米国を見る目

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ラムズフェルド米国防長官は4月14日、辞任を求める退役将軍たちの声に対し、「アル・アラアビーヤ」(衛星テレビ)のインタビューで、その意思がないことを表明した。また、休暇中のブッシュ大統領も、キャンプデービットの山荘から同長官への支持を表明した。
米国の国防長官は、市民の支持、議会の予算承認、軍人からの信頼がないと、その任務を十分に果たすことができないといわれている。ラムズフェルド長官の40年来の友人であるメルビン・R・レアード氏(69〜73年の国防長官)は、雑誌の論文の中で、同長官について「彼の自信過剰気味で確信に満ちた態度には問題がある」と指摘し、議会との関係悪化の恐れがあると懸念していた。同長官に対し国防省内では、9.11米国同時多発テロで、同省が航空機自爆テロにあった際、長官自らが先頭に立って救出活動をした姿が、当時は高く評価されていた。
今回、公然と長官批判をした退役将軍たちには、3月のイートン元陸軍少将(イラクの治安部隊育成担当者)にはじまり、4月12日にはバティスト元陸軍少将(第1歩兵師団司令官)、同13日にはスワナック元陸軍少将(第82空挺師団指揮官)の他、ジニ元中央軍司令官やニューボールド海兵隊中将など、錚々たる人物が名を連ねている。また、長官のイラク訪問時にも、現場の兵士たちから装甲車の装甲や防弾チョッキなどの装備面での不満からしばしば厳しい批判の声が浴びせられていた。
3月31日、ライス国務長官がイラク訪問直前にイギリスにおいて、米国のイラク政策について「戦略は間違いではないが戦術は失敗であった」と語った。イラクへの国際介入における平和強制(武力行使)では、通常見られない軍の運用が少なくとも2つあった。それは、当時のシンセキ陸軍参謀総長(日系三世)が議会で証言を行っていることだが、(1)多国籍軍の戦闘部隊がそのまま駐留したこと、(2)駐留に必要と思われる大量の兵士の投入がなされなかったことである。この2点について、ラムズフェルド長官およびウォルフォウィッツ国防次官(当時)が主導的に推進し、占領行政をスタートさせたといわれている(シンセキ氏は長官と対立し、2003年6月11日に退役)。イラクの治安の悪化を振り返ると、この初動の悪さが原因となり、イラクの人々は占領行政に不満を募らせ、被害者の家族の憎しみの連鎖を生むこととなった。こうして米国は、イラク人にとって独裁政権からの解放者から占領者となってしまった。米陸軍は、ベトナム戦争によって戦意が低下したが、パウエル前国防長官やシンセキ氏らベトナム戦争の功労者たちの努力によって立て直された。しかし、ラムズフェルド長官らの政策によって、その士気が再び弱まっていると危惧する声も聞かれている。
ラムズフェルド長官は、フォード大統領の首席補佐官を務め(1974〜75年)、75年には米国歴史上最年少(43歳)の国務長官となった。そして2001年1月以来、2回目の国防長官としての重責を担っており、同長官が辞任に追い込まれれば、ブッシュ政権の威信はさらに低下すると思われる。4月14日、統合参謀本部前議長のマイヤーズ氏が退役将軍たちの批判に対し、大統領に反対するようなことを軍人は口にすべきではないと、CNNのインタビューで述べている。イラクへの国際介入問題に関し、情報操作問題などで、さらに国民の支持率を下げているブッシュ大統領にとって、また頭の痛い問題が蒸し返された。

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本日、インド系米国人サトゥ・P・リマイエ博士より、インドと米国関係についての話を聞く機会を得た。同氏は、両国が戦略的パートナーシップのもとで、(1)経済的自由、(2)民主化の拡大、(3)安全で信頼できるエネルギーの確保、(4)安全保障、(5)公衆衛生の促進などについて、グローバル化される国際社会の中で協力関係を強化しはじめていると述べた。
近年、両国は2005年6月に米・インド防衛関係の新たな枠組み合意、その翌月にはシン首相がワシントンを訪問、さらに本年3月にブッシュ大統領がインドを訪問と、外交が進展している。特に、3月のインド訪問の際、米国がインドの民生用の原子力エネルギー問題への協力を約束したことが注目されている。インドがIAEAの保障措置下に民生用原子炉施設を置くことを約束したとはいえ、米国が、核拡散防止条約を締結していないインドに協力することには、国内外から厳しい批判がある。同博士によると、この協力では、米国は3つのダブルスタンダード(二重基準)が起こる可能性があると指摘した。第1は、イランや北朝鮮の核開発への厳しい対応に比して、インドには協力するという姿勢の違いである。第2は、核開発を途中で断念させられたカザフスタンやベラルーシとの差である。第3は、核保有国である英、仏、中国、ロシア等による友好国への核開発支援を米国が否定した場合である。
ブッシュ米政権はアジア太平洋戦略から、孤立状況にあったインドに対し、パートナーシップを構築している。その理由は、米・中国関係が悪化した場合、インドにヘッジする戦術をもっているからだと指摘されている。しかし、インドは、ロシアや中国との関係を悪くしてまでも、米国との関係強化を強く望んではいない。現在、インド・米国間では双方に期待が高まっているが、現実にはインドの多様性といった特色から見ても、その歩みはゆっくりとしたものにならざるを得ない。同博士は、このような状況から期待感の加熱をコントロールする必要性があると述べた。
米国は中央アジアと南アジアをあわせて対応するために、行政機構を変更するなど、冷戦の終焉にあわせた戦略的体制を整えている(日本外務省も南アジア部を設置)。これにより、アジア諸国に見られる中国経済への過剰依存を解消することも視野に入れていると思われる。中国・インド・米国・日本の4極が、同地域でどのようなバランスとなるのか、今後が注目される。ちなみに、インドの20〜24歳の人口は1億人(中国は一人っ子政策の結果8000万人)であり、若者の雇用問題が社会問題となる可能性があるとの分析もある。

