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1月3日、米国のアイオワ州で党員集会が開かれ、民主党はオバマ氏、共和党はハッカビー氏が勝利した。民主党の中でこれまでの選挙戦を優勢に戦い、選挙資金も潤沢なヒラリー・クリントン氏は「やらせ質問事件」以来、支持率が低迷し、今回のアイオワ州での投票前から3位となった時の予防策を練るなど苦心していたが、悪い予想通りの結果となった。
さて、このアイオワ州で民主党が行った党員集会は、米国メディアでも称えられたように、米国の良き共和制の伝統を受け継いだものとなった。それは、党員(投票当日でも登録できる)間での公開討議を経て、各候補者の支持者別の集計を行い、代議員を割り当てるというものである。ただし、25%未満の支持者しか得られなかった候補者には代議員は張り当てられないため、その候補者の支持者は別の候補者に支持替えをするか、“支持候補なし”を宣言するかの選択をする。今回の民主党の党員集会には23万人が参加した(前回は12万4000人)。なお、共和党は無記名投票のみを行い、参加者は11万人であった。
アイオワ州の傾向としては、両党ともに典型的な投票結果となることが多いと指摘されており、今回も両党の特色が現れている。共和党では、牧師出身で「信仰が私を形作った」と発言し、宗教保守層の支持を取り付けつつあるハッカビー氏が34%の支持を得た(85%開票時)。一方の民主党は、労働組合や若者層に支えられたオバマ氏が38%(95%開票時)の支持を取り付けた。
また、今月8日に予備選が実施されるニューハンプシャー州では、大統領選挙日当日(11月4日)に18歳となる若者も既に予備選から参加して投票を行える制度がある。近年、同州には新しい価値観を持った住民が流入しており、現在、同州選出の連邦議会上下両院議員は民主党が占めている。こうしたことから、アイオワ州と相反する結果が出ることもあるといわれている。
このような各州の特色が十分活かされる選挙制度となっているため、各候補者は、それを踏まえて自分の政策を説明できる能力が求められる。高度情報化社会において、テレビやウェブサイトでのコマーシャル効果や話題の作り方が注目され、それにともなう選挙資金力が問われることは確かである。しかし、選挙戦の間、変わり行く国内外の情勢を理解し政策を語り続ける能力はリーダーの必要条件である。さらに、今回敗北を喫したクリントン氏が、今後の選挙戦を引っ張っていく準備はできていると語ったと報じられているが、この支持者の信頼にこたえようとする強さも国民を導くリーダーの必要条件といえるだろう。
われわれは米国大統領選挙を通し、「民主主義」や「政治指導者」のあり方の変化を見ているともいえる。その意味で、日本のマスメディアには単に選挙結果を報じるにとどまらず、「なぜ」「どうして」といった踏み込んだ報道を期待したい。それによって、今年にも実施される可能性がある日本の衆議院選挙において、日本の民主化の深化が促されればと願っている。
物事は突然何かが起きることよりも、予兆があることの方が多い。訪日したゲーツ米国防長官の各所での発言を見ると、北東アジアでの核を含めた武力衝突の懸念について触れている。また、日本に対して世界的な安全保障上の責任をより一層引き受けてくれることへの期待が示されている。ゲーツ長官が、なぜ日本への期待を高めているとの発言を繰り返したのか、多元的に議論する必要があるだろう。
一つの仮設として、米国の国力の衰退が背景にあると考えられる。そのため米国は、経済大国である日本にそれなりの国際貢献を求めているのではないだろうか。米国ではアフガニスタンおよびイラクでの軍事行動で、国防予算が増加している。また、9.11同時多発テロ以来、本土防衛という課題で、軍や情報機関の強化が図られている。その中、増税や財政赤字の拡大を避けるためには、国防費以外の項目の支出削減を検討する必要が出てくる。しかし、米国でも高齢化社会に入り、今後、ベビーブーム世代の退職後の社会保障費などの支出の増加は不可避である。これでは、国家財政の赤字は膨らむ一方となる。そこで、その解消のために、財務証券(国債)を発行することになる。こうした状況は、ベトナム戦争終結(1967年)以降続いている米国の衰退傾向が、より明確になっている証といえるのではないだろうか。そのことは、9日、ゲーツ国防長官が日本財務省と、在日米軍駐留経費(いわゆる「思いやり予算」)削減問題について協議したことにも現れているように思う。
