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5月4日、鳩山首相が沖縄県を訪問し、普天間基地返還問題について関係者との協議を行った。
その際、日本国民がおどろくような発言があった。それはアジア太平洋地域の米海兵隊の抑止力について十分認識していなかったとの発言である。
この発言を踏まえ、多くの日本のマスメディアは、鳩山首相の沖縄訪問の背景には中国海軍の東方での活動状況や朝鮮半島の緊張状況がある旨、報じている。こうした報道によって、外交上、「抑止力」という言葉でしか表すことが出来ない鳩山首相の抽象的説明が補われたといってよいだろう。
しかし、まだまだ日本国民には、現在そして近未来のアジア地域が抱える不安定性、不確実性の程度が認識されているとは言えないだろう。
5月4日、韓国の金泰国防相はが、全軍主要指揮官会議で、哨戒艦沈没事件は敵対勢力の奇襲攻撃であり、明白な侵略行為だと述べたと報じられている(5月5日付韓国の中央日報)。韓国政府はかなりの危機感を抱いていると見てよいだろう。それというのも、韓国政府が、南北境界線での北朝鮮の特殊工作や挑発行為に警戒感を高めていた矢先の出来事だからである。
また、この時期に北朝鮮の金正日総書記が訪中し、両国首脳会談を持つことも気になる動きである。
その中国であるが、日本のメディアの一部ですでに指摘されているように、普天間問題で日米関係に認識のズレが生じていることは何を意味するかをテストするような海軍活動を行っている。例えば、4月10日および22日に中国海軍計10隻が沖縄本島と宮古島間を航行し、東シナ海と太平洋で軍事訓練を行っている。
これは、中国海軍が戦略用語として用いている「第一列島線」(カムチャッカ半島から千島列島、日本列島、沖縄、台湾、フィリピンをつなぐ線)を超えての海上活動である。
この活動は、実際に日中の軍関係の緊張を高めただけではない。中国国内では、中国軍艦の正常な航行を日本の海上自衛隊が妨害したなどの趣旨の報道が流れている。
今日の中国や北朝鮮が抱える不確実性を考えれば、日本としては日米安全保障条約第6条の、極東における国際の平和および安全の維持に寄与する努力の一環として、①米軍の軍事展開能力の維持、②韓国との友好関係の強化、③東アジア諸国およびオーストラリアとの連帯の強化は欠くことができない。日本が米国と中国を等距離において外交をする環境は、まだ整っていないように思う。
日本にいると、国内政治や芸能・スポーツニュースなどに気がとられ、視野が狭くなりやすい。しかし、世界空間ではギリシャ経済、イギリス総選挙、核拡散問題、テロ問題など世界各地の人々を巻き込みながら激しく変化し続けている。
そうした中で、日本の首相としてとらねばならない行動は、しっかり腰をすえた政策選択をすることである。そして、国民に真摯に選択した政策について説明し、多くの賛同を得られるよう努力することである。
今回の沖縄での首相の説明は「中国配慮」が強く働きすぎたためか、今、なぜ、海兵隊が沖縄に駐留を続ける必要があるのかについて日本国民には分かりにくいものであったのみならず、政策に対する不信感を生む結果となったのではないだろうか。
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