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株価暴落と民主主義

9月29日、地方に向かう国内線で広げた新聞には、米国民議会安定化法案について与野党合意に向かっているとの記事が掲載されていた。翌30日、朝一番の飛行機に乗るため空港に着くと、米国下院で法案否決というニュースがテレビで報じられていた。この否決は世界中に大きな波紋を広げ、ニューヨーク株式市場は前日終値より777ドルの安値を記録した。そして、欧州や日本、アジアでも株価が下落した。
今回のきっかけとなった米国政治の空転は何が原因だったのだろうか。
それは、当たり前のことではあるが、国民の意識と政策立案者側の間に、事態に関する大きな認識の差があったということだろう。かつて、チャーチル英首相(任期1940−45年)は、「民主主義は最悪の政治体制だ。だが、それまであったものよりかはいくらかマシだ」と述べている。
情報の共有性が低い状況の中での民主制は、混迷する確率が高い。今回の場合、世界経済の中で米国金融機関が演じている役割についての認識を十分共有できていない米国の有権者から、「どうして金融機関だけが救済されるのか」という不満が出てくるのは仕方のないことだろう。そしてその抗議の矛先は議員に向かう。さらに、IT通信が発達している時代にあっては、多くの賛同者を集めることはこれまでよりも格段に容易になっている。
このような国民に対し、政治指導者は十分な説明を繰り返し行い、情報と認識の共有性を高める努力を続けるしかない。それでも、国民は自分が納得する言葉を聞くまで説明責任の不十分さを非難するというケースもあるだろう。むしろ、国民に現実の厳しい影響が出た時初めて認識が共有できることになるかもしれない。
いずれにしても、ブッシュ米政権と米議会の次の一手が、世界経済の行く手を決定する事は確かだろう。

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