現在、日本は、このような米国の状況を理解した上で、国際社会での役割分担をどのように引き受けていくのかの選択を迫られているとも言えるだろう。日本は未だ隣国との戦後処理(国境画定、平和条約締結、補償問題など)を終えていない。その一方、国内的には少子高齢化社会に突入し、少資源国であるという独特の要素を有している。そして現在、新テロ特措法の審議に代表される政治的不安定を抱えている。今後の日・米双方の政治動向次第では、米・中関係が日本を越えて強化されることも考えられる。
こうしたことに鑑みれば、今回のゲーツ国防長官の来日、そして17日頃に予定されている福田首相の訪米と続く対米外交の持つ意味は大きいといえるだろう。
原油価格が1バレル90ドル台に突入する中で、ようやく国際社会で目に見えて動き出したものがある。それは、石油市場が売り手市場となりつつある中で、国家や企業が省エネルギー化やエネルギー・シフトに真剣に取り組み始めたことである。
米国の例でいえば、11月1日にSecuring American’s Future Energy(SAFE)が、ヤーギン元エネルギー長官、ルービン元財務長官、アーミテージ元国務副長官等の参加により、原油価格高騰時のシミュレーションを公開で実施した。そこでは、アゼルバイジャンとナイジェリアでの混乱とイランやベネズエラの原油供給削減があわせて起きることで、原油価格が1バレル160ドルを超えることになったケースを想定したロールプレイが行われた。
2003年3月のイラク紛争前に、チェイニー米副大統領やラムズフェルド国防長官(当時)が恐れていた「原油価格高騰下での売り手市場」というシナリオが現実のものとなりはじめている。一般的には、この状況になると、外貨準備が乏しい開発途上国などがエネルギー資源の安定的供給を受けることが難しくなる点、また供給側の産油国にオイル・マネーが蓄積され、経済・政治的発言力が増す点などが懸念されるといわれてきた。しかし、両氏はそれ以上に、そうした段階に至る前に、中国やインドがペルシャ湾岸諸国に接近することで、同諸国への兵器の拡散や反イスラエル政策が立案・実施されることなどを心配したようだ。米国のインドとの核支援もこの文脈の中にあるのだろう。
そして、11月1日、サウジアラビアのサウド外相がMEED誌に、湾岸協力評議会(GCC)がイランの核開発計画に対し、濃縮ウラン供給を行うと提案した(中東以外の中立国(スイスなど)でのウラン濃縮プラント建設で共同利用)。つまり、産油国が自国のエネルギーの原子力化を推進することで、石油・天然ガスの自国消費分をできるだけ国外販売にまわし、外貨を稼げるようにエネルギー・シフトしようとしているのだ。これは、イランの核開発の平和利用を方向付けることになるだけでなく、エジプトなど核開発を希望する他の中東諸国にも対応できる。また米国にとっては、ロシアが濃縮ウラン市場で優位に立つことを阻止することにもなるだろう。
国際社会が原油市場が売り手市場になっているとの認識の下、中東政策やシーレーン防衛に努めている。しかし、日本社会では、まだ、水も安全も安価に手に入り、エネルギーは国際市場で買えばよいのだと考える向きが強いのではないだろうか。世界の人口増加や生活水準の向上で、食糧もエネルギーも国際的に売り手市場になっていることは確かである。
米国が「民主主義」や「自由」を打ち出し、そうではない体制のレジューム・チェンジを提唱する意味は、民主主義ではない国家が、売り手市場の資源争奪戦の中で力を増していくことを恐れているからかもしれない。
チェイニー副大統領の2003年のシミュレーションがあまりにも長いリードタイムであったので、国際社会の多くの人はその認識を共有できなかったのかもしれない。しかし、現在の“100ドル原油”を目前にした状況で、国際社会は「売り手市場」の意味を真剣に受け止め始めているように思う。こうした観点からも、産油国からも感謝される海上輸送の安全保障に関係した国際協力を行う必要があるといえるだろう。インド洋上の海上阻止活動の意義はこうしたところにも見出せるのではないだろうか。


