中東地域情勢

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シリア問題と日本

このところ中東情勢ではシリアとイランに関心が集まっているが、他の各国情勢も不安定化の芽が顔を出している。
225日、イエメンで暫定大統領が誕生した。サーレハ前大統領の辞任を受け、同月21日の選挙を経て、ハディ副大統領が後任に就いた。ハディ大統領の暫定就任期間は2年間となる予定である。同大統領は就任に当たり、「国民融和」を求める旨宣言した。
しかし、現在のイエメン情勢は(1)サーレハ大統領の一族がこれまでの地位に留まっている点、(2)北部と南部に分離独立を求める勢力が存在する点、(3)アラビア半島のアルカイダの拠点がある点など問題点が多く、先行き不透明感がある。
不透明感はアフガニスタンについてもいえる。国際治安支援部隊(ISAF)がコーランの一部を焼却したことに抗議するデモが同国各地で起こり治安が悪化している。
 
さて、注目のシリア情勢であるが、224日にチュニジアで開催された「シリアの友人の会」において、シリアの反政府支援について武器供与を巡る意見対立があった。
シリア問題で大切なことは、シリアの人々の人権をどう守るかである。
例えば、シリアとトルコの国境沿いに安全地帯を設置することも一案だろう。
 
チュニジア、エジプトで広場に集まる若者たちがテキストにしていたといわれているジーン・シャープの『独裁から民主化へ』の精神である非暴力による市民運動を、シリアでもこの1年間、多くの市民が貫いてきた。それが今、変質しようとしている。
カタールやサウジアラビアは反体制勢力への武器供与を進めることを公言しており、シリアが内戦状態に陥る蓋然性が高まっている。
これを回避するには、安保理での停戦決議案の採択が有効だと思われるが、ロシアと中国の反対の意志は固そうだ。
 
では、どのような手段が考えられるだろうか。
イエメンのように、バッシャール・アサド大統領とその家族が国外に出るということも考えられる。
日本は、ハーフェズ・アサド前大統領の時代からシリアと良好な関係を築いてきており、その担い手の一人となり得るのではないだろうか。
内戦が回避できなければ、アフガニスタンのように長きにわたる内戦状態に陥ることも考えられる。
日本が世界平和に貢献するという外交理念を有しているのであれば、外交手段に基づいた解決方法を積極的に模索、検討すべきだろう。

イランのIAEA査察拒否

221日、国際原子力機関(IAEA)のイラン調査団が、調査内容の協議でイランとの合意が得られず、2日間の滞在で帰途についた。
協議がまとまらなかった原因の一つに、バルチン軍事施設の査察問題がある。IAEAは、201111月に発表した報告書でも言及しているように、イランが同施設内で核爆発を引き起こす実験を行った可能性があると見ている。同施設の査察に関しては、1月にもIAEA側が要請していたが、拒否されたという経緯がある。
 
イランは、今回の査察拒否と合わせて、18日にはイラン海軍の駆逐艦と補給艦の2隻をシリアのタルトゥース港に入港させ、19日にはイラン石油省が英、仏への原油輸出停止を発表するなど国際社会の反感を高めるようなメッセージを立て続けに出している。
原油価格は、イランの英仏向け原油輸出停止の発表により、20日にはドバイ原油のスポット(4月渡し)が1バーレル118.70ドル、北海ブレント原油は時間外取引で121ドルという高値を付けた。
EU諸国がギリシャなどの政府債務の信用問題への対応に追われる中での原油価格の上昇は、これら諸国の経済不安を高めることになる。
特に、イラン産原油の輸入量が多いギリシャ(輸入量のうち30%)、イタリア(同13%)、およびスペイン(12%)は、債務問題で注目されている国でもある。この点から、EUとして7月からイラン産原油の輸入禁止を決めてはいるが、原油価格の上昇が気になるところである。
 
