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「アラブの春」から1年という特集がメディアで組まれる中で、イラン、シリア両国の政治情勢も緊張を増している。
この両国への対応に関し、国際社会において温度差が生じている。それは「新冷戦」とも言われはじめた、一党独裁的国家の中国・ロシアと米国・EU諸国の間の対立構図の一コマとして現れているようだ。
対立の焦点は、「主権国家」への内政干渉のあり方である。それは国連憲章に謳われている主権国家を守る憲章の第2章と、国際的な脅威への集団防衛権を認めた第7章の間の矛盾という問題を再び思い出させるものでもある。
 
では、中国とロシアは、シリアおよびイランの問題についてどのような認識をして政策立案を行っているのだろう。端的に言えば、「国益」重視である。
中国の対イラン政策は、(1)エネルギー資源の確保にとって重要な国、(2)武器輸出先、(3)インフラ整備事業の発注国という認識のもとで形成されているといえそうだ。また、ロシアも、原子力発電プラントの輸出先という認識といえる。
そして、シリア政策については、中国もロシアともに大きな経済権益は持っていないが、ロシアは対シリアへの軍事援助を行っており、ロシア海軍の寄港先も有している。
さらに、ロシアと中国は、欧米が人権問題でシリアへの内政干渉を行えば、それが人権問題に関する国際社会の対応の前例となることを恐れていると考えられる。つまり、両国は内政干渉を受けるリスクを重視する問題設定をしていると言える。
これに対し、米国・EUは、もちろん国益重視ではあるが「国際益」「地球益」という観点から「保護する責任」「核兵器の拡散問題」に重きを置く問題設定を行っている。
 
したがって、国連安保理での政策合意を見る場合は、両者のフレーム調整が欠かせなくなる。
しかし、この調整は、現実的に難しい上に、今後も中国の国力が増す中で、両陣営がリフレーミングすることはほぼ絶望的のように思う。
その意味で、イラン、シリアに関する両陣営の政策対立は「新冷戦」のプロローグともいえそうだ。
 
なお、イラン問題に関する国連での解決の蓋然性は低く、イランの出方次第では、米・英を中心とした国際社会の対応がエスカレートすることも十分考えられる。

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