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過日、全国の私立学校の経営関係者が集まる会合で講師を務める機会を得た。そこでの中心の話題は、私学の経営の厳しさについてであった。
例えば、こども(0〜14歳)の人口は1950年には2943万人であったが、2009年には1701万1000人に減少している。この影響により、調査に回答した私立高等学校法人647校中333校が収入で支出を賄えない状況になっている(全法人数は717校、日本私立学校振興・共済事業団調べ)。
収入源の授業料はといえば、1995年では年間で平均11万3155円であったものが、2009年には35万4505円と3倍以上になっている。
こうした状況であるため、国や地方自治体は私学への助成措置を取っている。私立の幼稚園から高等学校までの助成総額は6491億円である。生徒一人当たりにすると、高校で年間30万6142円、中学で29万8872円、小学校で29万7216円、幼稚園で16万9387円となる。
この助成に加え、公立高校の授業料の不徴収措置が取られることになったため、私立高校への助成の充実が図られることになった(1人当たり約12万円)。
こうした教育支援とは別に、今年4月から「こども手当」の支給がなされることになり、日本政府は「子ども、子育て新システム検討会」(2010年4月に第1回会議開催)のもとで、「こどもを社会全体で育てる政策」の実施を開始している。
この政策は、私学への助成だけを見ても分かるように、大きなコストがかかる政策である。しかし、それだけでなく、「親がこどもに教育を受けさせる義務がある」との考えで制度設計されている現行の義務教育制度に歪みが生じる可能性のある政策でもある。
現政権が始めた政策は、こうした大きな教育理念の変更がともなうものであるとの認識を、大人の側も、こどもたちの側も持っていないのが実情ではないだろうか。
民主党の政権基盤は連合や日教組などの組合組織である。同政権が社会福祉政策を重視することはある程度理解できる。
しかし、「こども手当」は所得制限なしで、しかも銀行振り込みで現金が支給されるところが多い。これでは、こどもが教育を受けるためという本来の目的が薄れてしまう恐れさえある。
この政策に果たして妥当性があるのかどうか、時間をかけて公論する必要があるだろう。
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2010年06月14日
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