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中東情勢は現在、リビアの内戦、イエメン、バーレーン、シリアなどでの市民抗議行動の継続と、まるでナイフの刃の上を渡っているような危ない状況にある。
そうした中、4月6日、リビアでは同国を脱出しようとした外国人らを乗せた船が転覆し、多数(150〜250人)の死者・行方不明者を出す事故が起き、翌7日には、4月1日に続いて北大西洋条約機構(NATO)軍による誤爆事件で犠牲者(死者2人、負傷者10人)が出ている。
東日本大震災で、大自然の圧倒的力により万を超える人々の尊い命が失われるという出来事を経験した日本人として、人間同士が争い合う結果として犠牲者を出し続けている中東地域での「人為的」被害を止めることができないむなしさを感じている。これは私だけではないだろう。
この中東地域で4月7日、ほのかな希望の光が見えるニュースをAFPが伝えた。それは、パレスチナ問題に関しイスラエルの著名人により新和平提案が出されたという報道である。
イスラエル・パレスチナ問題には、①エルサレムの帰属問題、②パレスチナ人の帰還権問題、③パレスチナの最終地位という難しい課題がある。同提案では、①についてはエルサレムを分断し、双方の首都を置くとしている。②については、補償金による解決とパレスチナ新国家への機関が主体で、イスラエル領土への帰還権は少数(象徴的な数)としている。また③については、イスラエル・パレスチナ間の合意で土地を引き換えた上で、1967年の停戦ライン内にパレスチナ国家の建設を認めるとしている。
このような新提案が出された背景には、今年9月の国連総会で、パレスチナ側が独立国家承認を求める考えを示していることがある。また、中東地域の市民抗議活動によって、イスラエルと外交関係があるエジプトでの政変や、ヨルダンでの政治不安がある。さらに、反イスラエルの強硬的立場をとるレバノンのヒズボラやパレスチナのハマスの政治的影響力の強まりもある。
このようなイスラエルを取り巻く厳しい国際環境が、同国の安全保障問題のエキスパートたちを特に動かしたようだ。AFPによると、新提案にはペリ元シャバク(国内治安機関)長官、アヤロン元国防相、シャハク元軍参謀長、ヤトム元モサド長官、ユバル・ラビン氏(ラビン元首相の息子)、イダン・オファー氏(イスラエルの大富豪家)ら50人を超える重要人物が名を連ねている。
また、4月5日(米国時間)には、米国を訪問したイスラエルのペレス大統領がオバマ大統領と会談を行っており、中東情勢全般にわたり協議を行っている。
この一連の動きが、イスラエルのネタニヤフ政権にどの程度の影響を与えるのだろうか。
同政権は、東エルサレムのユダヤ人入植地ギロでの新たな住宅942戸の建設計画を4月4日に承認し、国際社会から非難されている入植活動を加速させている。そして、7日には、ガザ地区から発射された対戦車ミサイルがスクールバスに命中し、2人の負傷者を出した事件、およびハマスのカッサム旅団によるミサイル攻撃45発があったことに対する報復として、7日から9日にかけて空爆と戦車砲でガザに対する攻撃を行った(パレスチナ人18人が死亡した)。
悲しいかな、これがこの地域の現実である。
これまで和平提案は何度となく発表され、和平の機会も何度となく用意されてきたが、結局は尊い命が奪われ続ける状況を変えることができない。
しかし、東日本大震災の中から未来へと続く希望の芽が萌え出ているように、パレスチナ問題でもきっと希望の芽が見つかるはずだ。国際社会には、それを見逃すことなく、忍耐強く育む責任がある。
日本の厳しい現実の中にいると、国際社会とのつながりを忘れがちになる。しかし、日本の復興を願う暖かな支援や声援が世界中から寄せられている。その気持ちに応えるためにも、日本人一人一人が被災地の人々とのつながりを強めることが大切だ。そして、感謝の気持ちを込めたお返しとして、世界の人々とつながっていることへの理解を深め、世界の平和という公共財のために「私たちができること」を行動に移せればと思う。
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2011年04月09日
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