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米国人とイラク問題

先に、財団法人日本青年研究所が、米国、中国、韓国、日本4カ国の高校生の比較生活調査をまとめた。その中で、気になった項目が「他国人イメージ」である。
日本人の自己イメージのベスト3は、「礼儀正しい」「親切」「集団主義」である。一方、米国人から見た日本人のイメージは、「親切」「礼儀正しい」「勤勉」であり、ほぼ重なる。では、米国人イメージはどうだろうか。自己イメージの上位は、「愛国心が強い」が圧倒的で、その他に「正義感がある」、「理屈っぽい」等がある。これに対し、日本人の米国人像は、「陽気」「自己主張が強い」「心が広い」となっている。中国人では「自己主張が強い」「陽気」「自己中心」で、韓国人では「自己中心」「責任感が強い」「自己主張が強い」である。このように、東アジアでの米国人のイメージは自己主張が強いとの評価が主流である。
9.11同時多発テロ事件後、米国では「なぜ米国が嫌われるのか」について国内的議論が高まり、一方主義的にとられがちな行動について反省する声が多く上った。しかし、この調査に見られるように、米国に対しステレオタイプで「世界の警察官」「帝国」とレッテルを貼ってしまっている感もある。
イラク問題では、本年3月の月間米軍死者数が29人(3月末日で、米軍死亡者2327人、負傷者1万7381人)と、低下しているが、依然、犠牲者を出し続けている。この尊い人間の死を、われわれは「米国の自己主張が巻き起こした災い」として単に考えてよいのだろうか。イラクの国際介入において、米軍の良心的兵役拒否者は約270人、基地からの脱走者は1万人以上にのぼっている。そして現在も軍事裁判でこれらの人々に対する審議が続いている。米国では、愛国心と自由、民主主義のもと、高い意識を持って戦場に立つ者だけでは決してない。米国市民権や大学入学のメリット等を求めて志願兵となっている者も多い。しかし、このような彼らも、米国への忠誠心なく戦場に立っているわけではないだろう。彼らがイラクから帰国する日はいつになるのだろうか。
4月10日、米英日豪の外務・国防当局者会議が開催されたが、撤退開始スケジュールなどについては、踏み込んだ協議は見られなかった。一方、同日ブッシュ米大統領はワシントン市内で演説し、「国民統合政府樹立が先送りされればされるほど、テロリストの扇動が成功する」と述べ、改めて警戒の必要性を国内外に示した。先述の世論調査の中の米国人の価値観についての調査項目では、「将来のために今を頑張って生きたい」が1位である。この米国人の性格を認識した上で、イラクへの国際介入の現状を見れば、また別の側面が見えるような気がする。

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ブッシュ米大統領が、イラクの大量破壊兵器開発に関する機密情報漏洩に関与していたことが明らかになった。米国のマスメディアは、漏洩事件の容疑者リビー前副大統領首席補佐官の供述をもとに、大統領への厳しい批判を展開している。また、民主党も、ケリー上院議員をはじめ大統領の信任問題を取り上げ、非難を展開している。リビー氏の供述によると、機密部分を知っていたのは同氏および、大統領と副大統領のみだとしており、大統領の承認を受けた上で、ニューヨーク・タイムズのジョディス・ミラー記者(後に退社)と会ったとされている。今後、大統領の機密情報開示の権限と道義上の問題が焦点となろう。
そもそも、イラクへの国際介入においては、(1)大量破壊兵器開発、(2)国際テロ組織との結びつき、(3)国際諸決議の不履行等が理由となっていた。しかし、多国籍軍の占領後に実施された大量破壊兵器に関する調査団の報告書では、大量破壊兵器開発計画はあるが、開発された形跡が確認できなかったとしている。また、アルカイダの関係では、イラクの北部でのアフガニスタンからアンサル・イスラム(現状も活動している)の活動が確認されていたが、フセイン政権との関係は証明できなかった。イラクへの国際介入では、ポール・R・ピラー前CIA中東担当者が、米国の情報関係者は政策決定を受けて情報収集をすることになったと述べている。特に、国防次官のフェイス氏(当時)の下で、テロ関連情報の収集がなされたという。そして同氏は、国防省自体に特別チームが置かれることが問題であると指摘した。また、イラクがアフリカからウラン鉱石を購入しているとの情報が、イギリスからもたらされていたが、米情報機関関係者は疑問に思い、イラクの核兵器開発には今後数年かかると分析して、これを使用しなかった。しかし、ブッシュ大統領は2003年の一般教書演説で、イラクと大量破壊兵器を結びつけた。
このように、情報は、取り扱い方によっては信憑性や客観性の基盤を損なってしまう。イラク問題では、情報分析官と政策決定者との情報認識にかなりの差があったことは事実のようだ。イラクへの武力行使後、ロイターのアジア支局長に話を聞く機会があったが、同氏も、情報収集者と分析者との間にズレが生じることを指摘していた。このような結果として、イラクでは、(1)占領には大量の軍隊は不要であるとの考え、(2)武装解除は容易にできるとの考え、(3)イラク軍および警察の訓練目的を、対外勢力への対応としたこと等の誤りがあった。11月の中間選挙を前に、共和党の支持者回復を求めて、ブッシュ大統領は遊説を行っているが、「令状なしの盗聴」に続いて、このリビー氏が関与する「世論操作問題」の逆風が強まり始めている。

