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マリ問題と国際介入

チュニジア、エジプト、リビアの政変後の動き、そして今回のアルジェリアでの人質事件と、北アフリカ諸国での内政不安が続いている。
リビアの指導者だったカダフィ氏はかつて、自分が地位を失えば「地獄の釜の蓋が開くだろう」と述べ、この地域で起きる「力の真空状態」とその影響を予測した。
そして現実に、リビアのベンガジでの米領事館襲撃事件、イスラム過激派によるマリ北部制圧、今回の天然ガスプラント襲撃事件、サヘル地域での外国人誘拐事件の多発などが起きている。
こうした状況に国際社会はどう対応すべきだろうか。
以下では、このことについて、国際社会による主権国家マリへの介入を通し、考えてみる。
 
まず、国際介入について基本的なことを確認しておく(本ブログでもこれまでに何度か書いたが、再確認しておく)。
国際関係の基本原則は、国連加盟国間においては(1)内政不干渉、(2)武力不行使
(3)領土不可侵である(国連憲章2条4項)。
この原則を踏まえて、仮に「他国の統治管轄への強制的な関与」の行為を「介入」と定義すると、歴史において以下のようにパターン化できる(稲田十一編『紛争と復興支援』を参考)。
1.一方向的介入
   介入主体の国益によって物理的に、もしくは自己正当化した理論で介入する。
2.相互意志に基づく介入
   介入対象国の同意もしくは要請に基づき介入する。
3.国際的な合意に基づく介入
   破綻国家(統治能力を喪失している国家)における人道危機の解決、および国連安保理の決議に基づいて「国際社会の脅威」を排除するために介入する。
 
さて、今回のアルジェリア人質事件の首謀者ベルモフタールが犯行声明で非難した、マリへのフランスの軍事介入は上記のどれにあたるだろうか。
これはマリ政府がフランスに要請したものであるため、上記の2に当たる。さらに、西アフリカ諸国が中心となって、マリ北部のイスラム過激派勢力の台頭を「脅威」として、国連安保理で武力行使を計画し(201210月)、実施を承認(同年12月)したものであるため、上記の3でもある。
 
ここで、確認すべき点は、国際社会において「協調行動」がとれているかどうかである。
近年、安保理では、シリア問題、北朝鮮問題などの例に見るように、中国およびロシアが欧米の提案に強い拒絶を占めることがある。
しかし、このマリへの国際介入については協調行動がとられ、全会一致で決議案が採択された。おそらく、ロシアはチェチェン問題(国内のイスラム勢力との対立問題)、中国はアフリカでの「国益」に配慮したためと考えられる。
 
では、マリへの介入は問題がないと言えるのだろうか。
整理すると、次のことが見えてくる。
 
フランスによる空爆は、国連決議に基づくものではあるが、米国、英国との事前協議がなく、単独で開始したきらいがある点である。このため、(1)北大西洋条約機構(NATO)の介入支援準備が遅れている、(2)米国は「共同作戦」という認識が薄く、協力に積極的ではない(フランスからの空中給油機、高性能偵察機の派遣要請を受諾していない)。
117日にEU外相会議で、英国の外交努力もあってフランスの介入に対する支援が決定された。しかし、国内経済問題を抱え軍事費を削減しつつあるEU各国が、どれだけの支援を行うかは不透明である。それは2期目に入ったオバマ政権も同様である。
 
「移行期危機」における国際社会の協調行動では、政策合意の後の重要性が高まっている。つまり、政策の実施計画における役割分担の相互確認が以前にも増して大切になっていると言える。
マリへの国際介入は、今のところフランスがイスラム過激派勢力を圧倒している状況にある。とはいえ、その主体がマリ政府および西アフリカ諸国の軍体制へと移行しない限り、フランスにとって大きな負担となることは目に見えている。
現在、西アフリカ諸国の軍隊の結集および訓練は遅れている。一方、国際社会では、そのリスク分散のためどれだけ負担を引き受けるかの協議は十分にはなされていない。
 
「ヨーロッパの脇腹」であるマリをはじめ西アフリカ、そして北アフリカ諸国がイスラム過激派テロリストの温床となることは、EU諸国にとって脅威である。それは、米国にも悪影響を及ぼすことになる。
EUが資金や物資提供などの協調行動を継続する蓋然性は高い。
今後の注目点は、内政志向のオバマ政権が事後的協議でどれだけ役割分担を引き受けるかである。
さらにいえば、もう1つの注目点として、このマリ問題が、地中海の東側に位置する内戦が続くシリアへの国際協調行動にどのような影響を与えるかが挙げられる。
「開いた地獄の釜の蓋」を閉じるには、国際介入での協調性が一番に重要となる。その協調において、果たして日本は役割を担う覚悟があるだろうか。邦人保護に役立つ重要情報を得るには、そこでの「協働」を求められることがあるかもしれない。

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