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6月1日、バーレーンでは2か月半ぶりに非常事態宣言が解除された。一方、イエメンでは同国最大部族のハシド族(反サーレハ派)の一部の人々と治安部隊の間で激しい交戦があった。
このようにバーレーンとイエメンの間で政治情勢の安定性において大きな違いが出たのは、アラブの湾岸産油国からなる湾岸協力評議会(GCC)による事態収束に向けた関与に対し、バーレーンは受け入れ、イエメンは拒否したことが要因の1つとして挙げられるだろう。
イエメンのサーレハ大統領は、GCCによる野党勢力との間の調停案を一端受け入れる姿勢を示したが、署名を3回拒否し、現在に至っている。
そして、5月27日には、イエメン南部の第3の都市であるジンバルが、サーレハ政権とは距離を置いてきた部族の人々によって形成された「アンサル・アッシャリア」を名乗る武装集団によって制圧された。
一部のメディアは、同組織はアルカイダ系ではないが、イエメン南部にイスラム法による統治国家をつくることを考えていると指摘している。
また、米国とサウジアラビアは、イエメンの政情不安を利用して、アルカイダ系である「アラビア半島のアルカイダ」(指導者の一人にアウラキ師)が足場を築いたと分析している。
実際のところどうなのかは確認されていないが、少なくともイエメン南部では、サーレハ大統領が退任拒否の理由として挙げていたように、イスラム主義勢力が活動を活発化させている。
イスラム主義勢力の台頭は、GCC諸国だけでなく米国も懸念しており、イエメンがテロ組織の温床となることが現実味を帯びてきた。
イエメンは、サーレハ政権と、ハシド族の指導者であるサディク・アフマル氏の支持者との権力争いの場となりつつあり、内戦への道を歩み始めていると言える。
こうした情勢を改善するためには、再度、GCC諸国の仲介努力が望まれる。
一方のバーレーンでは、ハマ度国王が7月1日から国民和解のための対話を始めると発表した。
また、若者の生活向上を目的に、GCC諸国から10年間で100億ドルの支援が約束されている。
このように、バーレーンはGCC加盟国として、同組織の軍事力(湾岸の盾軍)と資金力の支援を糧に市民運動を抑制しつつある。
アラブ地域ではこの両国の他に、リビア、シリアの政治動向が引き続き注目されている。
特に、シリアでは5月30日にインターネット上に、13歳の少年が政権側により虐待され死亡した事件が動画で流れ、国際社会による同国政府批判が強まっている。
チュニジア、エジプトでは政権崩壊へとつながった「アラブの春」と呼ばれる非暴力の市民抗議活動は、リビアやイエメンなどのように武器を手にした反政府行動へと変質しつつある。シリアでも武器を手にする市民が現れたとの報道がある。
報復が繰り返されエスカレートすると、憎しみの連鎖を止めることが難しくなる。
国際社会の早急な対応が求められている。
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