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センター試験から1週間が過ぎた。大学ではいよいよ本格的入試シーズンを迎える。昨年まで国際学部の入試委員長だったため、このところずっと受験生の志願動向が気になってしかたがない。
というようにブログを休んでいた言い訳を述べた上で、中東地域の現状について記すことにする。
国際社会が現在、中東地域に関し特に注目している課題が2つある。1つは、核拡散阻止という「国際益」に関わるイランの核開発への対応である。そして、もう1つは「人権保護」という地球市民の観点に立った課題である、反政府行動を弾圧し続けているシリアのアサド政権への対応だ。
イラン核開発については、イランが国際原子力機関(IAEA)の調査団を1月29日から31日に受け入れるとの動きが出てきている。また、1月18日にイスラエルのバラク国防相が同国軍の放送で、イランへの武力行使について「当面、先の話」とコメントしたと報じられている。さらに、1月19日にイランのサレヒ外相がトルコを訪問し、地元テレビで、ホルムズ海峡封鎖について「イランは歴史上、この重要な海路の航行を妨げたり、障害を置いたりしたことはない」として、「平和と安定を望む」と語っている。
これらの変化の背景には、1月15日付「ニューヨーク・タイムズ」が報じた、オバマ大統領からイランのハーメネイ最高指導者への手紙があるようだ。その内容は公表されていないが、イランのファルシ通信は、手紙の最初は脅迫だが、後半で対話を申し出ていると伝えているとのことだ(1月19日付CNN配信)。
こうした米国の動きについてロシアは、1月18日にモスクワでの年次記者会見においてラブロフ外相が、米国の対イラン政策の狙いは制裁によりイラン経済を「窒息状態」にし、国民間の分裂をはかることだと警告した。
このラブロフ氏の見方は興味深い。それというのも、米国は、昨年末、オバマ大統領が署名した「国防権限法」を最大限に使って、3月に予定されているイランの国民議会選挙に影響を与えようとしていると分析できるからである。
イラン国内では、イラン・リヤルの下落や経済制裁による物不足からくる物価高で、市民生活が悪化していると報じられている。
ハーメネイ最高指導者は、先に「イランの核開発は国民運動であり妥協はない」と述べている。
いよいよEU、中国、韓国、日本などのイランからの原油輸入が減少していく中、イラン国民は2月の革命記念日、そして3月の選挙でどのような「選択」をし、行動するのか注目される。
次に、シリア問題について見ていこう。
アラブ湾岸産油国(サウジアラビア、UAE、カタール)を歴訪中の中国の温家宝首相が、「人民の改革要求を支持、尊重する」(1月19日、北京時事)と述べたことが注目されている。
中国からこうした発言が出るほどシリアの状況は緊張しはじめている。国連関係者によると、シリアでの市民の犠牲者は5000人以上となっている。1月16日には潘国連事務総長がUAEで、「事態はこれ以上容認が許されないところまで悪化している」と述べ、安保理での問題解決を促した。
この国連安保理の問題解決の障害となっているのがロシアである。同国は、16日には独自の新決議案を安保理メンバー国に配布した。しかし、その中身は、アサド政権への暴力停止を求めるとのレベルで留まっており、解決に向けた積極的提案とは程遠いものである。
一方、アラブ諸国内では変化も見られている。先般、カタールのハマド首相は、アサド政権の市民弾圧を停止させるためにアラブ諸国の部隊を派遣させる可能性について言及した。これに対し、シリアは、1月17日、国営シリア・アラブ通信で、これを「断固として拒否する」との外務省声明を発表した。
シリア国内ではアラウィ派から反政府抗議活動に加わる人々が顕在化し始めたとの報道もある。
今後のシリア情勢では、300人にまで増員されるアラブ連盟の監視団の動向に注意をはらう必要がある(1月26日にダマスカス入り予定)。
なお、この2つの他に経済面では、EUの国債問題の影響を受けてドバイの経済状況が悪化している。1月5日から開催されている「ドバイ・ショッピング・フェスティバル」もあまり好調でないことが気がかりである。
※日本文化チャンネル桜で、中東情勢について解説しました。
ご興味がありましたら、以下の動画をご覧ください。
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2012年01月20日
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