イランがこのように挑発的姿勢をとっているのは、欧米の景気低迷やフランス、米国で大統領選挙が実施されるという弱点をついて、国際的緊張を高めて原油価格の上昇圧力を強めることで、核問題の交渉での妥協点を引き出そうとの考えがあるからだと分析できる。
それを裏付けるように、イランの交渉責任者サーイド・ジャリリ氏はEUのアシュトン外務安全保障政策上級代表に、新たなイニシアチブについて交渉を再開したいとの考えを書簡で示している。
このイラン側の思惑に反応するかのように、フランスのジュペ外相が同書間について「イランが核問題に関する交渉再開にオープンの姿勢を示したようだ」と述べている(216日ロイター通信)。
 
一方で、今回のイランの査察拒否により、イラン側のこれまでの交渉姿勢を問題視してきたイスラエル内で、対イラン軍事行動に踏み切るべきとの声が強まる可能性がある。
このイスラエルの対イラン軍事行動に関して、2つのポイントがある。
1は、イスラエルがイランを攻撃した時、イランはどのような反撃をするかである。
イスラエル関係者は、自国への影響も含め国際社会へのリスク連鎖についてはあまり考えていないとの報道がある。
 
2は、イスラエルの軍事行動がどのような成果を上げられるかである。
220日付ニューヨークタイムズ紙が報じているように、米国国防関係者は、イランの核施設を空爆によって破壊するには戦闘機100機を使用するといった大規模な作戦行動が必要であり、そうでなければ成果は上がらないと分析している。
さらに、仮にイスラエルがF-151戦闘機100機での攻撃訓練をしているとしても、イラン攻撃に際しては、空中給油ができるかどうか、もしくは他国の領空を通過できるかどうかという課題がある。このような軍事行動を行うには米国やサウジアラビアなどの支援が必要になる。しかし、これらの国は国連安保理の決議がないと支援は難しいだろう。
 
国際社会は、国際銀行信用協会(銀行間の決済ネットワークを運用)に圧力をかけてイラン中央銀行への経済制裁を一層強化しようとしている。
イラン側の強硬姿勢が続けば、今後、安保理がIAEAの理事会報告を受けて、国連憲章第7章に基づく経済制裁措置から武力容認措置への決議案を協議する蓋然性は高まる。
とはいえ、(1)3月のイラン国会議員選挙の動向、(2)イラン保守派の内部対立、(3)自由化、民主化を求める反体制勢力の動向、(4)ロシア、中国のイラン政策など決議案の採択を遅らせる不透明な要因は多い。
 
こうして見ていくと、イランの核問題の解決はまだまだ先に延びそうだ。その間に原油価格の上昇というリスクが大きくなる可能性は高い。
そうなると、原発停止が続く日本国内の電力会社は電気料金の値上げなしでエネルギーの安定供給ができるのだろうか。不安を抱くのは私だけではないだろう。
 
シリア問題で3つの変化が見られている。
1は、216日に国連総会でアラブ諸国が主導し、欧米や日本など70か国以上が共同提案したシリア非難決議が、賛成137、反対12、棄権17で可決されたことである。
2は、215日にアサド大統領が大統領令を出し、同月26日に新憲法案を巡る国民投票を実施すると提示したことである。
3は、216日に米国のクラッパ―国家情報長官が上院軍事委員会の公聴会で、イラクからシリアに国際テロ組織アルカイダのメンバーが流入していると証言したことである(同日、パネッタ米国防長官もこの点への懸念を表明)。
 
3の点については、シリアにはテロリストの手に渡ると国際的に安全保障上のリスクが高まる対空ミサイルや生物・化学兵器など国際監視を必要とする兵器が存在していることがポイントである。そして、アサド政権の統治能力が弱まっていることが懸念を高めている。
2の大統領令については、(1)バアス党は「国家を指導する党」であると憲法で規定していた項目が削除されたことが注目される。また、大統領の任期を2期(14年)までとするなどの改革案も含まれている。
1の決議の目的は、総会決議が賛成多数で採択されたことで、シリアでの武力停止を働きかけることだと考えられる。総会決議は安保理決議と異なり、加盟国への拘束力があるものではない。しかし、採択により、フランスのジュペ外相が述べているように、安保理での制裁決議の再提案や、アサド政権関係者を国際刑事裁判所に訴追することへの道が開かれたことは確かである。
 
