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謹んで新年のお慶びを申し上げます。 経済審議会(2001年廃止)が1991年に公表した「2010年への選択」という未来予測では、2010年の出生率を1.8程度としている。2008年の出生率が1.37であることからすると、この予測は大きく外れることになるだろう。 人口動態予測は社会を考える基本数字である。社会保障制度や財政など各種政策への将来不安は、このような基礎データ分析の修正が絶えずなされ、適切な改善がなされない限り回避できないといえる。 今後、日本政府には国民生活に関する多くの情報を開示し、国民自身が政府に頼らず自らのライフスタイルを状況に即して調整できる環境を整えてほしい。 さて、この出生率の低下から日本社会の特性について考えてみる。 オランダの社会学者であるホフステッド博士は、文化的特色が出やすい項目の1つに「男らしさ、女らしさ」の重視の程度があるのではないかと指摘している。日本ではどうだろう。 子育てについては、日本の男性は女性が行うものだと強く認識していると言えそうだ。『男女共同参画白書2009年版』によると、6歳未満のこどもを持つ夫婦の場合、夫が1日に育児に関わる時間は、日本では33分、フランスは40分、米国は65分、ノルウェー73分となっており、日本では随分少ない。また、北欧諸国では父親がこどもに本を読み聞かせることが大切な役割となっていると聞く。子育てだけでなく家事全般も女性が担うべき役割だとみなす社会構造がつくられている。 こうした特性を持つ社会に、欧米で実施されている育児休業制度や出産奨励のための諸制度を単に導入する施策を実施しても成果は上がりにくいだろう。政策は、それぞれの社会空間の特性や将来予測を踏まえ、現在の状況が形成された因果関係を分析して立案されることが望ましい。 日本は高等教育に就学する女性が増加している一方、そうした女性たちが家庭にこもり育児や家事に追われる日々を過ごすことも現実である。日本の夫は米国やノルウェーの夫の3分の1程度しか家事をしないとの調査結果もある。 こうした現実を変えるには、一時的に不公平な状態となってしまうが、女性の社会進出を促すための数値目標を分野ごとに定める法律の制定が必要だろう。また、男女別姓制度の導入のような、旧い戸籍管理をなくし納税者個人としての権利と責任・義務が自覚できる社会制度の構築も必要である。 そして何よりも、「社会全体が子育てをする」という理念を実現しようとするならば、国の統一基準ではなく各地域の特性に合った保育施設の設置を推進すべきだろう。 自分が生まれ育った社会に正対したとき、そこには誇らしく思うことばかりがあるわけではない。日本人が重視する「男らしさ」についても光と陰の面があり、今その影響を改善する必要性に迫られている。
少子化が進む中、女性の社会進出は欠くことのできない問題である。 2010年、日本の近未来の社会のあり方を論じる際には是非「女性の役割」について取り上げてほしい。 |
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