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日本の政府開発援助の一般会計予算は、2008年度7002億円、2009年度6722億円と減少している。国家財政が厳しい中で、他国や国際機関への援助や出資を削減するのは当然、との世論もある。しかし、その一方、日本人の生活の豊かさを考えると、国際協力は推進すべきであり、また援助額も現状維持に努めるべきだとの声もある。
この異なる2つの意見の背景には観点の違いがあり、どちらが正しく、どちらが間違っているというものではない。
では、日本が今、すべきことは何であろうか。
大きな視野で眺めると、税金は行政が使うものという考え方を変え、非政府組織(NGO、NPO)のような公益活動に配分する工夫をすること、また寄付金を促す税制度改革によりパブリック・マネーの流れを変えることが重要だとの指摘がある。
国際協力についても、国が主体となる援助だけでなく個人が主体となる援助を促進することが肝要ではないだろうか。
もちろん、グローバル化が進みつつあるとはいえ、まだ世界では国家の存在が大きい。世界の各国でも、国益と関わってくるため、どの国がどこに、どの程度援助しているかを気にしている。
この観点からすると気がかりなことは、日本が最大の援助供与国となっている対象国が減少していることである。2003年に30カ国であったのが、04年には21カ国、05年には26カ国、06年には27カ国と一時増えたが、07年には17カ国となっている。
2007年の内訳は、ベトナム(43.0%)、フィリピン(40.5%)、中国(32.7%)をはじめ11カ国がアジアの国であった。
国益の観点から言えば、アジアの経済成長と日本の経済成長はますます密接にリンクしてきているため、援助の重点をアジアに置くことは間違っていないといえるだろう。
鳩山政権は、2020年までの目標として、APECでの自由貿易圏(FTAAP)構想を掲げており、人、物、資金の流れを2倍にし、アジアの所得倍増を提唱している。
6月に発表される予定の新成長戦略も、そのことを踏まえたものになるのではないだろうか。
一方、人、物、資金の流れを増やすには、政府や企業だけがアクターとなるだけでは十分ではないだろう。特に人的交流についてそうである。
「顔の見える援助」とよく言われるが、政府の資金による人の派遣、または受入れには限りがあり、企業活動もリスクや収益性が優先され進退が決められてしまう。
その点、非政府組織の中には息の長い援助活動を行っているところが少なくない。しかし、いかんせん資金不足のところが多い。パブリック・マネーの流れをそこに引き込む必要がある。
そのためには、制度構築とともに、日本人一人ひとりが、国際協力は「廻りまわって」いつか何かの形で日本人にもどってくる未来への投資だとの意識をもつことが重要なのだろう。
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2010年04月12日
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