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1月18日、チュニジアでは「挙国一致内閣」で政変の事態収拾を図ろうとするガンヌーシ首相の対応に、早くも「No」が突き付けられた。
チュニジア各地で労働組合やイスラム系政党「アンナハダ」によって、与党の立憲民主党(RCD)への抗議デモが展開されている。また、新閣僚名簿に名前が挙がった労働組合出身者など野党勢力の4名が、閣僚就任を辞退した。
こうした行動の背景には、RCD色の強い新内閣が提示されたことへの不満に加え、ガンヌーシ首相が18日に、ロンドンに亡命中のラシド・ガンヌーシ師の帰国を認めない考えを示したことなどがあると推察できる。
どうやら、「ジャスミン革命」と呼ばれているチュニジアの政変は、新局面を迎えたように思う。
一方、1月12日に、ヒズボラ系閣僚の辞任で挙国一致政権が崩壊したレバノンも新局面を迎えつつある。
2月17日、ハリリ元首相暗殺事件(2005年)を裁く国際特別法廷のベルマール検事は、同事件の起訴状を法廷に提出した。ヒズボラ系閣僚の辞任は、この起訴の動きに反発を示したものである。
チュニジアとレバノン、この2つの内閣崩壊の動きの背景にある共通する特徴は、統治者と市民との間に、第三勢力が存在することである。チュニジアにおいては労働組合とイスラム政党「アンナハダ」である。またレバノンにおいてはヒズボラである。
これらの勢力は、統治者が政策的に、社会にある「不公平」を是正できず、むしろ富の格差を広げてしまった社会において、福祉活動を通し、また宗教的正当性を訴えることで市民の間に勢力を拡大していった。
レバノンのヒズボラの指導者ナスラッラー師や、チュニジアのアンナハダの指導者のガンヌーシ師の指導力と人気は、現在の2国家の政治指導者にとって大きな脅威である。
今、両国では、この第三の勢力が政権を打倒し、権力を掌握する蓋然性が高まっている。特に、一定の領域を支配し、着々と武装化し、イランをはじめ外国からの支援を受けるヒズボラは、国際特別法艇の動向いかんでは(ヒズボラ関係者の訴追)、政治的行動に出ると思われる。
中東地域でのこうした第三勢力の台頭は、民主化や自由化の運動が抑制されたことにより、宗教活動や労働運動を隠れ蓑にした反政府活動の組織化が進んだことが要因である。このような動きについて、すでに欧米の中東研究者は多くの「グレーゾーン」を含んだ民主化要求であるとの指摘をしており、エジプトのムスリム同胞団に注目していた。
仮に、チュニジアの「ジャスミン革命」が飛び火するとすれば、こうした第三勢力(特にイスラム勢力)が市民社会においてネットワークを広げている国である。
この観点からみると、チュニジア同様に政府に抗議する目的で、若者の焼身自殺が相次いでいるアルジェリア(5人死亡)やエジプト(1人死亡、2人は重傷)の情勢に注意を払う必要が出てきたといえる。すぐに同様の変動が起きるとは限らないが、この両国についても、第三勢力の動きを注視していく必要があるだろう。
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2011年01月19日
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