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米大統領選挙では、両党の候補者による本格的な政策論争が始まりつつある。テロとの戦いの行方を分析する上では、対イラク政策、対アフガニスタン政策のみならず、対イスラエル関係についてどのような発言がなされるのかにも、注目する必要がある。その理由について、少し述べてみたい。
1990年11月、ニューヨークでイスラエルのユダヤ教極右を代表する正統派ラビのメイル・カハネ氏(「ユダヤ防衛同盟」の設立者、ニューヨーク育ち)が、エジプト生れのイスラム教徒のサイード・ノサイルに暗殺された。このカハネ氏は、アラブ人を癌細胞に例えてイスラエルからの排斥を激しく訴えるという活動を展開した人物である。
イスラエルに移民する米国育ちのユダヤ人の中には、イスラエルの厳しい現実を目の当たりにすると、「約束の地」という幻想が打ち砕かれたとして米国に戻る人々もいるという。その一方、カハネのように、厳しい現実は神が与えた新たな試練であると認識し、約束の地でのユダヤ人国家再興のために努力を惜しまない人々もいる。このような人々の存在も、米国・イスラエル関係を特殊なものにしている一面といえる。
しかし、一般的に米国国民は、敵国に囲まれて孤立状況にあるイスラエル国民への同情の気持ちが強いとされている。また、福音派キリスト教徒(エバンジェリカル)も、ユダヤ人国家建設の必要性があるとの考えを強く持っている。したがって、近年、福音派の投票に支えられている共和党は、イスラエルよりの政策をとる傾向があるといわれている。
こうした米国・イスラエル関係によって、米国内で暮らしている一部のイスラム教徒の中に、イスラエルへの抵抗運動と反米運動を同一視する動きを生んできた。カハネ殺害犯のノサイルはそうした運動家の一人であり、ノサイルが出入りしていたモスクはその運動の拠点の1つであった。そして、このモスクの利用者の中には、1993年2月と2001年9月(9.11米同時多発テロ)の世界貿易センタービルに対するテロ事件に関与していた者もいた。
米国がイスラム過激派武装グループの標的となる理由として、マッカ、マディーナの2つのイスラムの聖地があるアラビア半島から異教徒(米兵)を排除するためだと、かつてオサマ・ビンラディンは言及した。また、イスラエルを支援する米国の外交政策も理由だと指摘されている。
親イスラエル姿勢を続ける米国は、米国への聖戦(ジハード)のファトワ(教令)を書いたアブドルラフマン(盲目のイスラム法学者)や、9.11テロ事件の計画立案者のラムジー・ユーセフなどのイスラム・テロリストから見れば、イスラム世界を侵害する者と映るだろう。
現在の問題は、このような対米認識がイスラム世界の一般の人々にも広まっていることに加え、米国民が抱くユダヤ教徒やイスラエル国家への親近感がイスラム世界の対イスラエル認識と大きく乖離していることである。
こうしたことが要因で、米国がテロとの戦いで孤立すれば、対米闘争を核にしてイスラム過激派武装グループへの参加者が増加し、テロとの戦いが長引くことになるだろう。したがって、テロとの戦いを終わらせるという観点から見れば、次期米国大統領は、イスラエルとアラブの双方に公平な立場で中東和平問題を進展させ、国際協調をはかることができる人物が第1条件となるだろう。

2008年8月の推薦図書

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日本人一人一人が、自分自身の持つ文化的意味体系とはどういうものかについて自問し、共に生きるとはどういうことかについての自覚を促してくれる。本書のキーワードは「あたりまえのこと」。本書を読むと、その重要性が頭で分かるだけではなく、腑に落とすことができる良著である。

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