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日本の「外交週間」が終わる中、メディアでは首脳外交の評価が花盛りである。
管首相はようやく実現した中国の胡錦濤主席との会談で、冒頭からメモを読み上げたり、ロシアのメドベージェフ大統領との会談では、「日本領土への訪問という一方的行為」に対する批判をソフトな形でしか表現しなかった。こうした点では、首脳会談での管首相はあまり高い評価を得られるものではなかった。
しかし、得られたものもある。G20とAPECの会議での日本政府最大の外交成果は、米国と中国が環太平洋経済連携協定(TPP)の参加問題で協議していることが確認できたことであろう。
こうしたことを踏まえて、今日の日本の政策形成について考えてみた。
政策は、国家にとっての緊要性によって、中核目標(Core objectives)と周辺目標(Peripheral objectives)に分類される。また、長期目標の実現手段として、中期目標、短期目標が形成される。このことは、多くの人々が「知識」として共有していることだろう。
しかし、現政権の政策評価をする際、それを活用しているだろうか。
11月8日付でブログに書いた「日本外交を支える力」でも述べたが、中核目標、すなわち国家の基本戦略は政権によって大きく変わるものではない。
それにもかかわらず、民主党政権の外交に不安を感じたり不満を持つ国民が多いのはなぜだろうか。
それは、鳩山前首相や管首相の短期的な政策目標が見当違いであったり、首相としての外交パフォーマンスが悪い、という理由だけではなさそうだ。
おそらく、中核目標となるべき領土の保全や国民の生命と財産の保護というテーマが、普天間基地移設問題や、中国、ロシアとの領土問題などにおいて軽視されていると感じる人々が多いからではないだろうか。
確かに、この2つのテーマは、主権の擁護とならんで国家の政策の最重要テーマであり、その目標が達成できた上で、国民の福祉の向上をはじめとする生活向上、雇用確保、国際化などの政策形成も検討されるべきものである。
では、今回の尖閣諸島と北方領土で起きた出来事は、日本にとって重要であったが、緊要性が高い問題だったのだろうか。
オピニオンリーダーと言われる人々は、これらの問題の重要性を強調している。しかし、語られていることを整理すると、緊急に対応する必要性があるのにそれを欠いていることへの批判よりも、むしろ今後の対策の展望がない点を指摘する意見が多いように思う。つまり、「長期目標としての国境の画定」との意識を持っていると思える節がある。
こうした意識が前提にあるのであれば、短期的に変化する国際情勢の中の対外交渉の細かい対応ぶりについて、いちいち評価を下すことは、果たして妥当だろうか。
むしろ、緊要性の高さという点に鑑みれば、TPP加盟問題について、APEC会議が開催されるまで米国や中国から情報を得ることができず、党内圧力から問題を先送りしたことの方を厳しく評価すべきではないだろうか。
現在、世界は「時空の圧縮」という大きな変化の中で、パラダイム・シフトが起きている。
民主党は、自民党政権での政策形成過程を批判し、新たな政策形成過程をつくろうと模索している。
しかし、現政権が試行錯誤している内に国際社会は急速に変化している。このままでは、日本の「失われた20年」と言われた状況はまだ続き、終わりが見えないようだ。
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