|
NPO法人「21世紀大学経営協会」が830校(大学、短大)の卒業生7597人のアンケート調査を行い、その結果が発表された。その中で、大学教育について「大学教育が卒業後の仕事や生活に役立っている」および「人間形成が図れた」との設問に対し、意義があったとの答えは約半数であった。また、「就職活動や就職試験に役立った」とした者は3割に止まった。さらに、大学で「学習意欲の湧く授業が多かったか」との問には3人に1人しか「多かった」との回答がなく、大学の教員にとって手厳しい結果となった。
世界経済危機の中で、就職戦線も氷河期を迎えつつある。大学には社会人として役立つ、即戦力となる人材育成がこれまで以上に求められるようになるだろう。しかし、多くの大学の教育の現状は、こうした社会ニーズに応えられているとは言い難いだろう。その原因は、教職員が社会動向に疎く、大学の内部事情で物事が決まる体制が続いているからではないだろうか。今回の氷河期は長期化する恐れがある。その中、大学における社会人育成の方法の1つとして、労働の現場において役割を担ってきた社会人と、高校から大学へと直接入学した学生とが混じった教育の場をつくる取り組みが有効であろう。 その一方、大学は就職斡旋機関でもなければ、語学や情報技術のみを学ぶ専門学校でもない。本年、物理学や化学の分野でノーベル賞を受賞した日本人を例に引くまでもなく、大学は研究機関でもある。そして、その大学で行われている研究成果は20年、30年経た後に花開き、社会にとって重要なものであったと理解されることもある。このことを踏まえれば、大学での教育とは、変わり行く社会の中で常に問題意識を持つ人物の育成であるといえるだろう。 今年の就職戦線では内定の取り消しがでており、この数年の売り手市場が一転した。こうした時代であればこそ、学生と教職員が1つになって、大学の本来の社会的機能を保持しつつ将来志向の改革を行うべきであろう。「非常事態」の時こそ、訓示や檄を飛ばすだけでなく、着実に一つ一つの改革に取り組むことが重要となる。このことは、就職の危機に直面している学生のみならず、定員割れの危機に瀕している大学についても言えることである。 |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2008年11月12日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]



