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クリントン米国務長官の来日を数時間後に控えた2月16日の夕刊は、日本経済の急激な悪化を大きく報じた。同日、内閣府が2008年10〜12月期の国内総生産(GDP)が年率換算で12.7%の減となったと公表した。これは、1974年1〜3月期の13.1%減に次ぐ大幅なもので、与謝野経済財政担当相は「戦後最大の経済危機」と記者会見で述べた。
この減少幅は、同期の米国の3.8%減、ユーロ圏の6%減と比較してかなり大きい。その原因は、日本の経済構造が輸出依存であるため、世界経済の低迷の影響がより大きく響いたためだといわれている。しかし、日本では2007年11月頃から経済後退の兆候が見え始めており、これに対して、今日まで政府が必要な経済対応策をとってこなかったことも関係しているのではないだろうか。特に、本年度の補正予算を早めに執行してこなかったことの悪影響は大きいだろう。 2009年1月〜3月期のGDPも10%前後の減が予想されており、08年4〜6月期から4期連続のマイナス成長となることは確実であり、雇用調整や消費の落ち込みが一層厳しくなる。 米国には「ピンチはチャンス」という言葉がある。日本でも同様の考え方はある。「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助氏は「逆境こそ躍進のチャンス」と捉え、不況期には景気の良い時に隠れていた問題や為すべき事がはっきり見えてくると指摘し、それを克服して大きく成長するのだと語った。 こうした言葉どおり、現在の世界経済後退期にあっても、将来の発展に向けて為すべき事をしている国や地域はある。例えばドバイやシンガポールである。これらは、工業生産経済からクリエイティブ経済への移行を目指している。また、そこでは、優れたリーダーシップが見られている。それはピラミッドのトップに立つリーダーというより、組織の方向性を定め、組織のメンバーの創意工夫を促し、その成長を支援するリーダーである。松下氏の言葉を再び借りれば、「不景気こそ人生観に基づいた使命感を伝え、人を育てることができる」ということなのであろう。 日本の敗戦から64年が経とうとしている。戦争という危機によって失った尊い命に報いるためにと、日本の戦後復興に努めた世代が現役を去り、現在、日本は進むべき道さえ見失いかけている。例えば、世界が注目する記者会見での失態に対し、“風邪薬の飲み過ぎ”という受験生さえしないような失敗談の説明で終わらせて辞任もしない大臣と、その大臣を更迭できない総理は、日本人としての嗜みが消えてしまったことの1つの証だろう。そうしたリーダーの人生観によって語られた方向性に賛同して歩みだす人々は、どれ程いるだろうか。 2月17日にクリントン国務長官が会う日本人と、幕末から明治期に外国要人が感銘を受けた日本人とでは、かなりの差があるように思う。現在の逆境から見えたものは、日本社会の各分野におけるリーダーづくりのあり方を改善する必要がある、ということではないだろうか。 |
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2009年02月16日
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