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およそ1ヶ月前、フィナンシャル・タイムズに「日本の偽りの夜明け」という記事が掲載された(329日付)。内容は、新政権の樹立によって二大政党制の創出を願う人々がいる中で、現実にはそうでない結果となっているというものである。
同記事では、その理由として自民党の分裂、民主党の党内論争を挙げており、さらにその背景には、日本の政党は明確に規定されたイデオロギーに基づくものではなく、個人的関係、および権力とカネの仲介により成り立っていることがあると指摘している。
このことは、政治分野のみでなく、日本の組織全般に言えることかもしれない。
 
このイデオロギーなき政治の悪しき側面は、インクリメンタリズム(incrementalism、増分主義)と呼ばれる行動様式として表れる。
この行動様式での政策立案の特徴としては、①既存の政策を大きく変更する可能性があるものは採用しない、②政策案がもたらす結果について熱心に検討しない、③現在利用可能な手段で達成できない目標は設定しない、④既存の状況と政治立案の実施結果予測とが異なる部分は分析の対象としないなどが挙げられる。
具体的事例としては、予算の支出の拡大が挙げられるだろう。つまり、既存事業の大幅な変更は行わず、既存事業の小さな見直しと新たな事業の追加が行われることで、予算額は毎年増加していることになる。
 
政権交代の1つの意義は、あらゆる政策立案におけるインクリメンタリズムを打破することにあったといっても良い。
現在の民主党政権で実施されている仕分け作業は、予算におけるこの行動様式にメスを入れるという意味では意義があるといえそうだ。一方、この作業において、どのような国家を目指すかというビジョン(イデオロギー)が見えない点や、恒常的業務として仕分け作業を行うシステムをつくる姿勢が見えない点などまだまだ改善すべきことは多い。
その他にも、外交やセーフティーネットなど、現政権はこれまでの政策を大きく転換しようと試みているようではある。しかし、それはインクリメンタリズムを打ち破る試みといえるだろうか。
 
前出のフィナンシャル・タイムズの記事でも指摘されていたが、日本の社会空間では総意が重んじられる。そのための調整機能が働く社会である。
例えば、社会福祉か財政規律か、善隣外交か日米関係強化かなどの命題において、明確な選択をしないことが多い。後者について言えば、中国の台頭は日本にとってビジネスチャンスの拡大を意味する一方、多方面で日本が苦境に立たされる要因ともなりうるという客観的、多面的分析が必要である。政策の選択が曖昧になるということは、こうした分析をあえてしないようにしているかにも見える。
この点から見れば、前政権同様に政治家、行政官のインクリメンタリズムは変わっていないといえる。日本の社会空間の特性がそのような行動をもたらすからであろう。
 
国際的な政治・経済環境は急激に変化している。早急に近未来に起こりうる問題に率直に向き合い、インクリメンタリズムを退けて政策立案をする必要がある。さもなければ、「巨大な隣国」の不確実性の高い発展の大波をかぶり、あてどなく漂流し続ける日本となる恐れがある。

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