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米国のオバマ政権と野党の共和党の財政赤字削減協議は、ぎりぎりのせめぎ合いが続いている。米国は8月2日までに、この問題に決着をつけ、連邦債務の法定上限の引き上げ合意ができない場合、債務不履行(デフォルト)になる。
米国が債務不履行になると、年金の支払い、軍人の恩給などをはじめ政府支出に大きな障害をきたす。そして、米国債の信頼が揺らぐと、米国債を大量に保有している中国、日本、サウジアラビアなどの国々は打撃を受け、世界経済に大きな影響が出ることが懸念される。
その中、アフガニスタンからの米軍の撤退が予定通り開始された。そして、米軍は本年末にもイラクからの撤退が予定されている。
オバマ政権にとって、財政面を考えれば、中東地域への関与を低レベルにするとの選択には合理性がある。
そして、その方向性を明示したともいえるのが、「アラブの春」への対応である。中でも、リビア問題においてNATOの関係で見せた後方支援の姿勢、バーレーンの市民抗議活動に対するGCC諸国の「湾岸の盾軍」の派遣を黙認したことは象徴的であった。
このような米国の内向な対外政策は、オバマ政権だけでなく全米市長会議でも見られている。米軍のアフガニスタン完全撤退を早めて、その分の費用を国内の雇用促進策に回すようにとの宣言を行った。
米国は国家財政が悪化する中、連邦、州などで3万9000人(6月だけで)の雇用をカットしたこともあり失業率は高止まっており(年率9%台)、多くの米国民の関心の中心はオバマ政権の経済政策となっている。
では、オバマ政権はこうした国民の声を受け、経済政策に力を入れることで、来年の大統領選挙で再選できるだろうか。
恐らく、その問題への対応だけで再選できるとは言い難いだろう。大統領選挙のカギとなるのは、国際経済の動向および中東諸国の政治面での安定化だろう。
特に、イラク問題ではシーア派過激派武装組織の動き、アフガニスタンではタリバーンの今後の動向が注目される。
また、アルカイダをはじめとしたイスラム過激派の国際テロ組織の動向も目が離せない。
そこで気になる国はパキスタンである。
パキスタンと米国は5月のビンラディン容疑者殺害事件以降、不協和音が高まり、米国は7月11日に対パキスタン軍事援助の凍結を発表した(5億凍結、3億返還)。
このような米国の対外政策は、一層パキスタンを中国寄りにさせている。さらにパキスタン国内のイスラム過激派組織が対インド・テロ活動を行う素地をつくることにもなっている(2008年に続いて、7月13日にインドのムンバイで同時テロ事件が発生した)。
オバマ政権は、シリア、イエメンなどでも燻り続ける「中東の春」への対応について、そろそろ重い腰を上げなければならなくなっている一方、南アジア政策への見直しも迫られている。
中東、イスラム諸国からの米国の存在感の後退が、国際情勢と来年の米大統領選挙にどのような影響を及ぼすのか、注目される。
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2011年07月16日
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