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4月4日、イランのアハマディネジャド大統領が原油価格について、1バーレル=150ドルになると発言し、翌5日には、サウジアラビアの元石油相ヤマニ氏が、サウジの政治不安は原油価格を1バーレル=200〜300ドルへと高騰させる旨語った。
4月6日、北海ブレンド原油はロンドンの先物市場で1バーレル=123.37(5月物)の高値が付けられた。
ヤマニ氏が懸念するサウジアラビアの政治不安とは、第1にバーレーンでの市民の抗議活動の影響を受け、油田地帯であるサウジの東部州でのシーア派住民の抗議活動が活発化すること、第2にサウジアラビアを統治しているサウド家を支えるテクノクラートによる体制批判や、抗議活動が活発化すること、第3にイランとの対立が激化することだろう。
4月6日に、米国のゲーツ国防長官がサウジアラビアを訪問し、バーレーン、イエメンなどでの市民の抗議活動問題について協議を行っている。そのことは、湾岸協力会議(GCC)外相会議が3日に出した、GCC諸国へのイランの内政干渉を批判する声明とも関係してくる。米国とGCC諸国は、イランがこの地域の市民抗議活動を利用して、各国のスンニー派政権を不安定化させようと工作活動を行っていると考えている。
ここで、2つの見方をしてみよう。
1つ目は、米国とGCC諸国が指摘するように、イランがGCC諸国への内政干渉を行っているのではないかというものである。仮にそうだとすれば、イランの目的は、スンニー派政権の打倒なのか、それとも、この地域の政治不安を高めることで原油価格を上昇させることなのだろうか。
2つ目は、GCC諸国で起きている市民の抗議活動に対するには、武力による鎮圧しか政権側が取れる方法がなく、武力使用の大義として、イラン関与説を持ち出しているというものである。
すでに、バーレーン、サウジアラビア、オマーンなどでは治安関係者と市民との衝突で市民側に犠牲者が出ている。非暴力の市民抗議が続く中、オバマ政権としては、親米政権であっても市民に武力を行使する政権の支持は難しくなっている。
したがって、GCC諸国の政治指導者たちが、リビアのカッザーフィー指導者が反体制勢力の中のアルカイダを理由にして武力行使をした前例にならって、イラン関与説を打ち出しても不思議ではない。GCC諸国の共同軍である「湾岸の盾軍」は、バーレーン政府の要請で1万1000人を同国に送り込み、市民の抗議活動の鎮静化に協力している。これは、伝統的な国際介入の形態である。
現在のところ、情報資料では、イランの影を確認できる報道はない。しかし、今回の国際介入によって、湾岸地域ではGCC対イランの構図が鮮明になってきた。これが、リビア情勢の行方と合わせて原油価格の上昇につながることは確かである。
EU、米国の経済回復はまだ脆弱であり、東日本大震災が国際経済に与える影響も懸念されている。その意味で、この問題の今後の動向を注視する必要がある。
その際、イランに加え、イラク、レバノンのヒズボラの動向にも注意を払うことも重要だろう。
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