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ヨーロッパの高度工業諸国は、第二次世界大戦の復興に関し1945〜73年頃まで、外国人労働者に依存する時期があった。フランスでは1945年に移民局(ONI)を設置したり、ドイツでも50年代後半から労働省が外国に事務所を設置し労働力不足を補う事業を展開した。
このドイツの制度はゲスト・ワーカー・システムと呼ばれ、1956年に9万5000人だった外国人労働者は、66年には130万、73年には260万人に拡大した(石油危機によって、73年の11月に外国人労働者募集停止)。このシステムの内容は、(1)外国人労働者の入国に当たり移住許可と労働許可が必要、(2)移住期間の限定、(3)60年代後半まで家族の呼び寄せには慎重などであった。
3月27日、米国上院議会の司法委員会で可決された移民改革法は、このようなヨーロッパのゲスト・ワーカー・システムと同様に、低賃金の移民労働者の必要性から規制緩和を行ったもので、不法移民や出稼ぎ労働者(年間約40万人)に、就労ビザを交付するというものである(3年を期限に1回限りの更新を認めた)。これは、ブッシュ米大統領が昨年秋に、「ゲスト・ワーカー」と命名して提案した外国人労働者への対応に近いものである。
この大統領の提案や上院議会の動向は、中間選挙におけるヒスパニック系(米国人口の約14%)を配慮したものと分析されている。一方、昨年12月末に下院議会が可決した外国人労働者に関する法案は、むしろ上院とは反対に、雇用主に外国人労働者の合法性の証明の説明責任を負わせたり、不法移民を雇用した場合1万5000ドルの罰金を課すというものである。この矛盾する二つの外国人労働者に関する法案に関して、米国の市民社会では、下院の法案への抗議のデモが展開されている(3月25日にはロサンゼルスでは50万人を超えるデモとなった)。
不法移民に関する規制は、70年代のヨーロッパでは、経済悪化や失業者の増加の中で強化されている。一方、米国では9.11以来特に、不法移民によるテロをはじめとする犯罪に対する警戒が強まっており、前述の下院の移民法改正の動きもこの流れにある。この中でのブッシュ大統領の提案や上院の動きは、反テロ戦争を標榜してきた政権としては、政策の整合性に矛盾をきたすように思える。それは、ブッシュ大統領選挙や前回の議会選挙で共和党を支えたキリスト教福音派は、ブッシュ政権が同性愛者の婚姻問題に積極的に否定をしていないとの不満から、同政権に距離をおき始めたことが一因にあるのではないか。
不法移民を止めるには、今日の英仏独に見られるような入国規制の強化の方法もある。また、間接的であるが、移民流出国の生活向上をはかる方法もある。それには、(1)貿易の自由化、(2)直接外国投資、(3)外国支援などを駆使することが必要である。果たして米国は、どのような移民政策を選択するのか、注目したい。
不法移民に関する規制は、70年代のヨーロッパにおいては、経済悪化や失業者の増加の中で強化されている。一方、米国では9.11以来特に、不法移民によるテロをはじめとする犯罪に対する警戒が強まっており、前述の下院の移民法改正の動きもこの流れにある。この中でのブッシュ大統領の提案や上院の動きは、反テロ戦争を標榜してきた政権としては、政策の整合性に矛盾をきたすように思える。それは、ブッシュ大統領選挙や前回の議会選挙で共和党を支えたキリスト教福音派は、ブッシュ政権が同性愛者の婚姻問題に積極的に否定をしていないとの不満から、同政権にに距離をおき始めたことが一因にあるのではないか。
不法移民を止めるには、英仏独に見られるような入国規制の強化の方法もあるが、移民流出国の生活向上をはかることが重要であり、(1)貿易の自由化、(2)直接外国投資、(3)外国支援などを駆使する必要がある。

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