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チュニジアからはじまった中東地域での市民抗議活動は、3か月以上が過ぎた現在も同地域を揺るがし続けている。チュニジア、エジプトの抗議活動では、非暴力主義が貫かれ、独裁的な長期政権が打倒された。一方、バーレーン、リビア、イエメンでは外国勢力の内政干渉が見られる中、一進一退の情勢が続いている。そして、シリアでは、アサド政権がアメとムチを使いながら、現在のところ市民抗議活動を小規模なものに抑え込んでいる。
 
このような今日の中東情勢が国際社会のリスクとどう関連してくるかを見ると、次のようなことが言えるだろう。
グローバル・リスクは、世界経済フォーラムによる分類に基づくと、(1)経済的リスク、(2)地政学的リスク、(3)環境リスク、(4)社会的リスク、(5)テクノロジーリスクに大別できる。この分類にしたがって見ていくと、(3)環境リスク、(5)テクノロジーリスクに該当するものはあまり見当たらないと言えそうだ。
1)経済的リスクについては、リビア、バーレーン、イエメン情勢が、①商品価格の急激な変動、②エネルギー価格の変動に関わっている。
2)地政学的リスクについては、①地政学的紛争リスクとしてイエメン・サウジ国境紛争、イラン・GCC諸国間の紛争、中東和平紛争などと結びつく状況にある。また、②グローバル・ガバナンスの破綻リスクとしては、リビアでの国際介入の失敗が考えられる。そして、③テロリズムのリスクとしては、アルカイダの動向やソマリア沖の海賊行為にイエメン情勢が関係してくる。さらに、④大量破壊兵器拡散リスクでは、リビアの化学兵器をはじめとする拡散問題が挙げられるだろう。
4)社会的リスクについては、集団移動リスクとして北アフリカ諸国から対岸のEU諸国への不法移民の増加が見られている。
これらのリスクの中で、国際社会への影響が特に大きいものは、地政学的紛争であろう。また蓋然性が一番高いのは、エネルギー価格の急激な変動リスクであろう。また、いったん起こると回復に長い時間がかかるものとしては、グローバル・ガバナンスの破綻リスクが挙げられるだろう。
 
例えば、地政学的紛争リスクは集団移動リスク、テロリズム・リスク、大量破壊兵器拡散リスク、エネルギー価格変動リスクなどと関連性があるというように、リスクが単独で収まることは少ない。中東地域では特に、地政学的紛争リスクとエネルギー価格変動リスクが連結しやすく、それが商品価格の変動リスクと結びつくことが多い。その結果、開発途上国の経済や貧困問題に影響を与える。
したがって、何かの問題が発生した場合、リスクの相互関連性を考えながら、「起こりうる最悪の事態(Possible Worst Case)」を導き出す思考が求められる。このような思考は、日本人にとって不得意だと言えるかもしれない。「想定外」という言葉が頻繁に発せられることがそのことを示しているように思う。さらに言えば、「想定外」のこととして問題の対応に当たった場合、改善システムも働かなる。
 
市民の抗議活動が続く中東地域は、また金曜日を迎えた。果たして、どのような日になるのか。そして、どのようにリスクが連結するのだろうか。
一方、東日本大震災では、環境リスクが経済的リスク、社会的リスク、テクノロジーリスクと連結し、日本社会のみならず世界に重苦しさをもたらしている。
こうした中東や日本の状況を打開するには、リスクの本質は何であるかを見極め、一つ一つのリスクを忍耐強くマネジメントしていくことが求められている。

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