☆2006年2月28日のブログ「イランの核開発問題における日本の役割」http://blogs.yahoo.co.jp/cigvi2006/27136946.html もご参照いただければ幸甚です。
米国のブッシュ政権は、2008年度のイラクおよびアフガニスタンの戦費の追加分460億ドルの議会承認を求めた。これが承認されれば、同年度の戦費は1964億ドルとなる(1日平均5億3800万ドル、1時間平均2200万ドル)。米国が膨大な戦費をかけているイラク・アフガニスタンを主要な部隊とするテロとの戦いは、今後どのような展開となるのだろうか。
第1のポイントは、国際テロ組織アルカイダへの対応である。
民主党のヒラリー・クリントン大統領候補は、イラクの戦場から撤退し、アフガニスタン、パキスタンでのテロとの戦いに移行する旨述べている。一方、10月22日にアルジャジーラ・テレビがオサマ・ビンラディン指導者と見られる男の声を放送した。そのテープの内容は、イスラム国家としての結束を呼びかけたものであり、イスラム世界の利益は一集団の利益に勝る旨述べている。このような呼びかけに心を動かす人々を生む土壌がイスラム世界にあるのであれば、ビンラディン指導者およびザワヒリ副官の身柄拘束か死亡が確認できるまで、米国は戦闘を続けるだろう。それは来年の米国の選挙で民主党から大統領が選出されても変わらないだろう。
第2は、第1とも関係するが、今後も米国が普遍的価値に基づいた他の主権国家への介入を継続するかである。これを続ける限り、中東・イスラム諸国との対立、人々の反米・嫌米感情は消えず、テロリストを生む土壌が残るだろう。自由や民主主義は各国によってあり方が異なるものであり、一元化されるものではない。
こうしてみると、中東地域を中心とするテロとの戦いは暫く終わることはないだろう。その背景には、イデオロギー対立や階級闘争の時代が終わり、宗教や民族という文明間の対立が噴出してきていることがある。そして、その主役は米国である。
10月19日、米銀行大手の業績悪化が発表され、ニューヨーク株式市場の終値は今年3番目の366.94ドル安の下げ幅となった。一方、原油価格は1バレル90ドル台を突破した。株式と共にドルも売られ、投機資金は金や原油などの先物取引市場に流入している。このまま米国経済が鈍化し続けると、“強いドル”が維持できなくなり、米国の輸入量は減少し、来年度の経済成長率は1.9%程度になるとの予想もある。果たして、このような経済の動向に、国際社会は対応できるのだろうか。
輸出主導の経済構造である日本にとって、米国市場の冷え込みの影響は大きい。しかし、中国、インドとの経済相互依存関係を深めることや、技術革新で対応していけるのではないかとの見方もある。EUも、19日に採択された「リスボン条約」で欧州統合をさらに深化させ、経済メリットを生む体制を構築しつつある。
これに対し、中東産油諸国はどうであろうか。これらの国々の多くが原油取引をドル建てで行っているため、ドルが弱まると、他の通貨で換算すると、原油価格の小幅上昇では実質的には利益が減少する場合も出てきている。また、これら産油国では、資産の一部が米国債や米企業株式で形成されており、この部分でも目減りしていることになる。このような状況を嫌い、中東諸国の一部ではすでにユーロをはじめ他の通貨との決算を行い始めている。このドル離れが、米国経済の鈍化に拍車をかけるという悪循環に入りつつある。
10月20日の先進国財相・中央銀行総裁会議(G7)の共同声明では、サブプライムローン問題の解決に関する具体的対応策が示されず、各国の改善状況を見守ることになった。これにより、“強いドル”への期待が小さくなることも考えられる。
こうしてみると、国際経済を米国が牽引していた時代が終わりを迎えつつあるようだ。そして今後、米国は、これまでのように大幅な財政赤字を出しながらテロとの戦いの戦費を拡大することができなくなるとも考えられる。国際社会の構図がまた変化するのかもしれない

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