以下は、TBSの番組ニュースバード(214日放映)への出演の際に、今後のシリア情勢に関する国際社会の対応についてまとめたものである。
1.人道支援・難民保護
2.国連・アラブ連盟の合同監視団派遣
3.国際会議開催
4.国連総会での非難決議の採決
5.経済制裁の強化(有志)
6.シリア国民評議会の強化
7.国際刑事裁判所の活用
8.政治勢力の対話を呼びかけ
9.反体制派への武器支援
10.シリア国民評議会の正式承認
11.空爆による国際介入
 
この11項目のうち14は国際社会が「現時点で実施可能」なものであり、58はアサド政権が今後も市民への武力行使を続けた場合に「実施すべきこと」であり「現時点で具体的な検討を行うべきこと」である。そして911は国際社会として、バッシャール・アサド大統領が交渉によって退陣しない場合、「最終決定すべきこと」であると考えた。
国際社会は、アサド政権がここ数日中に国民投票を名目に国内でどのような治安活動を展開するかによって、これらの項目を組み合わせて検討、実施していくと考えられる。
 
シリア情勢を分析する際、イスラエルがシリア政権の崩壊した場合のリスクについて懸念していることや、イランの支援を受けているシーア派武装勢力であるレバノンのヒズボラ(神の党)の存在、さらにはレバノン国内のシーア派とスンニ派の対立など地域紛争が拡大することへの脅威論が頭に浮かぶ。そして、そのことにより国際社会は対シリア政策で慎重な姿勢をとっているとの指摘がある。
 
ただ、この指摘に新たな要素を加えると、少し見え方が変わってくる。
その要素とは、(1)アルジャジーラをはじめとする衛星テレビなどのグローバルメディアによって、アサド政権や反体制派の動きなどシリア情勢が「見える化」されていること、(2)ソーシャルネットワークサービス(SNS)により、シリア問題の解決を求める市民レベルの連帯意識が国境を越えて形成されつつあることである。
これらの要素が、アラブ諸国をはじめ世界各国の政治指導者が、慎重ながらも問題解決に向けて動く動機となっている。
かつて19822月に、故ハーフェズ・アサド大統領が行なったハマでの大虐殺の時とは、そこが違う。
バッシャール・アサド大統領や弟のマーヘル司令官が、父親と同じ手法で市民弾圧をすることで弱まり始めた権力を回復できると考えているとしたら、それは大きな誤認であったと思う日がくるのではないだろうか。
「アラブの春」といわれる政治変動で、チュニジアのベンアリ氏、エジプトのムバーラク氏、リビアのカダフィ氏、イエメンのサーレハ氏は、自国の多数の市民から政治指導者として「No」を突き付けられ、退陣した。そして、シリアのバッシャール・アサド大統領がそのリストに加わろうとしている。さらに、バーレーンやイランでも政治指導者への厳しい評価が再び表面化している。
中東地域で政治指導者の権威が急速に失墜している今、改めて同地域の政治指導者の「権力資源」について考えてみた。
 
政治指導者を分析するには、政治心理学のように個人の人格的要素に着目する方法や、その指導者がどのような特性をもつ社会空間で社会化されたかに着目する方法もある。後者の場合は、法、制度、慣習などと指導者の関係性を重視するため社会心理学の知識も必要になる。ここでは、そのような学術的分析というより、アサド大統領と既に退任したベンアリ、ムバーラク、カザフィ、サーレハの4氏とを権力資源の観点から比較することで、中東の政治指導者について考えてみたい。
 
1は、血の「正統性」の観点である。
中東の場合、預言者ムハンマドの一族との血のつながりは一つの権威となる。アサド大統領を含めた5人の政治指導者は「血の正統性」に関する権威はない。この正統性を有する政治指導者は、ヨルダンの国王とモロッコの国王である。
 
