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日本の政治と有権者

昨日、公務員研修所が創立されて50年を迎えた記念講演会が開催された。何度か政策課題研究の講師を務めさせていただいた関係でご案内をいただき、貴重なお話の数々を伺うことができた。そこで、昨今の日本の政治と関係する話を紹介したい。

第1は、高度情報化社会では想定を超えた出来事がしばしば起きており(例えば今日の世界経済危機)、その時、政治においても医療でいう「インフォームド・コンセント」が必要であるとの話があった。つまり医者が患者に手術内容を説明、承認の上で施術するように、政治家は有権者が納得できるよう政策実施方法を説明する責任があり、その方法に優先順位をつけて、マニフェストとして公約することが求められる。そして、有権者は、その説明やマニフェストが納得できない場合は、「セカンド・オピニオン」を他の政党の説明やマニフェストに関心を示し、そちらに納得すれば、医者を変えるように政党を変えるのは当然であるとの指摘であった。

この比喩で分かるように、医療と政治は同じく自分に深く関わることである。それにもかかわらず、医療と政治ではわれわれの時間や費用のかけ方にかなりの差がある。政治家が悪い、官僚が悪いという前に、市民として地方自治や国政に対する現状認識ができているのかと、自省も含めて考えた。この点、日本人の多くはかなりあやしいのではないだろうか。人によっては、知らないということも知らずに批判をしている人もいるだろう(まず「無知の知」が必要)。

公務員改革において、政策立案は本来、政治家が行うべき仕事である。それを執行者である官僚に任せきっており、有権者もそれに対して批判もしないようでは、必要な改革が進むはずもない。また、社会変化の中で、その政策自体が有効性を失っていても、行政組織改革が行われず担当の課や室が残っており、予算執行がなされていても、政治家も有権者もあまり気に止めない日本の現状がある。このような事例は、実はわれわれの身近な組織にも見られる。真の構造改革には、政治家と国民の意識改革が必要なのである。

第2は、市民としての公務員についての話である。これについては組合活動やスト権の問題に議論が向くきらいがあるが、それ以上に大切な問題は、公務員も一市民の立場で現状を認識、把握し、他の市民に情報を発信することができているか、ということである。

公務員の一部には自分の周辺に情報があることで、政策立案の専門家だと誤認している人々がいるとの指摘があった。つまり、市民社会の中には、公務員が持っている情報があれば、現職公務員以上に市民に役立つ政策企画ができる人材が多数いることを忘れているのである。このことに鑑みれば、公務員は市民の英知を広く結集するために、情報公開を進め、国民が熟慮するための基盤整備をはかるべきである。そのためにも、やはり政治家が本来の仕事である政策立案をしっかり行う必要があるといえる。

ともあれ、日本の政治における政権選択は長らくイデオロギーに焦点が当てられて行われてきたため、政策立案能力が多少不足していても、政権を握ることができ、首相にもなれている。しかし、そろそろ有権者は、提示された政策を自ら吟味し、政党を選択する時ではないだろうか。真の立法、行政、司法の三権分立は、議院内閣制においては難しいとも言われているが、有権者一人一人が個々の政治家ではなく、各政党が掲げる政策をきちんと評価し、選択するようになれば、日本の民主主義も成熟していくのではないだろうか。

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