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I 武力介入のシナリオ
1.武力介入に関する国際的な正当性が得られた上での実施のケース
(1) 安保理事会
(2) 国連総会
1−(1)は、英国が決議案を提出したが、ロシアと中国は決議案が国連憲章7章を踏まえた「必要なすべての行動」との文言が入っている限り、拒否権を使う。ただし、決議が採択できればアサド政権内で不協和音が生まれる。<蓋然性はほぼない>
→ 「必要なすべての行動」という文言の修正。
1−(2)は、現在のところ具体的な動きはない。昨年アラブ諸国の働きかけでパレスチナ暫定政府の国家承認問題で使われている。状況によっては、湾岸産油国などが総会への決議案提案国となる。決議を採択しても強制力はないため、アサド政権の政策変更はみられない。<蓋然性は小>
国際社会の中では、安保理決議の採択がないことで、イタリアやポーランドのように有志連合への参加に否定的姿勢を示す国がある。EU経済危機の影響もあり、各国の財政面で、軍事行動への制約も加わっている。国際社会がアフガニスタンやイラクで平和構築に関与した時よりも参加国は減少する。
2.有志連合による武力介入
英米首脳は、化学兵器を使用した者に対して毅然とした対応をとる旨発言している。
したがって、武力行使をもって化学兵器の再使用を阻止する。<蓋然性は大>
注目点は、フランスのオランド大統領には、29日のシリアの反体制派グループの関係者との協議後、「政治的解決」を求めるという路線の発言が見られている。
また、総選挙を控えているドイツ、9月1日からの国連安保理の議長国となるオーストラリアの動向を注目。
3.軍事行動
(1) 誘導ミサイル、駆逐艦および原子力潜水艦から攻巡航ミサイルによる攻撃。その後、爆撃機により空爆。軍事行動短期的であればアサド政権は継続、内戦も続く。軍事行動が長期化すれば体制変換に結びつく。<蓋然性は大>
※米国は4隻を配備(1隻の駆逐艦のミサイル搭載量は約90発程度。原子力潜水艦は150発程度)
※問題点
a) 化学兵器関連施設そのものの攻撃目標の把握が難しい。
b) 化学兵器関連部隊や化学兵器の運搬手段への攻撃。
c) 軍司令部への攻撃に限定できるか。
(2) 特殊部隊の展開による化学兵器の確保後、空爆を実施。<蓋然性は小>
(3) シリアの反撃のシナリオ
a) 対空システムによる防衛が主体。<蓋然性は大>
b) 東地中海の駆逐艦への反撃(ミサイル空軍機)。<蓋然性は中>
c) シリア国外への反撃
イ) ゴラン高原からイスラエルへの攻撃。<蓋然性は小>
ロ) トルコへの攻撃。<蓋然性は中>
ハ) ヨルダンへの攻撃。<蓋然性は中>
d) アサド政権支持者による攻撃
イ) イランによるイスラエルへの攻撃。<蓋然性はほぼない>
ロ) ヒズボラによる南レバノンからイスラエルへの攻撃。<蓋然性は中>
ハ) 米、英などの権益、施設へのテロ攻撃。<蓋然性は小>
国際介入に際しては協調体制をどう作るかが重要になる。今回の問題では、化学兵器が使用されていることは明確であり、この点、誰が使用したかを検証できれば、2003年のイラクへの国際介入よりも協調は形成しやすいと言える。
また、フランスとドイツは2003年当時と比較して、英米との政策協調がとれている。
9月5〜6日のG20首脳会議は、新しい国際秩序がどのようなパワーバランスで形成されるのかという意味でも注目される。
II 政権交代のシナリオ
1.バッシャール・アサドの暗殺にともなう政権崩壊。<蓋然性は中>
2.アサド家とその関係者の国外亡命。<蓋然性は小>
3.国際介入後、米国とロシアが中心となり国際会議を開催し、アサド大統領の退任後、大統領選挙の実施を決める。<蓋然性小>
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2013年08月30日
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