2は、民主的な手続き(複数政党制のもとでの公正な選挙)における「正当性」はどうだろうか。
この点では5人とも合格基準にはなく、「独裁制」といえる政治体制である。
 
3は、制度面で、軍、官僚、政治組織との関係はどうだろうか。
軍は政治指導者の権力資源である。軍・治安関係の中枢を親族、地縁者で固めるか、国家システムの中でエリートとして利益を多く得ている忠誠を誓った者で固めるかに大別できる。後者の例がエジプトのムバーラク政権であった。リビアやイエメンでは、親族を軍の要職において、軍内部で親族以外の優秀で能力ある人材、つまり対抗勢力になりそうな人材が出てこないよう人材管理をしていた。シリアのバッシャール・アサド大統領も、弟のマーヘル・アサド氏を共和国防衛隊司令官に据え、父方従兄弟のドゥルヒマ・シャリシュを大統領治安部隊責任者に置くなど、親族で周囲を固めている。
その軍であるが、2003年のイラクのサッダーム政権崩壊時や、チュニジア、エジプトでの政権崩壊において予想以上に政権を支えなかった。リビアでも反体制派がNATO軍の支援を受けるようになると、軍からの離反者が次々に現れた。中東諸国の軍部の中には、国家への忠誠心よりも雇用主としての政治指導者およびその関係者と良好な人間関係を保つことで自らの地位を保持しようとする軍幹部たちがいる。政治指導者と、親族以外の軍関係者は相互に、もはや自らの役立たないと見るや簡単に見放す関係にあると言える。
官僚と政治組織も、アサド大統領を含む5人の指導者にとっては権力資源である。しかし、これらも軍と同じで、政治指導者たちは権力を掌握した後、「自らに代わる人物はいない」と国民に思われるよう、党員や官僚の力を弱め権力の集中をはかろうとしてきた。したがって、政治指導者の地位が揺らげば、党員や官僚は指導者を支えることはしない。
 
権力資源として正統性も正当性も持たない5人の政治指導者に共通に言えることは、自らの地位を保持するには制度面の権力資源を重視せざるを得ない。しかし、制度面の権力資源は、自らを超える人物がその中から現れる可能性がある両刃の刃である。したがって、自分の存在の唯一性を高めるよう、この制度を上手く運営していかねばならなかった。
 
4つ目の権力資源として、「恐怖ファクター」がある。
これは5人の政治指導者のみならずイラクのサッダーム・フセインにもみられた中東的社会空間の特性である。政治指導者たちは、「国民の安全」に関わる面で、対外的危機が存在し、自らがいなければその危機は乗り越えられない、とのイメージを国民が持つように演出してきた。
例えば、その危機とは、欧米の植民地主義、イスラエルとの対立、一方的な米国からの政治圧力、武装イスラム過激派の脅威などである。これらの危機を強調して国民に現在の指導者がいなくなると大変なことが起きるという恐怖感を煽るのである。
また、それ以外にも、治安機関や情報機関を駆使して「監視国家」をつくりあげ、恐怖で国民を自縛させるという方法も取られている。
 
こうしてみると、シリアのバッシャール・アサド大統領も、他の4人の指導者と同じ権力資源を使い自らの地位を保持してきたと言える。
ただ、アサド大統領が他の4人と異なるのは、若く、欧米での教育と生活経験があり、夫人も開明的人物だと見られていた点である。この点に鑑み、国際社会は、バッシャール・アサド大統領が伝統的な権力資源の運用を放棄して、合理的改革に着手するだろうとの期待感を持ち続けてきた。
しかし、仮に、バッシャール・アサド大統領がそれを望んだとしても、アサド家とその親族、さらにそれを支える人々という固い構造の中で、古い権力資源の運用を続けざるを得なかったというのが実情ではないだろうか。特に軍・治安関係、情報関係機関の要職を親族で固めているシリアでは、この構造は強固なものとなっている。
 
したがって、シリア情勢は、今後も外部からの強い圧力がかからない限り、アサド大統領が政策変更をすることはないだろう。一方、危機が国外ではなく国内にあったことに気が付き、恐怖を乗り越えた市民が、アサド政権に対する抗議活動を止めることは、よほどの出来事が起きない限りないだろう。例えば、イスラエル・イラン間で武力衝突が起きた場合、シリアへの飛び火の仕方によっては、シリア国内は反イスラエルで再結集される可能性がある。しかし、こうしたことが起こる蓋然性はあまり高くない。
したがって、シリア情勢はアサド政権と市民の対立が続く限り犠牲者が増え続けることになる。
それを食い止めるために、国際社会は「シリア国民評議会」を公式に承認し、同評議会への(あらゆる)支援を行うという外部圧力をかけられるか、が今後の注目点である。

