過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

最近のシリア情勢

512日、世界各国の法律家から構成されている国際法律家委員会(ICJ)のテイラー事務局長は、シリア政府による市民抗議活動への弾圧で、これまでに700人以上が死亡したと述べた。また13日には、国連人権高等弁務官事務所も、シリアでの抗議活動化の死者は700~850人で、身柄拘束者は数千人に達しているとの見方を表明した。
これに対し、バッシャール・アサド政権は、大統領顧問のシャアバーン女史が窓口となり反体制活動家グループとの対話を模索したり、身柄拘束をしていた活動家の一部釈放を行うなどしている。そして、513日にはマフムード情報相が、数日中の国民対話の実施の意向を示した。
一方、ロイター通信などが伝えたところでは、13日には6人、14日には3人の死者が出ている。
 
さて、国際社会はシリア問題について、政権側による市民への武力行使に対する反応が、チュニジア、エジプト、リビアに比較して遅く、二重基準との批判も聞かれる。
国連では、429日に人権理事会で特別会合が開催され、対シリア非難決議を採択しており、それに基づき国連人権高等弁務官事務所が調査団を派遣することになっている。なお、59日時点で、ハック国連報道官はシリア政府が入国許可を出さない状況であると述べている。
また、EUと米国の対シリア政策については、米国が429日(米国時間)に、アサド政権の軍および情報機関の幹部への経済制裁を発表した。そして510日にはEUが政府高官13人の資産凍結とEU域内への渡航禁止措置を発動している。
 
このような国際社会の圧力に対し、アサド大統領のいとこで、シリア財界の黒幕的存在であるラミー・マフルーフ氏は「シリアに安定がなければ、イスラエルにも安定はない・・・」と語り、さらに「われわれを苦しめるな、大統領に圧力をかけるな、シリアにやりたくないことをやらせるな・・・」と述べている(511日付アル・ハヤート紙)。
そして、シリア政府は、ダルアーやバニヤスで行ったように、点から面へと、町の封鎖、水・電気の遮断を行った上で治安部隊・軍を展開し、反体制活動家、人権活動家を殺害、逮捕するという戦術で武力鎮圧を行い続けている。
 
国際社会の中では、シリア問題について、欧米諸国は非難はするが、リビア政府に対するように人権侵害で国際刑事裁判所への訴追養成や、国連憲章の第7章に基づく人権保護を目的とした安保理決議をなぜ出さないのかとの声も出始めている。
国連安保理に関しては英国が動き始めているが、ロシアはこの問題で審議する意思がない旨インタファックス通信で表明している。
また、アラブ連盟が立場を明確にしていないこともあり、非常任理事国メンバーであるレバノンが審議には消極的態度をとっている。
 
シリアに関する地政学的リスクとしては、(1)シリアはイランと最も密接な同盟国であり、シリア情勢へのイランの革命防衛隊による一層の支援が考えられ、事態が拡大する恐れがある、(2)シリアがレバノンのヒズボラ、パレスチナのガザ地区のハマスを動かし、イスラエルへの攻撃を行う、(3)シリアがレバノン内政に関与し、同国をより不安定化させるなどが考えられる。
欧米社会としては、リビア情勢と合わせて、中東地域で連鎖的に様々なリスクが高まる状況は回避したいというのが本音だろう。また、欧米諸国やイスラエルの一部には、バッシャール・アサド政権がゴラン高原問題や中東和平の包括的交渉において一定の役割を果たせる可能性を探るふしもあり、同政権の崩壊を懸念する人々もいる。
 
ただ、大統領の弟であるマーヘル・アサド第4旅団司令官や、共和国防衛隊、およびバアス党幹部は、既得権益を失うことを恐れて、強硬な手段を続けることが十分考えられる。そうすると、市民の犠牲者の増大に加え、隣国のトルコやレバノンへの難民の流出も増え、地域の不安定性が高まることにもなる。
そうした状況の悪化を防ぐためにも、国際社会は人権侵害に関する国際調査の開始、国連安保理での非公開審議、そして状況の展開次第では、安保理での新たな決議案づくりに踏み出すべきといえるのではないだろうか。
国際社会に求められることは、いかなる場合にも、市民への武力行使は許さないとの強い立場の表明だと考える。

全1ページ

[1]


.
cigvi2006
cigvi2006
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事