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最近の中東地域関連の動向では、国連安保理でのイランに対する経済制裁の追加措置の決定、イスラエルのパレスチナ支援船団の拿捕事件など国際社会に波紋を広げる出来事が起きている。
この他、イスラム圏ではまた不幸な出来事が起きている。
インタファクス通信は、キルギス南部でキルギス人と同国の少数派ウズベク人(人口のおよそ3分の1)の民族衝突により、6月15日時点で死者176人、負傷者1700人、難民20万人(ウズベク系)が生じていると報じた。
このキルギス人とウズベク人の間の対立は、ソ連時代のスターリンによる分断統治政策によって引き起こされたと考えられている。
この事例の他にも、イスラム圏では第1次世界大戦後、列強による「諸国体制」の形成によって人々が分断され、各地で対立が広がったとの見方がある。
キルギスでの民族対立に対処するため、同国のオロゾフ安全保障会議書記が集団安全保障条約機構(CSTO)に対して、武器類や軍用輸送車などの提供を求めている。脆弱な現在のキルギスの体制では、外部勢力の力を借りないと安全が確保できないことは明らかである。
キルギスで現在起きている出来事に関し、問題事項を簡単に整理してみると、
1.人道援助を目的に主権国家キルギスに国際介入をすべきか
2.キルギス情勢の影響が、北大西洋条約機構(NATO)がアフガニスタンで行っている反テロ戦争にどこまで及ぶのか。
第1の問題では、ロシアを中心としたCSTOが国際介入をするとも考えられるが、ロシアの動き方しだいでは南オセチア問題への介入でロシアへの批判が見られたように、米ロ関係に悪影響を及ぼす可能性がある。
第2の問題では、アフガニスタンでの作戦でNATOの中核をなす米軍がキルギスでの基地使用ができなくなる可能性がある。その懸念もあってか、6月18日・19日に米国務省のグレーク次官補がキルギスを訪問し、騒乱の影響の視察を行った。
現在のキルギスでの騒乱について、ロシア、中国、米国、EU諸国ともに、それぞれの事情から、積極的にキルギスに介入する状況にはない。この出来事が、自国や国際社会にとってマイナス影響が拡大しない限り、傍観すると見られる。
人道の観点から「保護する責任」が話題となって久しい。しかし、まだ大国の国益や国連の機能不足から多くの人命を救えず争いが続く可能性がある。
国際社会は、紛争や占領、独裁的な政権下の中で一般市民をどうすれば救えるかについて考え続け、少しでも行動すべきであろう。傍観者でいることは、加害者の側に加担していることになる。
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2010年06月18日
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