中国の対中東外交

昨年の1月にチュニジアでベンアリ政権が打倒されて以来、2月にエジプトのムバーラク大統領、10月にリビアのカダフィ最高指導者が退陣した。そして11月にはイエメンのサーレハ大統領も権限移行案に署名した。こうして、中東ではこの1年間で国家指導者が後退する変化が続いている。
 
これまで本ブログで、この政治変化が起きた要因として、(1)人口動態に見る突出した若者世代の存在(ユースバルジ)、(2)ソーシャルメディアの普及と市民の連帯意識の形成、(3)不公正、不公平な・経済社会状況(汚職などの腐敗構造、格差の見える化)、(4)教育水準の向上などを指摘してきた。
 
一方、国内外でいわゆる「アラブの春」に関する多くの著作が出版され、イスラム復興運動やアラブの民主主義の現状が紹介されている。
このようにアラブ諸国の政治・社会の変化をフォーカスして説明することは、オーソドックスな研究手法であり、今後も多くの成果が挙げられることが期待される。
 
ただ、「着眼大局、着手小局」という言葉がある。この言葉が適当かどうかわからないが、次の2点を確認しておきたい。
 
(1)米国でのシェールガス(シェール層から採取される天然ガス)生産に拍車がかかっている。その開発技術の向上と普及は、米国の中東でのエネルギー依存度を低下させた。また、シェールガス開発については今後、カナダ、オーストラリア、中国などでも活発化することが予想されている。
そのことで、米国の戦略における中東の位置づけは、長期的には低下すると考えられる。
(2)中東地域の経済分野の中で、商品を移動させることで利益を得るトレーダーのビジネスを中心に中国との経済関係を強める国が多くなっている。そのことで、中東地域での中国の存在感が高まっている。
 
例えば、中国はイランの核開発問題において、イラン産原油の約22%を輸入しており(EUのイラン産原油輸入量の総計を上回る量)、対イラン経済制裁のカギをにぎる国となっている。
また、今年1月の温家宝首相の湾岸諸国訪問において、イラン・シリアの同盟的関係に対し明確に対決姿勢を示し始めているサウジアラビアとは、精油所建設をはじめ経済協力関係の強化を図っている。
そのサウジであるが、ファキーフ労働層によると、2015年までに300万人の雇用が必要となる。さらに昨年からの市民の抗議行動への対応策として多額の財政出動をしている(例えば、75万人の職のない国民に月2000リヤルの失業給付を行っている)。
このサウジへの中国企業の進出や、エネルギー資源分野への投資によって両国の互恵関係が強まってきている。
これらのことから、中国は、シリア・イランと対立するサウジの間の仲介役を担うことができる存在になりつつあるといえる。
 
さらに、近く中国の習近平氏がトルコを訪問すると報じられている。トルコは、イランの核問題についてはブラジルと共に独自の外交努力を行ってきた。また、シリア問題でも国際会議を提案するなど、重要な役割を果たそうとしている。
仮に、中国がトルコと共にイランおよびシリアの問題解決に何らかの成果を上げることができれば、中東・アフリカ諸国に対して国際社会での主役が交代しつつあることを明示することになる。
そうなれば、中国は中東・アフリカという市場と地下資源の獲得という国益を得ることになる。
 
中国は近年、イスラエルとの関係強化を進めている。中国は対立関係にあるイランとイスラエル、湾岸諸国と等距離外交を展開している。
そのことから見ても、中国がシリア問題について国連でロシアと拒否権を行使したことは、単にロシアとの同調行動というだけではないだろう。それは、中国が中東・アフリカでの国益を明確に認識した上での外交戦略だと見ることができる。
今後、イランおよびシリアの問題への中国の外交に注目したい。
 
それにしても、こうした中国の対中東外交に鑑みれば、資源なき国家としての日本の中東・アフリカ外交は少々心もとなく見える。
 

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