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4月8日の金曜の集団礼拝後のシリアで市民抗議行動、翌9日の抗議での犠牲者の葬儀において、また同国の犠牲者が増えた。9日には、米国のオバマ大統領、EUのアシュトン外務安全保障政策上級代表、国連の潘事務総長などが、アサド政権に対し、デモ参加者への暴力行使の停止を呼びかけた。
今回の市民に対する暴力行使事件について、国営のシリア・アラブ通信(SANA)は、「複数の武装集団」が市民と治安部隊に対して発砲し、死者が出たと報じた。また、ムアッリム外相も同事件に関し、ダマスカス駐在の各国大使に対して「破壊分子」がデモ参加者の中に潜入し、暴力を誘発したとの説明を行った。
こうした政権側の発表について、シリア人権国民機構のクルビー所長は9日、武装集団が数時間に及んで治安部隊や市民を殺害している状況を国家が何もできずにいるということが起こり得るだろうかとの疑問をアル・ハヤート紙の取材で語っている。
また、同事件に関し、8日のアルジャジーラ・テレビのインタビューで、発砲は大統領命令に違反した行為だと発言した政府系日刊紙ティシュリーンのサミーラ・ムサーラマ編集長の見解も注目される(同編集長は9日に解任された)。
やはり、バッシャール政権としては、国民の生命と安全を守る責任があることから、「この武装集団は何者なのか」を説明する必要があると言えるだろう。
興味深いことに、こうした市民の抗議活動に対する武装集団の暴力行為は、イランでも見られた。また、シリア、イランの両政権の共通点として、国内の反体制派の指導者層の身柄を拘束したことが挙げられる。
シリアでは、2007年12月1日に、民主化・自由化を求める人々163人による「ダマスカス宣言のための国民会議」が開催された後、同月9日から会合参加者の検挙が行われ、同会議議長のホーラーニ女史やブンニー事務局長らが逮捕された。
イランでは、元大統領候補で、その後、市民運動を指導してきたムサビ氏やキャルビ氏の身柄が拘束されている。
さらに、両国は国連決議のもとで経済制裁下に置かれている点や、ユースバルジの存在が確認できる点も共通している。
しかし、両国には大きな違いがある。それは、イランと異なり、シリアではマイノリティであるアラウィー派(シーア派)が統治しているという点だ。
イランおよびシリアの市民抗議行動は、チュニジア、エジプトに比べると、参加者は少ない。その要因の1つとして、ソーシャルメディアを効果的にコントロール(遮断)していることが挙げられるだろう。また、現体制下で経済的利益を得ている市民層が多数存在していることも挙げられる。こうした人々は、未だ「自由」か「安定」かの選択において意思決定をしていない。
ソーシャルメディアは、このような中立の立場にある人々を、口コミにレバレッジ効果(てこの効果)をかけて動かすことができるという特徴を持っている。
この点に関連して、注目される動きがある。それは、シリアの有力部族のナウワーフ・バシール氏(部族長)が、自由、尊厳、公正を取り戻すまで抗議活動を継続すると言及していることである(4月10日付アル・ハヤート紙)。
国際圧力が増す中で、アサド政権が国民対話を真剣に模索する必要性が高まりつつあると言えそうだ。
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2011年04月10日
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