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5月21日、米国から帰国したイスラエルのネタニヤフ首相は1967年の第3次中東戦争に関する式典(エルサレムの日)に参加した。その席で同首相は、エルサレムはイスラエルの永遠の首都であり再び分割されることはない旨の演説を行った。イスラエルの主権下でのみ、3宗教にとって信仰の自由が保持され得るのであり、全てのマイノリティーとあらゆる信徒がそこで暮らし続けることが保証されるのだと、同首相は語った(*)。 オバマ米大統領は6月4日にカイロで米国の中東和平政策を発表する予定であるが、このネタニヤフ首相の発言が影響を及ぼしそうだ。 この注目されるオバマ大統領の演説内容の草案の一部が、アラブのメディアで流れはじめている。主要なものを挙げると、 1.東エルサレムを首都とするパレスチナ国家建設(4年以内) 2.入植活動の凍結 3.1967年戦争(第3次)によって生じた難民の帰還権の承認 4.エルサレムの旧市街および聖域群は国連管理下におく などである。 この演説の草案は、サウジアラビアのアブドゥラ国王(当時皇太子)が提案したアラブ和平案を基にしているといわれている。また、同案は、相次いで訪米するヨルダンのアブドラ国王、イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバース大統領らと協議の上(エジプトのムバーラク大統領とも協議予定であったが、訪米が中止された)、修正後、発表される予定であった。 しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は、先述のように、エルサレム問題で譲歩することはなさそうである。そればかりか、アラブ側に、イスラエルが承認しやすいようにアラブ和平提案の修正を求めているとの報道もある。 オバマ政権は訪米した関係国との協議だけでなく、ミッチェル中東和平特使にシリアを、またバイデン副大統領にレバノン(ホワイトハウスによれば、バイデン氏の訪問目的はレバノンの独立と主権の強化)を訪問させ、準備を進めている。これだけ積極的に外交を展開し、その状況やオバマ大統領の提案内容が連日のように中東地域のメディアで流れる効果は大きいといえる。 効果としては、第1に中東地域での反米感情を和らげることができる、第2に国際世論の追い風を利用してイスラエルの譲歩を生む、第3にレバノンの選挙で反ヒズボラ陣営を力づける、第4にサウジアラビアのアブドゥラ国王との連帯を強める、第5に中東和平問題を進展させイランの影響力を低下させる(ハマス、ヒズボラの動きを牽制)ことなどが挙げられる。 オバマ大統領は中東外交に関し、「歩きながら考えている」ようだ。その是非はまずレバノンでの国政選挙(6月7日)、そしてイラン大統領選挙(同月12日)で示されるだろう。 しかし、ネタニヤフ首相の発言によって、オバマ提案が絵に描いた餅に見える危険が生じる。そうならないためにも、パレスチナ国家樹立までのタイム・テーブルをできるだけ短く設定すべきだろう。当面イスラエル側から示される譲歩が西岸の違法入植地の撤去ぐらいでは、樹立までの道のりは長くかかりそうである。 *5月21日付イェデオト・アハロノト電子版などを参照。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-3719712,00.html
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2009年05月22日
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オバマ米政権の特徴を知るための必携の書。
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