中国が輸出管理を強化したとの報道もある。
また、インフレ対策として、実質所得の目減りを防ぐため、労働者側からの賃上げ要求も見られている。賃金が上がれば、それだけ物価上昇を加速させる恐れもある。
こうした物不足、物価上昇に対する一般市民の不満が政治問題化しつつある国も出ている。自然環境の変化も気になる。こうした国際社会の不安定性が高まっている中、日本は食糧、エネルギー資源、工業資源の安定確保は中期的に見て大丈夫なのだろうか。日本の政界に目をやれば、政権争いに終始しており、何とも頼りないとの国内外からの批判が聞こえてきそうである。例えば、ミャンマーのサイクロン被害者救済を呼びかける声はどの程度上がっているのだろうか。
私には、日本の政治指導者たちが想定している以上に、国際社会の風は急速に変化していると思えてならない。

2008年4月の推薦図書

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本書は、日本からは地理的のみならず認識の点からもまだまだ遠いマグリブについて、同地域研究の第一人者によって編まれた入門書である。前半は同地域の現状と歴史が分かりやすく記述されており、後半は暮らしと文化について大きく紙幅が割かれている。写真や図表も多く、知識の獲得とともにマグリブの人々の息遣いが感じられる良書である。

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